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1.出会い
みんなにバレてしまった
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「目が覚めたようだが体調はどうかな。お嬢さん」
そう言って入ってきたのは見たことない白髪の老人だ。
「挨拶がまだじゃったな。儂はこの船の船医でグレイと言う。よろしくな」
コクリと頷く。
「じゃあ診察をしたいのじゃが体を触っても大丈夫か?」
そう言われて固まった。
このまま服を脱げは体の下の傷跡がバレる。
自分のいた世界はすごい戦闘が日常的にあるとか嘘をいえるができればこの人達に嘘は言いたくない。
そう悩んでいると
「君に悪いと思ったのじゃが熱で倒れたじゃろ。
すでに1度診察をさせてもらっているのじゃ。
だから君の体の傷痕も見せてもらっている。
それに覚えておらんか?
君はこの熱を出している間に2度目覚めているが1回目にパニックを起こした。
その時はヴィルターが抱きしめて、気絶して寝てしまったが君の体とそのパニックからなんとなく推察ができてしまう。
この船の誰もが君が話そうとしない限り無理に散策するつもりはない。
じゃが君が嫌なこと、無理なことは言ってくれなければ儂らはわからん。
なぁ、頭殿」
ヴィルターに振り返っていう。
思い出した。ぼんやりしか見えずに手を伸ばされて殴られると思った。その後抱きしめられて誰かも認識することなく暴れた。
力は使ってないから弱々しい力だったろうがすごいもがいた記憶がある。
「そうだ。
日菜が言いたくないなら言わなくていい。
けど俺は日菜の背負っている重荷を分けて欲しいと思う」
そう言って手を握ってくる。
この人達は化け物になんて優しいのだろう。
「わかりました。
自分が今までどんなふうに過ごしたかお話しさせていただきます」
ヴィルターはこちらを見て焦ったように言った。
「無理はしなくていいんだぞ」
「いえ、これは自分の誠意です。
ヴィルターが自分の過去を知ってもいいと考える人を集めてください。
お話しします」
それからオスカー、ザック、キールがきた。
どれもこの1週間、自分をよくしてくれた方だ。
自分の過去を話した。
両親が殺されたこと。
呪われたこと。
散々手を汚してきたこと。
感情なんてほとんどないこと。
道具であること。
力を持っているが弱くなってしまったこと。
終わらせてくれる者を探していたこと。
全部を話し終えるとザックは泣き、キールは拳を握り締め下を向き、オスカーは真顔になっていた。
ヴィルターは怒っているのが目に見えてわかる。
「ヴィルター、別に怒らなくて大丈夫ですよ。自分はそういう化け物ですか「そんなことない!!」
怒りながら泣きそうな顔でこちらを見てきた。
「日菜はただの被害者だ。守られる子を粗末にしてそんなことをやるなんてロクデナシのやることだ。
君はどんなに逆らいたくても逆らえなかったんだろ。
それでも前を向いて他者を気遣う。
とても優しい子じゃないか…
誰も手を伸ばしてくれない状況でよく生きていてくれた…生きてくれてよかった…お前はただの人間なんだ…」
強く抱きしめられる。
なんだか目が熱くなる。
「生きてくれてよかった」なんて初めて言われた。
自分は人間と言われていいの?
この人は自分が生きていることを喜んでくれるのか…
化け物で多くの命を奪った自分を…
人の温もりをすごい久々に感じた。
温かい。
そう思っていると
「日菜ちゃん、泣いてるんすか?」
よくわからず自分の目に触れると目から涙がでていた。
もう泣かなくなってからどのぐらいたったか覚えてない。
「大丈夫だ。俺がお前を守るから。大丈夫。もう大丈夫だ」
「あ、あぁ、あ、あぁぁぁぁ」
泣き叫ばずにはいられなかった。
泣いている間ずっとヴィルターは抱きしめてくれた。
大きな体ですっぽり自分を包み込める温もり。
自分を守ってくれる大きな体に身を預けながら泣き続けた。
そう言って入ってきたのは見たことない白髪の老人だ。
「挨拶がまだじゃったな。儂はこの船の船医でグレイと言う。よろしくな」
コクリと頷く。
「じゃあ診察をしたいのじゃが体を触っても大丈夫か?」
そう言われて固まった。
このまま服を脱げは体の下の傷跡がバレる。
自分のいた世界はすごい戦闘が日常的にあるとか嘘をいえるができればこの人達に嘘は言いたくない。
そう悩んでいると
「君に悪いと思ったのじゃが熱で倒れたじゃろ。
すでに1度診察をさせてもらっているのじゃ。
だから君の体の傷痕も見せてもらっている。
それに覚えておらんか?
君はこの熱を出している間に2度目覚めているが1回目にパニックを起こした。
その時はヴィルターが抱きしめて、気絶して寝てしまったが君の体とそのパニックからなんとなく推察ができてしまう。
この船の誰もが君が話そうとしない限り無理に散策するつもりはない。
じゃが君が嫌なこと、無理なことは言ってくれなければ儂らはわからん。
なぁ、頭殿」
ヴィルターに振り返っていう。
思い出した。ぼんやりしか見えずに手を伸ばされて殴られると思った。その後抱きしめられて誰かも認識することなく暴れた。
力は使ってないから弱々しい力だったろうがすごいもがいた記憶がある。
「そうだ。
日菜が言いたくないなら言わなくていい。
けど俺は日菜の背負っている重荷を分けて欲しいと思う」
そう言って手を握ってくる。
この人達は化け物になんて優しいのだろう。
「わかりました。
自分が今までどんなふうに過ごしたかお話しさせていただきます」
ヴィルターはこちらを見て焦ったように言った。
「無理はしなくていいんだぞ」
「いえ、これは自分の誠意です。
ヴィルターが自分の過去を知ってもいいと考える人を集めてください。
お話しします」
それからオスカー、ザック、キールがきた。
どれもこの1週間、自分をよくしてくれた方だ。
自分の過去を話した。
両親が殺されたこと。
呪われたこと。
散々手を汚してきたこと。
感情なんてほとんどないこと。
道具であること。
力を持っているが弱くなってしまったこと。
終わらせてくれる者を探していたこと。
全部を話し終えるとザックは泣き、キールは拳を握り締め下を向き、オスカーは真顔になっていた。
ヴィルターは怒っているのが目に見えてわかる。
「ヴィルター、別に怒らなくて大丈夫ですよ。自分はそういう化け物ですか「そんなことない!!」
怒りながら泣きそうな顔でこちらを見てきた。
「日菜はただの被害者だ。守られる子を粗末にしてそんなことをやるなんてロクデナシのやることだ。
君はどんなに逆らいたくても逆らえなかったんだろ。
それでも前を向いて他者を気遣う。
とても優しい子じゃないか…
誰も手を伸ばしてくれない状況でよく生きていてくれた…生きてくれてよかった…お前はただの人間なんだ…」
強く抱きしめられる。
なんだか目が熱くなる。
「生きてくれてよかった」なんて初めて言われた。
自分は人間と言われていいの?
この人は自分が生きていることを喜んでくれるのか…
化け物で多くの命を奪った自分を…
人の温もりをすごい久々に感じた。
温かい。
そう思っていると
「日菜ちゃん、泣いてるんすか?」
よくわからず自分の目に触れると目から涙がでていた。
もう泣かなくなってからどのぐらいたったか覚えてない。
「大丈夫だ。俺がお前を守るから。大丈夫。もう大丈夫だ」
「あ、あぁ、あ、あぁぁぁぁ」
泣き叫ばずにはいられなかった。
泣いている間ずっとヴィルターは抱きしめてくれた。
大きな体ですっぽり自分を包み込める温もり。
自分を守ってくれる大きな体に身を預けながら泣き続けた。
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