海とともに〜海賊に拾われましたが優しいクマ共に頑張ります〜

猿山 龍

文字の大きさ
上 下
13 / 24
1.出会い

熱と弱さ

しおりを挟む
目を覚めると体が熱い。

熱があるのか…
そりゃ長年の栄養失調、睡眠不足、過労働、そして今三条家がいない状況で気が抜けた所為なのか熱が出るのは当然のように感じる。

移るものではないだろうがあまり他の人と関わらないほうがいいな。

取り敢えず起きて熱あるから部屋に困る主旨を言った方がいいと判断して立ちあがろうとするとドアがノックされた。

「日菜。起きてるか?」

ヴィルターの声だ。
いつもは部屋に来ないのにどうしたんだろう。

ベットが下りて、ふらふらしながらドアに近づく。

「はい。起きてます。
申し訳ないのですが熱が出てしまい今日は部屋で大人しくしたいのですがいいでしょうか?」

ガタ
何かにぶつかる音がする。

「大丈夫か?熱はどのくらいある?いるものはあるか?」

声が心配ですと言わんばかりの声でなぜが少し泣きたくなるような感じがする。
熱のせいで弱っているのかもしれない。

「大丈夫です。熱はそこまで高くないのですぐ治ります」

嘘をついた。熱はそこまでと言ったがこれは38.5はある。
けど1人で寝ていればバレないだろう。
それに弱ったところを見せれば殴られる。
あれ?ヴィルター達は殴らない。なんかふわふわする。
なんか目の前が床?目が開けられないや…




目を覚ますと自分の部屋のベットの上で寝かされていた。

「日菜!」

怠くて目だけそちらに向けるとヴィルターが泣きそうな顔でいた。いや、泣きそうだけどコワモテの所為か眉間に皺を寄せていて怖い顔をしているが目が泣きそうだ。この人は顔というより目によく感情が出る。
ぼーとそんなことを思ったいると

「日菜、水はいるか?」

「じゃあ棚の中にある水をお願いします」

ヴィルターは頷き、棚から水を取ってくれた。
それをゆっくり飲む。

「ゆっくり休んで早く良くなれ」

そう言って頭を撫でてくれる。
心地良くなりそのまま寝入ってしまった。



次に目を覚ますと熱が下がっていることがわかった。
隣を見るとヴィルターが椅子に座って寝ている。

ガチャ

ドアの方を見るとザックが静かに入ってきた。

「あっ、起こしてしまったっすか?
すまないっす。」

「いえ、それより前に起きていました。
熱も下がったようですし、また仕事をさせてもらいたいのですが…」

「何言ってるんっすか!日菜ちゃんは4日寝込んでいたんすよ。」

そんなに寝ていたのか。
正直びっくりした。向こうにいた時は熱なんて引いたら隠さないと面白がって酷いことをされる。
4日も何もしないなんて許されない。

「頭が心配してずっと側でタオルとかを取り合えていたんすよ。そのせいか今は寝てますけど」

「そうなんですか…
ご迷惑をかけて申し訳ありません」

「こういう時はお互い様だから謝ることはないっすよ。それじゃあ水を変えにきただけなので失礼するっす。あとで船医のグレイが様子を見にくると思うので安静にしてるっす」

そういうとザックは水を変えて静かに出ていった。

「起きてますよね。ヴィルター」

椅子に座って寝ていたヴィルターに言うと肩を跳ねて目を開けた。

「気づいていたか…」

「ご迷惑を「前に言ったことを覚えてるか?」

なんのことかわからず悩む。

「こっちがお前のためにやったことだから止めたり、謝るよりありがとうが欲しい」

服屋のことだとわかった。服屋で買いすぎるのを止めたら言われたことだ。

「ありがとうございます」

ヴィルターが頷いていると船医がやってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

海賊ダンの恋

Rachel
恋愛
「お、おいおいおい、まてまてまて…………えっ、おめえ、女かよっ!?」 食糧を略奪すべく貴族の船を襲っていたダンは、剣を交えていた相手が若い女であることに気づくと、剣を収めて和解をはかる。 わめくばかりの彼女と言葉をかわすうち、彼女の剣を構える手がカタカタ震えていることに気づいて……。 海賊として生きる男が貴人に仕える侍女に惚れ込む物語。 地名と時代は架空です。 直接的ではありませんが性描写があります。

処理中です...