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1.出会い
初めてのお買い物と価値
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島に着いた。
物資の補給などクルーが慌ただしく動いている。
この島は明後日には出航すると言われた。
「い、行くぞ。」
「はい。」
そうヴィルターに言われてあとを追う。
「手伝いはいいんですか?」
「あとはオスカー達がやってくれるから問題ない。」
そう言って店が並んでいる通りを歩いていると周りから夕闇のクマだ。とこそこそ言われているのが聞こえる。誰も声をかけてくる様子はないが別に嫌っているというわけでもない感じがする。
よくわからない人だ。
そう思っているうちに女性向けの服屋に着いた。
「好きなものを買え。」
そう言われても服の良し悪しなどわからない。
取り敢えず海賊船に乗っているのだから動きやすい服装や汚れが目立たない服がいいだろうと思い黒色のシャツとズボン、下着などを適当に1枚ずつ取り
「これにします。」
持っているものを見せるとヴィルターの戸惑いが感じられた。
「もっとこういう可愛い服とかあるぞ。」
そう言って必死にピンク色の可愛いヒラヒラしたワンピースを見せた。
確かに派手ではなく町娘とかが着ていて動きやすそうではあるが戦闘向きではない。
それになんで自分よりこの人の方が必死で服選びをしているのだろう。
「それがいいならそれでも構いませんが動きにくいのではないでしょうか?自分はあまりそういうものを着たことがないのでどこかに引っ掛けて破らないとも言えません。」
そういうとヴィルターはキョトンとして
「別に日菜は俺達が守るから戦闘はないし、どこかに引っ掛けてもまた新しいのを買ってやるよ。」
さも当然かのように言って優しく笑った。
頭が真っ白になった。ま、も、る…?
誰が自分を?
護られる必要のない化け物のはずなのに?
戸惑っていると
「着たくないとか嫌いじゃ何なら是非着て見せてくれ。」
そう言って他にも可愛い系の服を見繕って行く。
気がついたら初めに自分が選んだのも含めて10着になっていた。
「自分はそんなに体ありませんし、お金の無駄遣いです。それに使うならクルーに何か食べ物を買って帰った方が有意義ですよ。」
どうにか止めようとしたら
「これは俺の金だから問題ない。」
と言って優しく自分の頭を撫でてきた。
よくわからない感じがした。
なんか突然叫び出したくなるような、そんな感じが…
「それにど、どうせ買うんだから止めるよりありがとうって言ってくれ。」
頭を撫でる手を止めずに蜂蜜色をした目が優しく自分を見て言う。
声が張り付いて出ないような気がするがなんとか絞り出して
「あり、がとうございます…」
「よし!他にも部屋で使うシーツとか買って行くか」
そう言って店を梯子して可愛いものを色々買った。
その帰り道、大量の荷物を抱えたヴィルターを見てこの人は可愛いものが好きとは聞いていたがなんでこんなに自分によくしてくれているんだろう…
そうしているうちにソムニウム号に着いた。
「おっ、頭いっぱい買ったっすね。」
ザックにそう言われてやっぱりこれは買いすぎてはないかと不安に申し訳なくなる。
それを部屋に運び込みシーツを引いて小物を部屋に並べて最後に茶色のクマのぬいぐるみをベットに置いてくれた。
「これでいいか?」
「ありがとうございます。」
少し戸惑いつつお礼を言う。
「ちょっと部屋の真ん中に立ってくれ。」
取り敢えず真ん中に立つとヴィルターは入り口まで下り満足そう頷き
「うん。すごい可愛いな。」
昨日よりも更に優しそうな笑顔で言った。
なんか居たたまれない様な気がする。
この人昨日のキールとの会話を聞いたとしか思えないオープン具合だな。それとも可愛いと思うことに関してオープンなのか。
「ひ、日菜は俺のこと怖くないか?気持ち悪くてないか?」
さっきまですごい満足そうだったのに今度はまるで怒られる子供の様な顔で聞いてきた。
「キールからヴィルターは可愛いものが好きと聞いていましたし、別にそういう方がいてもいいと自分は思います。けど自分なんかを可愛いと言うより他にも可愛いものはあるのでそちらを見てみたらいいと思いますよ。」
「そんなことない!お前の髪は銀髪でキラキラしていて綺麗だし、赤い瞳はイチゴみたいで可愛い!自分を自分で貶すな!俺はこんな図体で可愛いものが好きだし他者に気持ち悪とか言われたりして少し落ち込むが自分を卑下にしたらもっと落ち込んでダメになる。
日菜が今までどんな風に暮らしてきたがわからないし、どんな環境で育ったかも知らないが自分を卑下にして1番傷つくのは日菜自身なんだぞ。自分の価値を下がるな。もっと自分を大切にしろ!」
まるで捲し立てるように言われた。
目がイチゴみたいか…
自分を卑下にすると自分が傷つくか…
そうなんだ。もうずっと嫌なことしか言われてないからよくわからないな。
けどきっと自分には勿体無い言葉だ。
「わかりました。今後は気をつけます。」
なぜかヴィルターは少し悲しい顔をして
「今日は日菜の歓迎の宴をする。準備ができたら呼ぶからそしたら甲板にこい。」
そう言って出ていってしまった。
物資の補給などクルーが慌ただしく動いている。
この島は明後日には出航すると言われた。
「い、行くぞ。」
「はい。」
そうヴィルターに言われてあとを追う。
「手伝いはいいんですか?」
「あとはオスカー達がやってくれるから問題ない。」
そう言って店が並んでいる通りを歩いていると周りから夕闇のクマだ。とこそこそ言われているのが聞こえる。誰も声をかけてくる様子はないが別に嫌っているというわけでもない感じがする。
よくわからない人だ。
そう思っているうちに女性向けの服屋に着いた。
「好きなものを買え。」
そう言われても服の良し悪しなどわからない。
取り敢えず海賊船に乗っているのだから動きやすい服装や汚れが目立たない服がいいだろうと思い黒色のシャツとズボン、下着などを適当に1枚ずつ取り
「これにします。」
持っているものを見せるとヴィルターの戸惑いが感じられた。
「もっとこういう可愛い服とかあるぞ。」
そう言って必死にピンク色の可愛いヒラヒラしたワンピースを見せた。
確かに派手ではなく町娘とかが着ていて動きやすそうではあるが戦闘向きではない。
それになんで自分よりこの人の方が必死で服選びをしているのだろう。
「それがいいならそれでも構いませんが動きにくいのではないでしょうか?自分はあまりそういうものを着たことがないのでどこかに引っ掛けて破らないとも言えません。」
そういうとヴィルターはキョトンとして
「別に日菜は俺達が守るから戦闘はないし、どこかに引っ掛けてもまた新しいのを買ってやるよ。」
さも当然かのように言って優しく笑った。
頭が真っ白になった。ま、も、る…?
誰が自分を?
護られる必要のない化け物のはずなのに?
戸惑っていると
「着たくないとか嫌いじゃ何なら是非着て見せてくれ。」
そう言って他にも可愛い系の服を見繕って行く。
気がついたら初めに自分が選んだのも含めて10着になっていた。
「自分はそんなに体ありませんし、お金の無駄遣いです。それに使うならクルーに何か食べ物を買って帰った方が有意義ですよ。」
どうにか止めようとしたら
「これは俺の金だから問題ない。」
と言って優しく自分の頭を撫でてきた。
よくわからない感じがした。
なんか突然叫び出したくなるような、そんな感じが…
「それにど、どうせ買うんだから止めるよりありがとうって言ってくれ。」
頭を撫でる手を止めずに蜂蜜色をした目が優しく自分を見て言う。
声が張り付いて出ないような気がするがなんとか絞り出して
「あり、がとうございます…」
「よし!他にも部屋で使うシーツとか買って行くか」
そう言って店を梯子して可愛いものを色々買った。
その帰り道、大量の荷物を抱えたヴィルターを見てこの人は可愛いものが好きとは聞いていたがなんでこんなに自分によくしてくれているんだろう…
そうしているうちにソムニウム号に着いた。
「おっ、頭いっぱい買ったっすね。」
ザックにそう言われてやっぱりこれは買いすぎてはないかと不安に申し訳なくなる。
それを部屋に運び込みシーツを引いて小物を部屋に並べて最後に茶色のクマのぬいぐるみをベットに置いてくれた。
「これでいいか?」
「ありがとうございます。」
少し戸惑いつつお礼を言う。
「ちょっと部屋の真ん中に立ってくれ。」
取り敢えず真ん中に立つとヴィルターは入り口まで下り満足そう頷き
「うん。すごい可愛いな。」
昨日よりも更に優しそうな笑顔で言った。
なんか居たたまれない様な気がする。
この人昨日のキールとの会話を聞いたとしか思えないオープン具合だな。それとも可愛いと思うことに関してオープンなのか。
「ひ、日菜は俺のこと怖くないか?気持ち悪くてないか?」
さっきまですごい満足そうだったのに今度はまるで怒られる子供の様な顔で聞いてきた。
「キールからヴィルターは可愛いものが好きと聞いていましたし、別にそういう方がいてもいいと自分は思います。けど自分なんかを可愛いと言うより他にも可愛いものはあるのでそちらを見てみたらいいと思いますよ。」
「そんなことない!お前の髪は銀髪でキラキラしていて綺麗だし、赤い瞳はイチゴみたいで可愛い!自分を自分で貶すな!俺はこんな図体で可愛いものが好きだし他者に気持ち悪とか言われたりして少し落ち込むが自分を卑下にしたらもっと落ち込んでダメになる。
日菜が今までどんな風に暮らしてきたがわからないし、どんな環境で育ったかも知らないが自分を卑下にして1番傷つくのは日菜自身なんだぞ。自分の価値を下がるな。もっと自分を大切にしろ!」
まるで捲し立てるように言われた。
目がイチゴみたいか…
自分を卑下にすると自分が傷つくか…
そうなんだ。もうずっと嫌なことしか言われてないからよくわからないな。
けどきっと自分には勿体無い言葉だ。
「わかりました。今後は気をつけます。」
なぜかヴィルターは少し悲しい顔をして
「今日は日菜の歓迎の宴をする。準備ができたら呼ぶからそしたら甲板にこい。」
そう言って出ていってしまった。
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