海とともに〜海賊に拾われましたが優しいクマ共に頑張ります〜

猿山 龍

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1.出会い

もうすぐ初島

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次の日、ザックに話しかけられた。

「明日、島に上陸するっすよ。そこで必要なものを買うといいから買い物リストを作るといいっすよ。」

「ありがたいのですが服はお下がりを貰えましたし、他に必要なものもないので大丈夫です。」

「女の子なのにそんな野郎どものお下がりなんて勿体無いっすよ。金は頭持ちだから気にしなくて大丈夫っすよ。明日、頭が日菜さんを護衛するっすから楽しんでくるといいっすよ。」

「悪いですので大丈夫です。」

「これは船長命令なのでクルーは拒否権ないっす。なので諦めて可愛い服買ってくるといいっすよ。」

えっと言う前にザックは去っていってしまった。

どうしよう。服にこだわりはない。けど下着が1枚しかない。男所帯で乾かしている間何も着ないというとは危ない。ここは大人しく服や下着を買ってもらうか…
けどここでは下っ端のようなことしかやっていない。何もやっていないのに買ってもらうのは悪い気がする。

そう悩んでいたら後ろから

「ひ、日菜。明日、し、島に上陸する。そこで買い物するから準備しとけ。」

振り向くとそこには船長がいた。

「わかりました。ほぼ何もやっていないのにお手数をお掛けして申し訳ありません。」

そう頭を下がると

「き、気にしなくていい。お前が手伝ってくれてた、助かると聞いている。」

「そうですか。そういえばクリームありがとうございます。ありがたく手に塗らせてもらっています。こんな自分によくでしいただきありがとうございます、船長。」

船長は少し顔を赤くして

「いや、役立ったのならよかった。あ、あと俺は船長じゃなくて、ヴィ、ヴィルターだ。」

「知ってますよ?」

そう言うとこのクマはジッと自分を見てきた。

「もしかして名前で呼んで欲しいと言うことでしょうか?」

今度は顔を真っ赤にさせて

「そ、そ、そうだ。呼んでくれると嬉しい。」

「下っ端が呼んで船長の威厳は大丈夫なのですか?」

船長の太眉がぴくと動き

「も、もしかして、手伝いを断ってきたのは俺の頭としての威厳を気にしてくれたのか?」

ジッとこっちを見ている。少し目をキラキラさせているように感じる。

「そうですね。自分は突然入ってしまい元いた和を乱してしまうと申し訳ないので。」

そう言うと喜んでいたのに少し眉が下がった。
それも一瞬でいつものコワモテに戻ったが。

「大丈夫だ。俺達海賊にとってボスをどう決めるかは場所によるがここは戦場での強さがあれば大丈夫だ。」

「そうですがでは船長が名前で呼べというならば呼ばせていただきます。」

「な、名前で呼べ!」

「わかりました。ヴィルター。」

そう言うとヴィルターはすごい嬉しそうに目をキラキラしている。少しわかりずらいけど骨角が少し上がっている。よっぽど名前を呼ばれたかったらしい。
可愛いものが好きと聞くがこんなゴミのようなものしか愛でられないと考えると少し不憫に感じる。

「明日はよろしくお願いします。では。」

そう言ってヴィルターの元から去った。
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