海とともに〜海賊に拾われましたが優しいクマ共に頑張ります〜

猿山 龍

文字の大きさ
上 下
4 / 24
1.出会い

誰か…

しおりを挟む
痛い。助けて…殺して…誰か…

自分は駆け落ちした両親から生まれた。
父が陰陽師の家、三条家生まれて、今落ちぶれの陰陽師の中ではなかなかの力、霊力があったから三条家復興と無駄な野心を持つ奴らに1番霊力がある娘と結婚して子供産んで強い子を作ろうと画策したようだ。
そんな中、父はその家に花を下ろしてる母と出会って、結婚したいと言ったが霊力のないやつは認められんと言われ駆け落ちしたそうだ。
両親はとても愛情を注いでくれた。もう思い出せないけど優しさと父の言葉はしっかり覚えてる。

自分が1歳の時父は突然姿を消した。
その前日に父に向かって「なんで後ろに黒いの連れてるの?」と言ったことが原因だと今ならわかる。あれは呪いだ。
けど当時はわからなくて悲しかった。母は父に理由を聞かされたのかこれから2人で頑張ろうと言っていたがその影で母が泣いていたことを知っている。

それから3歳になるまで自分は家から1歩も出されなかった。理由は父が言っていたが自分の霊力の強さと才能だ。ここには父が残した本や道具があって結界が張ってるから妖はやってこないけど外は危なくて霊力の強い人間は妖にとってはご馳走だから力を使えるようになるか父の作った簡易結界を持って歩かないとダメらしい。しかしそれも多くはない。
母は仕事で忙しく家にあまりいなかったけど帰ってくるとたくさん撫でてくれた温かかった。

3歳の自分の誕生日、初めて家の外に出た。母がケーキを買いに行こうと言ってくれた。とても嬉しくてはしゃいだのを覚えてる。

そのケーキを買った帰り道悲劇が起こった。

交差点を渡る時に1台の車がブレーキをかける様子もなく突っ込んできた。
母は自分庇って車に引かれた。
正直何が起こっているかわからなかった。母に駆け寄ると母はか細い声で何かを言ったけど思い出せない。

泣いているといきなり後ろから抑えられて顔を地面にぶつけた。なんとか後ろを見るとそれは明らかに人ならざるものだった。唐突に理解した。自分を狙った妖が人にとりつき車で引いて自分を食べようとしたことを。よく見ると車のドアが開いていてその前に運転手らしき人が倒れてるのが見える。

発狂してそれ以降に記憶はない。
気がつくとあれから数日たっており、母を火葬した骨のまあに立っていた。今になれば自分は力を暴走させてあの妖を殺したんだと思う。
その後、父の親族だと言う男が声をかけてきた。自分を引き取るから迎えに来たと。
よくわからないままその人について行った。いや、行きたくなかったが3歳の自分は1人では生きていけずついて行く他選択肢はなかった。

三条家に迎えられた自分は出されたジュースを飲んだら気を失ってしまい起きたら床に貼り付けにされていた。顔をなんとか起こすと迎えに来ていた男が目を覚ましたことに気づき笑顔で声をかけてきた。

「これで今から君は俺たちの奴隷だよ。大丈夫。感情も何もない人形になるだけだから辛くないよ。」

ゾワっとした。そうしていると床が光出した。
声を変えてきた男の後ろには呪文を呟いている男がして、よくみると床には陰陽師が使う陣が引いてあった。
なんの陣かよくわからなかったがまずいと思って霊力をただ全開にして出した。抵抗する方法も無効化する方法もわからないけど父が霊力で困ったことがあれば取り敢えず霊力でぶん殴れと言った。
兎に角必死で抵抗すると少し陣が綻ぶと同時に呪文がやんだ。

男たちは何か話し合っている。なんとか逃げようともがいても拘束が取れない。そうしているうちに男たちが近づいてきて拘束を外した。今だと思い男たちの間をぬって逃げようとすると

「動くな!」

そう言われた瞬間体が動かなくなった。

「これは成功か?」

「いや、陣が少し綻んでいて完全な支配にはなってないが綻んだ場所が感情をなくすだけの場所だからよかった。大丈夫。これはあれは私たちの道具だ。」

何を言っているかわからないうちに話が進んだ。そして少し待てばいやでも理解してしまう。自分はこいつらに絶対逆らえない道具にさせられたと。

それ以降は地獄の一言に尽きる。
ストレス発散のサンドバッグは当たり前、3歳なのに金をもってこいと言われ仕方なく妖狩りを始めた。

妖に恨みがあるかと言われると難しい。母を殺したのは妖だが他の妖は何もしていない。妖すべてを恨むかと言われればいいえと答えるだろう。
妖狩りは基本国が陰陽師達に対して、これは人ならざるものがやっているんではないかという事案を送ってきてそれを解決すれば金になる。

幸いなことに金を稼げと言われたがどう稼げとは言われてない。3歳の自分ができることなんでたかが知れてる。外で普通には働かない。そもそも3歳は養ってもらう立場だ。この歳で稼げるのは実質妖狩りしかなかった。
ならせめて悪いことをした奴だけにしようと思った。そうしないと自分が保てないような気がしたから。

それから14年。自分は今年で17になる。
何も嬉しくない。何も感じない。もう喜びや悲しみの感情なんてどこかに捨てた。自分はあいつらの命令に従いつつ他の被害を最小限にすればいいとそう思った。そういう道具でいいと。それなら自分だけで全てが完結すると。

死のうとしても死ぬなと言われて自害できず殺されそうになったら相手を殺せと言われているから自分より強い人でないと自分を殺せない。力と才能があって自らの意識で死なない自分はどう足掻いても妖との戦闘の度に強くなっていった。どんどん自分が死ねなくなる。化け物になる…

誰か…誰か自分を終わらせて。たすけて…
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

後宮の棘

香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。 ☆完結しました☆ スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。 第13回ファンタジー大賞特別賞受賞! ありがとうございました!!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ
恋愛
周辺諸国19国を統べるエテルネル帝国の皇帝が崩御し、若い皇子が即位した2年前から従属国が次々と姫や公女、もしくは美女を献上している。 既に帝国の令嬢数人と従属国から18人が後宮で住んでいる。 未だ献上していなかったプロプル王国では、王女である私が仕方なく献上されることになった。 後宮の余った人気のない部屋に押し込まれ、選択を迫られた。 欲の無い王女と、女達の醜い争いに辟易した新皇帝の噛み合わない新生活が始まった。 * 作り話です * そんなに長くしない予定です

離婚した彼女は死ぬことにした

まとば 蒼
恋愛
2日に1回更新(希望)です。 ----------------- 事故で命を落とす瞬間、政略結婚で結ばれた夫のアルバートを愛していたことに気づいたエレノア。 もう一度彼との結婚生活をやり直したいと願うと、四年前に巻き戻っていた。 今度こそ彼に相応しい妻になりたいと、これまでの臆病な自分を脱ぎ捨て奮闘するエレノア。しかし、 「前にも言ったけど、君は妻としての役目を果たさなくていいんだよ」 返ってくるのは拒絶を含んだ鉄壁の笑みと、表面的で義務的な優しさ。 それでも夫に想いを捧げ続けていたある日のこと、アルバートの大事にしている弟妹が原因不明の体調不良に襲われた。 神官から、二人の体調不良はエレノアの体内に宿る瘴気が原因だと告げられる。 大切な人を守るために離婚して彼らから離れることをエレノアは決意するが──。 ----------------- とあるコンテストに応募するためにひっそり書いていた作品ですが、最近ダレてきたので公開してみることにしました。 まだまだ荒くて調整が必要な話ですが、どんなに些細な内容でも反応を頂けると大変励みになります。 書きながら色々修正していくので、読み返したら若干展開が変わってたりするかもしれません。 作風が好みじゃない場合は回れ右をして自衛をお願いいたします。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

処理中です...