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8かぼ!いちごになりたい
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「へえ!いちごの屋台があるんだ?」
街中に入ると馬車の中から見えたいちごの絵ののぼり旗。
何気なく言った一言にかぼパンの表情が強張ったのを私は見逃さなかった。
何かある……
向かいに座っているランを見つめると、小さく頷き行けと指で合図。
これは間違いなくオススメされている。
ちなみにランはまだかぼパンを抱っこ中。羨ましい。それは置いておいて、ランの合図をスルーは出来ない。
「私いちご屋台に行ってみたいな!」
「べっ、べつにわざわざ屋台に行かなくても城で食べられるぞ」
目を逸らし、気まずそうに言ったかぼパン。
昨日から思っていたけど絶対嘘つけないタイプだわ。こんな態度じゃ何かあると言っているようなものだ。
「それが今食べたいの!馬車ってどうやって止まるの?」
「フッフッ、分からないだろう!」
勝ち誇った表情のかぼパンだったが、ランが窓の外の護衛に合図して馬車を停めさせた。
「せっかく聖女様が見たいと言っているんですから」って言いながら。ラン、グッジョブ!
降りてすぐいちご屋台へ走ると、国王陛下御用達と書いてある事に気がついた。
「わぁ!ここのいちごは国王陛下御用達なんですね!」
「そうなんだよ!今の王様は子供の頃からいちごが大好きでね」
いちご好きなんだ?
はあっ、いちごを食べるかぼパンを想像しただけで可愛いっ!
でもそのくらいの情報の為に、あんなに気まずそうに目を逸らすかな?
考えていると屋台のオジサンがチラシを差し出してきた。
チラシにはかぼパンがいちごに一口かじりついている、可愛らしい写真が載っている。
もう可愛すぎてヤバイレベル。可愛い子が可愛い食べ物を口にすると超絶可愛いと言う事だ!
かぼパンはこれが見られたくなかったのね。
「可愛い~!」
「そうだろう?写真を使わせて貰う代わりに、いちごを無料で献上しているんだ」
あのかぼパンが自分の写真と引き換えにするほど……そんなにいちごが好きなのね?きゅん。
「このチラシ貰っても良いですか?」
「やっぱり君も王様の事が好きなのかい?」
やっぱり君も?
「はい!大好きです」
「本当はいちごを買ってくれた人にプレゼントしているんだけどね。大好きだと言い切れるお嬢さんにプレゼントするよ」
「良いんですか?ありがとうございます!」
この世界のお金がないのでご好意は助かる。
お礼にいちご飴の作り方を教えると、おじさんは「良い事を教えてもらったお礼だ」と、なんといちごも1パックくれたのだった。
「何故この世界のお金がないのにいちごとチラシを手にしているんだ!」
馬車に戻ると諦め顔のかぼパンが言う。お金がないからゲットできないと高を括っていたのだろう。
「残念でした!お礼のお礼に貰っちゃった!好きなんでしょう?いちご食べよう」
「ほんとうに名ばかりは……」
ブツブツ言いながらも手を伸ばし、いちごを食べたかぼパン。パックごと渡すと、ちょこんと膝の上に乗せ食べ始めた。
可愛い!ランのお膝の上で食べている事も可愛さを増している!
チラシも可愛いけど生はもっと可愛い。
ニヤニヤしながら眺めていると、かぼパンは心配になるくらい次々といちごを口へ放り込んでいく。
「食べ過ぎじゃない?」
「いつもこんな感じだ」
「なら良いけど、それにしてもこのチラシ……」
「なんて言いたいか分かるからいちいち言わなくてもいいぞ」
可愛いと言うと思ったのだろう。その通りだけど!
「いちごが美味しそうだよね」
違う事を言ってみるとかぼパンの頬がプクっと膨らんだ。
可愛いっ!自分の事じゃなかったから?それともただ単に外れたから?どちらにしろ可愛いすぎる!
「いちごに集中したいから話しかけないでくれ」
プンプンしながらまたいちごを食べ始めたかぼパン。いちごに集中って、どれだけ好きなんだか。
プンプンしながらも夢中で食べる姿が可愛すぎてニヤニヤすると、ランがビクっと動いた。抱っこしているからかぼパンの表情が見られないもんね。
「お膝の上でいちごを食べている姿は最高よ」
勝ち誇った表情で言うと、ランはいちごに夢中なかぼパンを私に差し出した。
同志よ!
私はすぐさまかぼパンを膝に乗せる。
ああ、いちごに夢中で私の膝に移った事を気付かないかぼパン可愛すぎる。今度いちごで餌付けしようかな。
向かいに座るランが今にも吹き出しそうな表情で見ている。
彼は待っているのだ。かぼパンが私の膝に座っている事に気付く瞬間を。
「ふぅ、思わぬところでいちごを食べる事になってしまったな。ラン、ハンカチを」
ヘタのみになったいちごの容器を見ながら手を差し出したかぼパン。
ランが正面からハンカチを差し出すと、うむ。と受け取り固まった。
「な、何故ランが目の前に……?」
少し震えた声。ああ、今とっても良い顔をしているのだろう。同志の表情が……
「ブハッ」
吹き出すほど楽しそうだから。
恐る恐る振り向き私を見上げたかぼパン。
ひきつって怯えたような表情もたまらなく可愛いっ!
「なっ、なぜだあぁぁ!」
「気付かない方がおかしいのよ?」
「だって、いちごがっ!いちごがぁぁぁぁ!」
空のパックを落とし、頭を抱えたかぼパン。
ああっ、可愛い!きゅんきゅん!
「はいはい、危ないから暴れないでくださいねー」
「だから子供扱いするなぁぁあ」
背中を軽くトントンしながら言うと、かぼパンは膝から降り、私を見上げて頰をふくらませた。無自覚なのか?こんなの可愛いに決まっている。
「そうプンプンしないで」
デレデレしながら頭を撫でるが機嫌は治らないらしい。
「誰のせいだ!」
「いちごに夢中で気付かなかったかぼパンのせいかな」
「何故そうなる!」
プンプンしてる姿も最高級に可愛いけど、今はあの顔がみたい。
「私もかぼパンからいちごと同じくらい好かれたいなぁ」
「な、なっ、な……」
顔をいちごみたいに真っ赤にして言葉を失ったかぼパン。これこれ、もう可愛すぎ!
街中に入ると馬車の中から見えたいちごの絵ののぼり旗。
何気なく言った一言にかぼパンの表情が強張ったのを私は見逃さなかった。
何かある……
向かいに座っているランを見つめると、小さく頷き行けと指で合図。
これは間違いなくオススメされている。
ちなみにランはまだかぼパンを抱っこ中。羨ましい。それは置いておいて、ランの合図をスルーは出来ない。
「私いちご屋台に行ってみたいな!」
「べっ、べつにわざわざ屋台に行かなくても城で食べられるぞ」
目を逸らし、気まずそうに言ったかぼパン。
昨日から思っていたけど絶対嘘つけないタイプだわ。こんな態度じゃ何かあると言っているようなものだ。
「それが今食べたいの!馬車ってどうやって止まるの?」
「フッフッ、分からないだろう!」
勝ち誇った表情のかぼパンだったが、ランが窓の外の護衛に合図して馬車を停めさせた。
「せっかく聖女様が見たいと言っているんですから」って言いながら。ラン、グッジョブ!
降りてすぐいちご屋台へ走ると、国王陛下御用達と書いてある事に気がついた。
「わぁ!ここのいちごは国王陛下御用達なんですね!」
「そうなんだよ!今の王様は子供の頃からいちごが大好きでね」
いちご好きなんだ?
はあっ、いちごを食べるかぼパンを想像しただけで可愛いっ!
でもそのくらいの情報の為に、あんなに気まずそうに目を逸らすかな?
考えていると屋台のオジサンがチラシを差し出してきた。
チラシにはかぼパンがいちごに一口かじりついている、可愛らしい写真が載っている。
もう可愛すぎてヤバイレベル。可愛い子が可愛い食べ物を口にすると超絶可愛いと言う事だ!
かぼパンはこれが見られたくなかったのね。
「可愛い~!」
「そうだろう?写真を使わせて貰う代わりに、いちごを無料で献上しているんだ」
あのかぼパンが自分の写真と引き換えにするほど……そんなにいちごが好きなのね?きゅん。
「このチラシ貰っても良いですか?」
「やっぱり君も王様の事が好きなのかい?」
やっぱり君も?
「はい!大好きです」
「本当はいちごを買ってくれた人にプレゼントしているんだけどね。大好きだと言い切れるお嬢さんにプレゼントするよ」
「良いんですか?ありがとうございます!」
この世界のお金がないのでご好意は助かる。
お礼にいちご飴の作り方を教えると、おじさんは「良い事を教えてもらったお礼だ」と、なんといちごも1パックくれたのだった。
「何故この世界のお金がないのにいちごとチラシを手にしているんだ!」
馬車に戻ると諦め顔のかぼパンが言う。お金がないからゲットできないと高を括っていたのだろう。
「残念でした!お礼のお礼に貰っちゃった!好きなんでしょう?いちご食べよう」
「ほんとうに名ばかりは……」
ブツブツ言いながらも手を伸ばし、いちごを食べたかぼパン。パックごと渡すと、ちょこんと膝の上に乗せ食べ始めた。
可愛い!ランのお膝の上で食べている事も可愛さを増している!
チラシも可愛いけど生はもっと可愛い。
ニヤニヤしながら眺めていると、かぼパンは心配になるくらい次々といちごを口へ放り込んでいく。
「食べ過ぎじゃない?」
「いつもこんな感じだ」
「なら良いけど、それにしてもこのチラシ……」
「なんて言いたいか分かるからいちいち言わなくてもいいぞ」
可愛いと言うと思ったのだろう。その通りだけど!
「いちごが美味しそうだよね」
違う事を言ってみるとかぼパンの頬がプクっと膨らんだ。
可愛いっ!自分の事じゃなかったから?それともただ単に外れたから?どちらにしろ可愛いすぎる!
「いちごに集中したいから話しかけないでくれ」
プンプンしながらまたいちごを食べ始めたかぼパン。いちごに集中って、どれだけ好きなんだか。
プンプンしながらも夢中で食べる姿が可愛すぎてニヤニヤすると、ランがビクっと動いた。抱っこしているからかぼパンの表情が見られないもんね。
「お膝の上でいちごを食べている姿は最高よ」
勝ち誇った表情で言うと、ランはいちごに夢中なかぼパンを私に差し出した。
同志よ!
私はすぐさまかぼパンを膝に乗せる。
ああ、いちごに夢中で私の膝に移った事を気付かないかぼパン可愛すぎる。今度いちごで餌付けしようかな。
向かいに座るランが今にも吹き出しそうな表情で見ている。
彼は待っているのだ。かぼパンが私の膝に座っている事に気付く瞬間を。
「ふぅ、思わぬところでいちごを食べる事になってしまったな。ラン、ハンカチを」
ヘタのみになったいちごの容器を見ながら手を差し出したかぼパン。
ランが正面からハンカチを差し出すと、うむ。と受け取り固まった。
「な、何故ランが目の前に……?」
少し震えた声。ああ、今とっても良い顔をしているのだろう。同志の表情が……
「ブハッ」
吹き出すほど楽しそうだから。
恐る恐る振り向き私を見上げたかぼパン。
ひきつって怯えたような表情もたまらなく可愛いっ!
「なっ、なぜだあぁぁ!」
「気付かない方がおかしいのよ?」
「だって、いちごがっ!いちごがぁぁぁぁ!」
空のパックを落とし、頭を抱えたかぼパン。
ああっ、可愛い!きゅんきゅん!
「はいはい、危ないから暴れないでくださいねー」
「だから子供扱いするなぁぁあ」
背中を軽くトントンしながら言うと、かぼパンは膝から降り、私を見上げて頰をふくらませた。無自覚なのか?こんなの可愛いに決まっている。
「そうプンプンしないで」
デレデレしながら頭を撫でるが機嫌は治らないらしい。
「誰のせいだ!」
「いちごに夢中で気付かなかったかぼパンのせいかな」
「何故そうなる!」
プンプンしてる姿も最高級に可愛いけど、今はあの顔がみたい。
「私もかぼパンからいちごと同じくらい好かれたいなぁ」
「な、なっ、な……」
顔をいちごみたいに真っ赤にして言葉を失ったかぼパン。これこれ、もう可愛すぎ!
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