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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その13 兄妹?
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「先輩、読み終わったんで次の巻貸して下さい」
「あ、うん。いいよー」
と、僕は自分の持ってきたライトノベルをちぃに渡す。僕とちぃは、この部活の時間は決まって本を読んでいるのだ。
本は読んでいると、いつも僕らを別次元の世界へと連れ込んでいき、まるで僕らがその物語の主人公になったかのようになれるので好きだ。
本を読んでいて損はない。逆に国語の成績が上がったりするので、僕としては得しかない。
本を読んでいる僕らを見ながら、先輩はふと、独り言のようにこう呟いた。
「鍵くんとちぃちゃんってさー、兄妹みたいだよねー」
「「えっ?」」
見事にちぃと声がハモってしまったが、問題ではない。望子先輩は突然何を言い出すかと思えば、僕とちぃが兄妹だって?
「うん。だって、いつもこうして二人仲良く本読んでるよね? それが何だか本当の兄妹に見えてさ」
確かに。僕とちぃはいつもこうして二人で本を読んで過ごしている。第三者から見たら、そりゃ仲の良い兄妹に見えないことはないだろう。
顔は似てないとはいえ、毎日のようにこうしているのだから、誰だって誤解してしまうことはある。
「先輩と私が、兄妹……ですか。確かに、他の人から見るとそう誤解されそうですよね。私と先輩は小さい頃からずっと一緒にいたんですから」
「そうなのか?」
路世先輩までもが、この話に参加してくる。……確かに、まだ先輩たちには僕とちぃの関係についてまったく話してなかったハズだ。
「えぇ。ちぃとは、僕が幼稚園の時から家が近所でして、同じ幼稚園に通っていたことがきっかけで仲良くなったんです」
「へぇー……。じゃあ、ちぃちゃんと鍵くんはかなり前から仲良しだったんだね」
「はい。ちぃとは小学校も中学校も同じで、僕も実の妹のように可愛がっていたんです」
「せ、先輩……!?」
と、ちぃは驚きの声をあげた。……まぁ、自分で言ってて恥ずかしいが、事実は事実だ。僕はちぃのことを、実の妹のように可愛がっていたし、何かあればいつも話を聞いたりしていた。
それは実の兄弟のいない僕からすれば、本当に自分に兄妹が出来たかのように思いたかっただけなのかもしれない。一人っ子は意外と寂しいものだ。
ちぃだって一人っ子だが、僕がいたからこそ、きっと寂しい思いをせずに済んだのだろう。僕は、ちぃのことを寂しかった自分と照らし合わせていたのかもしれない。
「ふぅーん……。それでも、こんな可愛い妹がいて、鍵くんは幸せだねー」
「はい、それはもう本当に」
「や、やめてくださいよ、二人とも……」
恥ずかしいのか、それとも照れくさいのか、ちぃは頬を真っ赤にしながら、顔を背けるのだった。
「あ、うん。いいよー」
と、僕は自分の持ってきたライトノベルをちぃに渡す。僕とちぃは、この部活の時間は決まって本を読んでいるのだ。
本は読んでいると、いつも僕らを別次元の世界へと連れ込んでいき、まるで僕らがその物語の主人公になったかのようになれるので好きだ。
本を読んでいて損はない。逆に国語の成績が上がったりするので、僕としては得しかない。
本を読んでいる僕らを見ながら、先輩はふと、独り言のようにこう呟いた。
「鍵くんとちぃちゃんってさー、兄妹みたいだよねー」
「「えっ?」」
見事にちぃと声がハモってしまったが、問題ではない。望子先輩は突然何を言い出すかと思えば、僕とちぃが兄妹だって?
「うん。だって、いつもこうして二人仲良く本読んでるよね? それが何だか本当の兄妹に見えてさ」
確かに。僕とちぃはいつもこうして二人で本を読んで過ごしている。第三者から見たら、そりゃ仲の良い兄妹に見えないことはないだろう。
顔は似てないとはいえ、毎日のようにこうしているのだから、誰だって誤解してしまうことはある。
「先輩と私が、兄妹……ですか。確かに、他の人から見るとそう誤解されそうですよね。私と先輩は小さい頃からずっと一緒にいたんですから」
「そうなのか?」
路世先輩までもが、この話に参加してくる。……確かに、まだ先輩たちには僕とちぃの関係についてまったく話してなかったハズだ。
「えぇ。ちぃとは、僕が幼稚園の時から家が近所でして、同じ幼稚園に通っていたことがきっかけで仲良くなったんです」
「へぇー……。じゃあ、ちぃちゃんと鍵くんはかなり前から仲良しだったんだね」
「はい。ちぃとは小学校も中学校も同じで、僕も実の妹のように可愛がっていたんです」
「せ、先輩……!?」
と、ちぃは驚きの声をあげた。……まぁ、自分で言ってて恥ずかしいが、事実は事実だ。僕はちぃのことを、実の妹のように可愛がっていたし、何かあればいつも話を聞いたりしていた。
それは実の兄弟のいない僕からすれば、本当に自分に兄妹が出来たかのように思いたかっただけなのかもしれない。一人っ子は意外と寂しいものだ。
ちぃだって一人っ子だが、僕がいたからこそ、きっと寂しい思いをせずに済んだのだろう。僕は、ちぃのことを寂しかった自分と照らし合わせていたのかもしれない。
「ふぅーん……。それでも、こんな可愛い妹がいて、鍵くんは幸せだねー」
「はい、それはもう本当に」
「や、やめてくださいよ、二人とも……」
恥ずかしいのか、それとも照れくさいのか、ちぃは頬を真っ赤にしながら、顔を背けるのだった。
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