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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その15 嫌悪?
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「じゃ、これでかいさーん!!」
望子先輩のその一声で今日の部活はお開きとなった。今日もいつもと同じく本を読んで時間を潰していただけだが、それがこの太鼓部らしい。
一体この部活の部費はどこに回しているのだろうかと、不安に思った事もあったが、細かいことを気にしてはいけない気がしたので先輩に聞こうとは思わなかった。
ガラガラ、と部室の扉を開け、そのまま先輩たちが出て行くのを見送り、最後に僕が部室から出ると、そこには
「……あら、ケンくん?」
「一夜? それに紗琉まで?」
三階の文化部棟の廊下に、一夜と紗琉がいたのだ。きっと生徒会の活動中なのだろう。
「もしかして、ケンくん。太鼓部に入ったの? あんなに部活に入ろうとしなかったのに……」
「まぁ、何もやらないよりかはマシかなって……それで二人は? 生徒会?」
「えぇ、文化部棟の見回りをしていたの。ほら、部活の備品の欠品とかあったりするじゃない? それの見回りをしていたの」
「そうだったんだ。そっちも忙しそうだね」
と、一夜と他愛もない話をしていく。と、望子先輩は、放している僕に向かって、まるで置いていくかのように言い放った。
「鍵くん、帰るよー?」
「あ、はーい。じゃ、生徒会の仕事、頑張ってね」
と、僕はその場を立ち去ろうとしたその時だった。
「鍵」
不意に紗琉に声をかけられる。一体何なのだろうかと、僕は紗琉の方を振り返る。紗琉はこれまで見たこともないような不機嫌そうな顔をしながら、とんでもないことを言ったのだ。
「……あまり、太鼓部に関わらないほうがいいわよ」
「…………」
それは何かの忠告なのだろうか? それともただの嫌味だろうか。よく分からないが、紗琉は不機嫌そうな顔でそう僕に言い放ったのだ。
「紗琉、それって……」
「せんぱぁーい!」
と、今度はちぃの急かすような声。僕は紗琉にその言葉の真相を聞くことは出来ず、その場を立ち去るかのようにちぃ達の元へと駆けていく。
その時の僕は、紗琉のその言葉の意味が分からないのだった。
望子先輩のその一声で今日の部活はお開きとなった。今日もいつもと同じく本を読んで時間を潰していただけだが、それがこの太鼓部らしい。
一体この部活の部費はどこに回しているのだろうかと、不安に思った事もあったが、細かいことを気にしてはいけない気がしたので先輩に聞こうとは思わなかった。
ガラガラ、と部室の扉を開け、そのまま先輩たちが出て行くのを見送り、最後に僕が部室から出ると、そこには
「……あら、ケンくん?」
「一夜? それに紗琉まで?」
三階の文化部棟の廊下に、一夜と紗琉がいたのだ。きっと生徒会の活動中なのだろう。
「もしかして、ケンくん。太鼓部に入ったの? あんなに部活に入ろうとしなかったのに……」
「まぁ、何もやらないよりかはマシかなって……それで二人は? 生徒会?」
「えぇ、文化部棟の見回りをしていたの。ほら、部活の備品の欠品とかあったりするじゃない? それの見回りをしていたの」
「そうだったんだ。そっちも忙しそうだね」
と、一夜と他愛もない話をしていく。と、望子先輩は、放している僕に向かって、まるで置いていくかのように言い放った。
「鍵くん、帰るよー?」
「あ、はーい。じゃ、生徒会の仕事、頑張ってね」
と、僕はその場を立ち去ろうとしたその時だった。
「鍵」
不意に紗琉に声をかけられる。一体何なのだろうかと、僕は紗琉の方を振り返る。紗琉はこれまで見たこともないような不機嫌そうな顔をしながら、とんでもないことを言ったのだ。
「……あまり、太鼓部に関わらないほうがいいわよ」
「…………」
それは何かの忠告なのだろうか? それともただの嫌味だろうか。よく分からないが、紗琉は不機嫌そうな顔でそう僕に言い放ったのだ。
「紗琉、それって……」
「せんぱぁーい!」
と、今度はちぃの急かすような声。僕は紗琉にその言葉の真相を聞くことは出来ず、その場を立ち去るかのようにちぃ達の元へと駆けていく。
その時の僕は、紗琉のその言葉の意味が分からないのだった。
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