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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その140 合宿 その7
しおりを挟む「よし、いい感じだな」
「そりゃーね! いつまでも後輩に負けてばかりの私じゃないよ!」
午前中の練習は、それぞれグループに分かれての練習だった。
片方が模擬戦をやり、もう片方は譜面に慣れる練習。勿論、ある程度練習したら交代するというシステムだ。
……午後から紅白戦をやるらしいので、今のうちにある程度練習しておかないといけない。
「凄いな、望子先輩……。いつまでものんきしてたわけじゃないんだな」
「ですね。どこかで隠れて練習してたんじゃないんですか?」
「説あるな、それ」
ちぃと二人で模擬戦の様子を見ながら、そんなことを話していた。
……確かに、いつもの望子先輩とは違うのが分かった。この人は、練習中と試合中のギャップが凄い違うのに、今回の練習中は試合中の望子先輩みたいだ。
「ほら二人とも。休憩は終わったわよ。練習再開するわよ」
「はい」「へーい」
紗琉にせかされながら、僕らも僕らの練習を再開する。
「とりあえず、私たちは譜面を覚えることね。何度かやっているし、ある程度は覚えれてると思うから、後は細かなタイミングの調整ね」
「そうだね」
僕らは次の試合の課題曲の譜面での練習を再開する。
部室とは違って、ここには筐体が三つあるのが一番の凄いところだろう。そのため、こうしてグループに分かれて練習できたのだ。
「……まぁ、ケンはよく譜面を覚えれているわね」
「そりゃ紗琉たちよりも早めに練習に参加していたしね」
「言ってもそんなに変わらないでしょ。私だってもうある程度は覚えれているわ」
なぁんて他愛もない話をしながら、ちぃの練習風景を眺めていた。
……ちぃもいい感じに仕上がっている。次の試合、誰が出場するのかまだ決まっていないので、こうして全員で練習しなくてはならないが、まぁそればかりは仕方がない。
UDYが三人チームのため、僕らも合わせて三人で試合をしなくてはならないのが「どん・だー」のルールである。
「……今回、蒼崎先生は誰を出場させるんだろうね」
「さぁ。あの人ってば、どこか掴めない部分があるから……」
それもそうだ。あの人の考えていることはあの人以外分からないくらい掴めない人だ。そのため、周りからは「不思議な先生」と称されている。
だが、その掴めない部分が一部の生徒に人気であるのが謎だ。確かに、個人的には面白い先生だと思うのだが……
「まぁ、ごちゃごちゃ言ってても仕方ないし、僕らは僕らのやれることをやっていこう……ぐぇっ!」
「ケン!?」
「ごめん、鍵くん! 私のバチがそっちに飛んで行っちゃった!」
「……どうしたらバチがすっぽ抜けていくのか、俺には理解できかねるぜ……望子」
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