どん・だー ~私立海老津学園太鼓部活動録~

とらまる

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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~

その134 合宿 その1

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「……路世先輩、本気にしちゃってますね」
「レクリエーションなんだけどなぁ……」

 僕とちぃは二人でそんなことを話しながら、他のメンバー四人が遊んでいるのを見ていた。
 望子先輩の提案でビーチバレーをやることになり、三年生チームと生徒会チームで対戦真っ最中だったのだ。

「なかなか、どうしてッ!」
「力みすぎなんだよ路世ちゃん。もっと力抜いてさぁ」
「ぬぅ……」
「大事なのは、自分らしく打つことだからね。上からサーブ打つより、下からサーブ打つとかなり安定するよ」
「なるほどな……下からか。それは考えてなかったな」

 と、路世先輩は望子先輩の提案通りにしたからサーブを打つ。ボールは放物線を描いて、紗琉たちのコートに落ちていく。

「えいっ」

 と、紗琉がボールを捌く。……なんだかんだ、普通にビーチバレーを楽しんでいるようだった。
 得点差もあんまり変わりないのも無理はない。ついさっき始めたばっかりだから。

「……なんだかんだ、普通に遊んでるね、僕ら」
「そうですね。合宿に来たとは到底思えないですよ」

 皮肉そうにちぃは笑みを浮かべながら言葉を漏らした。
 ……確かに、この光景を傍から見れば合宿だなんて、誰が思うだろうか。
 まぁそれでも、ちゃんと親睦を深めるという路世先輩の計画には合っているし、これでいいんだろうな。

***

 ある程度遊び尽くし、みんな完全に疲れている様子だった。
 ぐったりとそれぞれベンチに横たわる。

「誰ですか……ただのビーチバレーをあんなハードなものにしたのは……」
「ただのレクリエーションだったのに……どうして……」

 後から完全に遊びとは言えないくらいのハードなビーチバレーになっていた。
 特に路世先輩のせいだろう。あそこまで本気になるとは思ってなかった。それに負けず嫌いだし……一体何回の泣きの一回を僕らは受けたのだろうか。望子先輩も途中から完全に死んだ魚のような目をしていた。

「ところで皆さん、そろそろお腹が空きません?」

 と、僕が提案する。すでに陽は一番高いところまで昇っている。もうお昼の時刻になっているだろう。そろそろみんな、お腹が空く時間になっているだろうと僕はふと思った。

「ならば、あれしかないか」
「そうだね……」

 起き上がってみんなで輪になる。

「「「コーンビニじゃーんけん、じゃーんけん!」」」
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