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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その132 提案
しおりを挟む次の日。僕らは放課後、いうものように練習に励んでいた。
昨日の練習試合を見てからというもの、今までとは全然レベルの違うところを見せられたので、僕含めメンバー全員のやる気はいつも以上に上がっていた。
「……やっぱり、昨日のアレが拍車をかけたみたいだね」
「そうですね」
ソファーに座りながら、ちぃと話す。キンキンに冷えた麦茶が、僕の喉を通った。
紗琉と一夜は、まだ生徒会の仕事で忙しそうだ。まだ部室に顔を出していない。
……まぁ、あの二人なら僕らの知らないところで自主練くらいしているだろう。
「ちぃは昨日の試合、どう思った?」
「そうですね……。純粋に本戦まで行くとなると、あそこまでレベルが格段にあがるなんて思ってなかったです」
「そうだよね……」
逆に予選があんなもので済んでよかったんだなって今なら思えるほどだ。
これまで見たことのないスコア数。パーフェクトの多さ。バチの捌き方。連打の譜面の際のロール処理だって軽々と行っていた。……未だに僕だってニガテ意識があるっていうのに。
まるで僕らとは別の次元にいるかのような涼しげな顔で戦っていた……。試合じゃスコアで勝敗が決まるため、純粋に上手い下手だったり技術で勝敗が決するといっても過言ではないのだ。
……まだ時間は少しある。その間にでも、僕もロール処理を完全にマスターするしかないのか。
「っと、そうだ。望子、とりあえずその譜面が終わったら一旦中断してくれ」
と、路世先輩は練習を遮った。
「なに? 急にどうしたの?」
「そういや、ぼちぼち夏休みだからな。一つ、ここらで提案があるんだ」
望子先輩はバチを置くと、路世先輩の方を向く。
「終わったよ。で、急に改まってどうしたの?」
「あぁ。俺からの提案なんだが……夏休みに入ってしばらく本戦まで時間があるだろ。相手は昨日のUDYだしな」
「確かにそうですけど……」
「だから、夏休みに入ってから試合まで、合宿を行おうと思ったんだ」
「合宿……?」
「あぁ。わざわざ学校まで来て練習するよりか、そっちの方が効率がいいと思ってな。それに新メンバーも増えたことだし、親睦会も兼ねてと思ってだな……」
なるほど。確かにわざわざ学校に来るよりかは合宿を行った方が練習時間も大幅に増えるだろう。
校内での活動にも時間制限があるわけだし、練習もよく「質より量」というし、そっちの方がいいだろう。
「いいんじゃないですか? 私は賛成です。UDY学園に勝つには行内での活動じゃ時間が足りないと思っていたので」
「私もさんせーい」
望子先輩とちぃも賛成のようだ。
「よし。あとはあの二人に聞くだけだな。詳細はまた今度伝えるから、今はとりあえず記憶の片隅に留めておいてくれ」
「了解です」「はーい」「わかりました」
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