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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その131 本戦への誓い
しおりを挟む「……」
試合も終わり、僕らは客席で唖然としていた。……こんなにも大差をつけて勝利するなんて。
実力も予選の対戦校とは格段に違う。……なんだか、一気に三段階も四段階も違う次元に来たような感じだった。
「凄いな、望子……」
「うん……。でも、これくらいなくっちゃ燃えないねぇ!」
「そうだな……。本戦ってこともあって少しばかりかビビっちまったが、そのくらい強豪じゃなけりゃ張り合いがないしな!」
路世先輩と望子先輩は、いつもよりかなり燃えていた。
「……やっぱり、本戦となるとここまで実力のあるチームと戦うことになるのね」
「でしょうね……。ましてや、あのUDYだもの。どんな練習したらこんなになるのかしら」
対して、一夜と紗琉はUDYと試合することが不安になっているようだった。
「……そうだい、鍵くん。これが俺たちUDYの実力さ」
「……」
……僕でも分かる。UDYは確かに強い。ましてやリーダー不参加の状態でもこれだから、それそれ個々のポテンシャルが高いのはよくわかる。
「……うん。確かに、凄いチームだと思う。それぞれの実力も高いし、流石は前回優勝チームだよ。でも……」
「でも?」
そこで僕は一息吐いた。
「それでも……僕らは負けない。例え実力差があったとしても、その差は試合当日までに埋めるさ。それに、君たちは僕らの本当の実力を知らない。だからこそ……試合当日が楽しみだよ」
そうだ。実力に差があっても、それは練習で補えばいい。そして一気に差を埋める。
僕らだって負けるつもりはさらさらないし、リタイアする気もない。
僕らだって、彼らに負けないくらいのポテンシャルを秘めていると思う。だからこそ、ここまで勝ち上がってこれたのだから。
僕の話を聞いて、和也くんは笑みをこぼした。
「ふふ。……やっぱり君たちに声をかけて正解だったみたいだね。俺たちも同じさ、当日が楽しみだ」
と、手を差し出してくる。
「お互いに、いい試合にしよう」
僕はその手を握る。
「……うん」
試合までまだまだ時間はある。これからしっかり練習して、彼らに勝てるように……いや、絶対に勝つ。
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