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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その124 生徒会室でのひと時
しおりを挟む「ふぅ……。これで粗方片付いたわね」
「お疲れ様、紗琉ちゃん。今お茶淹れたから」
と、一夜はテーブルの上にティーカップを差し出した。……こういうのに気遣いができる一夜は本当に助かる。
コポポ……と空だったティーカップに薄いオレンジのような色の液体が注がれていく。それと同時にジャスミンのような香りが生徒会室を優しく包んでいく。
「ん、ありがと」
と、私は一夜の淹れてくれたお茶を一口。……ん、やっぱり一夜が淹れてくれると自然と心も体も安らいでいくような感じがする。
……何度か私もやってみようと試したのだが、どうしても一夜のような味も香りも出せずに茶葉をダメにしたこともあった。やはりこういうのは一夜がやってくれたほうが断然良い。
「……もうすぐ夏休みね」
一夜は窓の外に目をやりながら、そう呟いた。
外では運動部の掛け声や、野球部がバットでボールを打つ音なんかが聞こえてくる。
「そうね……」
「紗琉ちゃんはなにか予定でもあるのかしら?」
「まーだ特になにも決まってないわよ。そもそも生徒会の活動が夏休み前までに終わるのかどうか怪しいってのに」
「それもそうね」
ふふ、とい一夜は微笑んだ。なんとか今週分の仕事は終わらせたのだが、夏休みまでにこの一学期で終わらせるべき仕事を半分以上終わらせておかなくてはいけない。
夏休みが明けて、一学期は一か月しかないのだから、それこそ余裕をもって終わらせておかなければいけないのも難点なのだが……。
「でも、このペースだとちゃんと夏休み前までには終わるわよ。これも紗琉ちゃんの行動力のおかげね」
「そんなことないわ。一夜だって、私の気づかない小さな仕事をやってくれたからよ。……まぁ、たまにドジってる時もあるけれど」
まぁ、ドジった部分もあるが、本当に一夜には助けてもらってばかりだ。しっかりサポートもしてくれるし、私がいないとこでもちょくちょく仕事をやってくれるし……。
何だかんだ本当に助けてもらってばかりなんだなと痛感させられる。
「ふふ……。紗琉ちゃんってば、本当に真面目になると、物事に一直線になるからね」
「それは……ごめんなさい」
「まぁ、そこが紗琉ちゃんのいいとこだから。私はこういった細かなことしかできないけど……」
「それでも十分よ。ホントに助かってるから、ありがと」
『ありがとう』なんて、少々照れくさいがそれでも本当に彼女には感謝してる。一夜には、私にないものばっかりあるし……ちょっと羨ましいな、なぁんて思ってしまう。
「さてっと、もう少し頑張りますか……」
「あら? 紗琉ちゃん。それって明日やる仕事じゃ……」
「明日やる仕事も、前倒しでやっちゃえば次の日が楽になるじゃない。少しペース早くなるけど、夏休み前より少し早めに仕事終わらせちゃうわよ。どうせ夏休みの課題もあるんだし、余った時間は夏休みの課題にでも時間あてればいいでしょ」
「ふふ。それもそうね」
くすり、と一夜は笑うと、明日の分の仕事に手を付け始めた。
さーて、私もやっちゃいますか!
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