どん・だー ~私立海老津学園太鼓部活動録~

とらまる

文字の大きさ
上 下
120 / 142
第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~

その120 不明点と疑問点

しおりを挟む

 今日の部活もなかなかハードだった。
 僕はお風呂からあがり、自室に戻る。
 これといってもうやることはなく、暇つぶしに僕はケータイをいじりはじめた。
 ……と、ふと気になるものが一つ浮かんだ。

「……そういえば、紗琉は『新生「b's」と旧「b's」』って言ってたな」

 それはあの日の試合前の出来事。紗琉は確かに試合前にそう言った。
 ということは、僕らのほかにも「b's」と呼ばれるチームが存在していたこと。

「…………」

 動画サイトを開き、僕は検索欄に「b's 試合 どん・だー」と打ち込んだ。
 上の方は僕らの試合の映像ばかりだったが、下にスクロールしていくと、僕の知らない試合がアップロードされていた。
 しかも、アップロードされたのも二年前。僕がまだ中学三年生の頃だ。
 それに動画のタイトルは「どん・だー中学生の部」と書いてあるではないか。

「中学生……? 一体誰の……?」

 興味本位で僕は動画を再生する。
 そこには……

「……紗琉!? それに一夜まで!?」

 そう。見慣れたあの二人の姿が映っていたのだ。他にメンバーはいない、たった女子二人だけのチームだった。
 それもそのはず、その二人が紗琉の言っていた旧「b's」のようだ。

「……どういうことなんだ? どうして紗琉と一夜が「どん・だー」に……!?」

 紗琉はそもそも太鼓自体を嫌っているし、一夜だって太鼓を叩いたことすらなさそうなのに……。
 それなのに……今まさに画面に映っているのは紛れもない紗琉たち本人なのだから。
 結果はかなりの大差で紗琉たちの勝利。腕前もかなりのものと見込まれる。

「……訳が、分からない」

 だって、学校での紗琉はあんなに太鼓部を毛嫌っているし、太鼓自体叩きたくないと言っている。
 それなのに……どうして「どん・だー」に参加しているのだろうか……?
 思えば、あの助っ人の時だってそうだった。僕らよりもかなりの腕前だったし、得点だって紗琉が大幅に稼いでいなければ勝てていたかどうかも怪しいくらいだ。

「…………」

 僕はその画面を閉じ、天井を見つめた。
 ……紗琉は本当に太鼓を嫌っているのだろうか?
 本当は何か別の理由があって、叩きたくないだけなのではないだろうか……?
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

「天気予報は気まぐれガールズ」

トンカツうどん
青春
紹介文:ようこそ、天気が気まぐれな世界へ!この物語の舞台は、普通の日常と非日常が交錯するちょっと不思議な街。そこに住む主人公・白井隼人は、平凡な高校生…だったはず。しかし、ある日突然、彼のクラスにやってきた転校生たちは、なんと天気を擬人化した少女たちだった!台風を擬人化した颶風(サフウ)紗風は、まさに嵐を巻き起こすトラブルメーカー。彼女が現れると、まるで天気が彼女の気分に合わせて荒れ狂うようになる。天真爛漫でいつも元気な陽晴光(ひばり ひかり)は高気圧そのもの。彼女がいると周りが一瞬で明るくなるけれど、ちょっと暑すぎるかも?そして、冷徹で冷静な氷雨冷奈(ひさめ れいな)は寒冷前線の化身。彼女が現れると、瞬く間に周囲の空気が冷え込み、まるで冬が訪れたかのような静寂が広がる。さらに、軽口が得意な偏西風の青年・西風悠(にしかぜ ゆう)も登場し、隼人の平穏な日々は一気にカオスへと変貌する。彼女たちはそれぞれが持つ独特な能力で、隼人の生活に次々と波乱を巻き起こしていく。彼が求めるのは、ただの平凡な日常なのに…!笑いあり、ハラハラドキドキありの気まぐれガールズたちが織りなす異色の天気予報。天気を操る彼女たちとの出会いは、隼人にとって驚きと感動の日々となるのか、それともさらなるトラブルの幕開けなのか?風が吹き、雨が降り、太陽が輝く中で繰り広げられる、ちょっぴり不思議で愉快な学園生活が今、始まる!

運命ならば、お断り~好きでもないのに番だなんて~

咲宮
恋愛
 リシアス国の王女オルラは、母を亡くした日に婚約者が自分を捨てようとしている話を聞いてしまう。国内での立場が弱くなり、味方が一人もいなくなった彼女は生き延びるため亡命することにした。君が運命の人だと言って結婚した父も、婚約した婚約者も、裏切って母と自分を捨てた。それ以来、運命という言葉を信じなくなってしまう。「私は……情熱的な恋よりも、晴れた日に一緒にお茶ができるような平凡な恋がしたい」と望む。  亡命先に選んだのは、獣人と人間が共存する竜帝国。オルラはルネという新しい名前で第二の人生を開始させる。  しかし、竜族の皇太子ディオンに「運命の番だ」と言われてしまう。 「皇太子ディオン様の運命の番とは、誰もが羨む地位! これ以上ない光栄なことですよ」と付き人に言われるも「ごめんなさい。羨ましくも、光栄とも思えないんです。なのでお断りさせていただきますね」と笑顔で返すのだった。 〇毎日投稿を予定しております。 〇カクヨム様、小説家になろう様でも投稿しております。

「俺の学校が野鳥少女でいっぱいなんだが!」

トンカツうどん
青春
--- **俺の学校が野鳥少女でいっぱいなんだが!** 普通の高校生活を送りたい——そんな願いを持つ柊涼太(ひいらぎ りょうた)は、野鳥の擬人化少女たちが集う学園に通っている。涼太の平穏な日常は、彼女たちの登場によって激しく揺さぶられる。 涼太の学校生活は、一筋縄ではいかない。朝の教室には、いつも元気な雀の少女、千夏(ちか)が明るい声で挨拶してくる。彼女の元気な姿は、まるで実際の雀が飛び跳ねているかのようだ。千夏の他にも、知的でクールなカラスの少女、羽菜(はな)や、静かで神秘的なフクロウの少女、夜美(よみ)など、多彩な鳥少女たちが涼太の周りに集う。 彼女たちはそれぞれ独特の個性を持ち、涼太に助言をくれたり、時にはいたずらを仕掛けてきたりする。数学のテスト対策も、一筋縄ではいかない。羽菜の賢さと千夏の明るさが加わることで、涼太は何とか乗り越えていくが、常に波乱万丈だ。 「静かな日常なんてどこにあるんだ?」涼太はそう思いつつも、彼女たちとの賑やかな日々を送るうちに、その喧騒が少しずつ愛おしくなっていく。毎日が新しい発見と挑戦の連続。時にハチャメチャで、時に心温まる瞬間が彼を待っている。 涼太は、鳥少女たちと共に、普通とは言えない学園生活を通じて成長していく。果たして彼は、平穏を取り戻せるのか?それとも、この賑やかな日常を受け入れ、新たな一歩を踏み出すのか?彼の行く末は、まだ誰にもわからない。 そんな柊涼太と野鳥少女たちの学園生活に、あなたも一緒に飛び込んでみませんか?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

愛犬との想い出

ムーワ
青春
筆者が子どもの頃、愛犬と出会い愛犬と過ごした想い出を思い出しながら綴った作品です。 まだ今のようにSNSが盛んな時代ではなかったので写真が数枚残っている程度ですが、表紙はまだ子犬の頃の写真です。 遥か昔のことですが、一番筆者が記憶に残っているのは、愛犬との出会いと別れのシーンです。 人は人生の中で必ず出会いと別れのシーンがあります。学校では入学式と卒業式、親子の間では子どもが誕生した日と死ぬ時です。 人間、出会いと別れのシーンはいつまでたっても心の中で鮮明に記憶しているものです。

桃色DK×4

山本記代 (元:青瀬 理央)
青春
のんびり、時々騒がしい仲良し四人組の男子高校生は、遊びに部活、恋にバイトと大忙し。 大人から見れば正にゆるゆるライフ。 でも、それを送る彼らは必死で真剣。 楽しければそれで良し! 面白ければ尚最高! 足りないものは、笑いとあの子とテストの点数。

処理中です...