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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その120 不明点と疑問点
しおりを挟む今日の部活もなかなかハードだった。
僕はお風呂からあがり、自室に戻る。
これといってもうやることはなく、暇つぶしに僕はケータイをいじりはじめた。
……と、ふと気になるものが一つ浮かんだ。
「……そういえば、紗琉は『新生「b's」と旧「b's」』って言ってたな」
それはあの日の試合前の出来事。紗琉は確かに試合前にそう言った。
ということは、僕らのほかにも「b's」と呼ばれるチームが存在していたこと。
「…………」
動画サイトを開き、僕は検索欄に「b's 試合 どん・だー」と打ち込んだ。
上の方は僕らの試合の映像ばかりだったが、下にスクロールしていくと、僕の知らない試合がアップロードされていた。
しかも、アップロードされたのも二年前。僕がまだ中学三年生の頃だ。
それに動画のタイトルは「どん・だー中学生の部」と書いてあるではないか。
「中学生……? 一体誰の……?」
興味本位で僕は動画を再生する。
そこには……
「……紗琉!? それに一夜まで!?」
そう。見慣れたあの二人の姿が映っていたのだ。他にメンバーはいない、たった女子二人だけのチームだった。
それもそのはず、その二人が紗琉の言っていた旧「b's」のようだ。
「……どういうことなんだ? どうして紗琉と一夜が「どん・だー」に……!?」
紗琉はそもそも太鼓自体を嫌っているし、一夜だって太鼓を叩いたことすらなさそうなのに……。
それなのに……今まさに画面に映っているのは紛れもない紗琉たち本人なのだから。
結果はかなりの大差で紗琉たちの勝利。腕前もかなりのものと見込まれる。
「……訳が、分からない」
だって、学校での紗琉はあんなに太鼓部を毛嫌っているし、太鼓自体叩きたくないと言っている。
それなのに……どうして「どん・だー」に参加しているのだろうか……?
思えば、あの助っ人の時だってそうだった。僕らよりもかなりの腕前だったし、得点だって紗琉が大幅に稼いでいなければ勝てていたかどうかも怪しいくらいだ。
「…………」
僕はその画面を閉じ、天井を見つめた。
……紗琉は本当に太鼓を嫌っているのだろうか?
本当は何か別の理由があって、叩きたくないだけなのではないだろうか……?
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