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第二章 夏 ~それぞれの想い、廻り始めた歯車~
その105 野望の真相を探れ!
しおりを挟む「……で、軽々しく許可しちゃった、と?」
「えへへ……。でも別にいいわよね? どうせプール掃除やってくれる人なんて、例年と同じようにいないんだし」
と、苦笑いを浮かべながら幼馴染はそう告げた。
……まったく。私がいない間に太鼓部がやってきて、プール掃除をすると言ってきたから軽々しく許可を下しただなんて……こいつは一体なにを考えているのか分からなかった。
確かに、去年も一昨年も夏休みに入る前にプール掃除を募集したものの、誰もやろうとはせずに仕方なく生徒会全員でプールを掃除したとは聞いていたのだが……まさか今年はよりによって太鼓部がやるとは予想外だった。
「でもこれでいいじゃない? 私たちの仕事が減ったことだし、これで心置きなく生徒会の仕事を夏休み前に終わらせることができるわ」
「そ、そうね……」
と、私はいつもの雑務に取り掛かった。
……確かに、太鼓部がプール掃除をやってくれるのは非常に助かる。が、それでもなにか裏がありそうで怖かった。
別に彼ら太鼓部を嫌っているわけではないし、これといってなにかされたわけでもないけれども……彼らのことだ。なにか別の目的があるだろうかと疑ってしまう。
そりゃそうか……。あのマイペースな望子先輩が部長を務めているのだから。あの人はなにを考えているのかなんてだれにも分からないほどの能天気な人だ。
「ま、まぁ今回は大目に見ることにしましょう。……もう決定しちゃったことだし、今更それを否定するのはなんだかイヤだわ」
一度「はい、オッケーです」と言ってしまったのに、今更「やっぱりダメです」なんて言えるかと言われると、それはそれでいいにくい。それにどうせ私たちの仕事が減ったのだし、そこは素直に喜ぶべきことだと思った。
「でもホントに珍しいわよね。プール掃除を引き受けてくれる部活があるだなんて」
一夜の言い分も確かにそうだ。こうもカンタンにプール掃除を引き受けてくれるなんて……それもよりによってあの太鼓部なのだ。
最近は少しずつ力をあげていって、少し有名になってきてはいるあの部活が、どうして今回プール掃除を引き受けたのだろうか。結局、その理論に戻ってしまうというわけだ。
プールもそんなに小さいわけではない。それをあの四人という少人数で掃除するとなると、ほぼ一日かかってしまうというのに。小学校のプールならまだしも、高校の、それも結構大きなプールなのだ。
「知らないわよ」
「よねぇ……? 鍵くんたちは一体なにを考えているんだろ……」
はて、と首を傾げながら一夜は独り言のように呟いた。そんなものは私たちでは分からないことだ。しかし、彼らのやりたいことを知る方法はたった一つ。たった一つだけ存在していた。
「ねぇ、一夜。そんなにケンたちがなにを企んでプール掃除を引き受けたか知りたい?」
「え、あ、あぁ……そうね。確かにちょっとは気になるかしら」
どうやら一夜もケンたちがなにを考えて掃除を引き受けたのか知りたいようだった。ならば、一夜にも協力してもらう他ないようだった。
私は一呼吸置いてから、一夜にこう提案した。
「だったら、二人であいつらと一緒にプール掃除をやらない?」
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