91 / 142
第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その91 突然の来訪者!?
しおりを挟む
とうとう予選二回戦が迫ってきていたとある日の出来事。
僕は望子先輩と迫る予選の話をしながら休息を摂っていた。
「いよいよですね……」
「そうだねー」
いつになくのほほんとしている望子先輩。やはり予選二回戦とあるだけ、もう緊張もほぐれているのだろうか。
……というか、望子先輩に緊張という概念があるのかでさえも分からない。
この人はいつもマイペースだからか、緊張したところを一度も見た事がないような気がした。
「先輩はどう思いますか? 勝てると思いますか?」
「うーん……」
僕の問いかけに望子先輩は顎に手を当てている。
僕は相手側の実力を知らないわけだし、今の僕らの状態で戦って勝てるのかどうかさえも分からない。
だからこそ、望子先輩に聞いてみて、相手側とどこが違うのか知りたかったのだ。
「そうだね。このままでも多分勝てるとは思うけど、結果はあまり大差ないと思うよ」
「そうですか……」
「向こうの実力もそこそこあるし、勿論私たちだってしっかり力をつけてきた。けれど、今の状態じゃあまり大差ない結果で終わる。……そこに勝敗の違いがある程度だけで」
つまり、今の状態ではほぼ五分五分ということらしい。実力も大差ない状態でやり合えば、勝てるかどうかも分からない状況になるということだ。
「しかし、もう練習時間も限られてますし……これからどうやってその差を引くんですか?」
「そこは自分たちでどうにかしないと……ね?」
立ち上がり、望子先輩はそう当たり前のように告げた。自分たちでどうにかする……か。
確かに。僕らの戦いは僕らでどうにかしなければならない。それは望子先輩も同じだ。
チーム戦だとしても、結局は一対一の状況で太鼓を叩くわけだ。そこに望子先輩も路世先輩もちぃも手を貸してはくれない。
だからこそ、望子先輩はそう言ったのだろう。自分の実力は自分でどうにかするしかない、と。
「……先輩、僕そろそろ休憩あがりますね」
そう考えると、いてもたってもいられなかった。今すぐにでも練習して力をつけたくなり、僕は休憩からあがろうとしたその時だった。
「新聞部です! 太鼓部主将の望子先輩にお聞きしたいのですが!」
「うわっ!?」
唐突に見知らぬ女の子が部室に現れる。ノックもなしに部室に入ってくるとは、なかなか失礼な人だなぁ……。
「真彩さん!? どうしてここに!?」
「ちぃ。知り合いなのか?」
「同じクラスなんです……。まさか新聞部に入っているとは……」
僕とちぃが話していることをそっちのけに、その真彩とかいう子は望子先輩にインタビューをやっていた。
「どうですか? 次の試合は勝てると思いますか?」
「そうだねぇ……」
望子先輩もそんなに嫌ではなさそうで、普通にインタビューに答えていた。
結局小一時間くらいインタビューを行うと、その子はやっと帰っていくのだった。……一体なんだったのだろうか?
「なんかインタビュー受けたらジュース貰えたよ! 鍵くん!」
「それは良かったですねー」
僕は望子先輩と迫る予選の話をしながら休息を摂っていた。
「いよいよですね……」
「そうだねー」
いつになくのほほんとしている望子先輩。やはり予選二回戦とあるだけ、もう緊張もほぐれているのだろうか。
……というか、望子先輩に緊張という概念があるのかでさえも分からない。
この人はいつもマイペースだからか、緊張したところを一度も見た事がないような気がした。
「先輩はどう思いますか? 勝てると思いますか?」
「うーん……」
僕の問いかけに望子先輩は顎に手を当てている。
僕は相手側の実力を知らないわけだし、今の僕らの状態で戦って勝てるのかどうかさえも分からない。
だからこそ、望子先輩に聞いてみて、相手側とどこが違うのか知りたかったのだ。
「そうだね。このままでも多分勝てるとは思うけど、結果はあまり大差ないと思うよ」
「そうですか……」
「向こうの実力もそこそこあるし、勿論私たちだってしっかり力をつけてきた。けれど、今の状態じゃあまり大差ない結果で終わる。……そこに勝敗の違いがある程度だけで」
つまり、今の状態ではほぼ五分五分ということらしい。実力も大差ない状態でやり合えば、勝てるかどうかも分からない状況になるということだ。
「しかし、もう練習時間も限られてますし……これからどうやってその差を引くんですか?」
「そこは自分たちでどうにかしないと……ね?」
立ち上がり、望子先輩はそう当たり前のように告げた。自分たちでどうにかする……か。
確かに。僕らの戦いは僕らでどうにかしなければならない。それは望子先輩も同じだ。
チーム戦だとしても、結局は一対一の状況で太鼓を叩くわけだ。そこに望子先輩も路世先輩もちぃも手を貸してはくれない。
だからこそ、望子先輩はそう言ったのだろう。自分の実力は自分でどうにかするしかない、と。
「……先輩、僕そろそろ休憩あがりますね」
そう考えると、いてもたってもいられなかった。今すぐにでも練習して力をつけたくなり、僕は休憩からあがろうとしたその時だった。
「新聞部です! 太鼓部主将の望子先輩にお聞きしたいのですが!」
「うわっ!?」
唐突に見知らぬ女の子が部室に現れる。ノックもなしに部室に入ってくるとは、なかなか失礼な人だなぁ……。
「真彩さん!? どうしてここに!?」
「ちぃ。知り合いなのか?」
「同じクラスなんです……。まさか新聞部に入っているとは……」
僕とちぃが話していることをそっちのけに、その真彩とかいう子は望子先輩にインタビューをやっていた。
「どうですか? 次の試合は勝てると思いますか?」
「そうだねぇ……」
望子先輩もそんなに嫌ではなさそうで、普通にインタビューに答えていた。
結局小一時間くらいインタビューを行うと、その子はやっと帰っていくのだった。……一体なんだったのだろうか?
「なんかインタビュー受けたらジュース貰えたよ! 鍵くん!」
「それは良かったですねー」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
CROWNの絆
須藤慎弥
青春
【注意】
※ 当作はBLジャンルの既存作『必然ラヴァーズ』、『狂愛サイリューム』のスピンオフ作となります
※ 今作に限ってはBL要素ではなく、過去の回想や仲間の絆をメインに描いているためジャンルタグを「青春」にしております
※ 狂愛サイリュームのはじまりにあります、聖南の副総長時代のエピソードを読了してからの閲覧を強くオススメいたします
※ 女性が出てきますのでアレルギーをお持ちの方はご注意を
※ 別サイトにて会員限定で連載していたものを少しだけ加筆修正し、2年温めたのでついに公開です
以上、ご理解くださいませ。
〜あらすじとは言えないもの〜
今作は、唐突に思い立って「書きたい!!」となったCROWNの過去編(アキラバージョン)となります。
全編アキラの一人称でお届けします。
必然ラヴァーズ、狂愛サイリュームを読んでくださった読者さまはお分かりかと思いますが、激レアです。
三人はCROWN結成前からの顔見知りではありましたが、特別仲が良かったわけではありません。
会えば話す程度でした。
そこから様々な事があって三人は少しずつ絆を深めていき、現在に至ります。
今回はそのうちの一つ、三人の絆がより強くなったエピソードをアキラ視点で書いてみました。
以前読んでくださった方も、初見の方も、楽しんでいただけますように*(๑¯人¯)✧*
【短編】怖い話のけいじばん【体験談】
松本うみ(意味怖ちゃん)
ホラー
1分で読める、様々な怖い体験談が書き込まれていく掲示板です。全て1話で完結するように書き込むので、どこから読み始めても大丈夫。
スキマ時間にも読める、シンプルなプチホラーとしてどうぞ。

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした
恋狸
青春
特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。
しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?
さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?
主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!
小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。
カクヨムにて、月間3位
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる