どん・だー ~私立海老津学園太鼓部活動録~

とらまる

文字の大きさ
上 下
89 / 142
第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~

その89 究極の決断!?

しおりを挟む

 部活動終了のチャイムが鳴り響き、こうして蒼川先生の部活動見学は終了の時刻となった。

「どうですか、先生?」

 望子先輩は改めて、蒼川先生に尋ねてみる。それは先生が顧問になってくれるのか否か、という問いと同じだった。
 蒼川先生は言った。「部活を見学してから顧問になるのかどうかを決める」と。
 こうして部活を見学して、その気持ちがどうなったのか僕らは気になって仕方なかった。

「……そうですね。私は――――」

 僕らは生唾を呑み込んだ。ここで蒼川先生が顧問になってくれなければ、僕らはまた振り出しに戻ってしまうのだ。
 だからこそ、ここで蒼川先生を顧問にしておきたいという願望が僕らにはあった。
 そんな想いも知らずに、蒼川先生は自分の意見でこう告げたのだ。

「構いませんよ。私で良ければ、顧問になりましょう」

 そう言ってほほ笑んだのだ。

「ですよねー……って」

 ……あれ? さっき先生はなんと返したんだっけ。構わないと聞こえたような気がしたが……?

「えぇ。私で良ければ是非とも、この太鼓部の顧問になりましょう。これから宜しくお願いしますね」
「はいっ! よろしくお願いしますね、先生!」

 と、友好的に望子先輩は律儀に蒼川先生の差し出してきた手を握り返した。
 まぁ、色々あったとは言えども、こうして正式に顧問の先生が決まって僕は、ほっと胸を撫で下ろした。
 これで僕らはちゃんと部活動を再開でき、「どん・だー」の予選の練習もちゃんとできるようになったのだ。
 それに蒼川先生はかなりの実力を持っており、練習や試合に来てもらっても申し分ないほどの力量を持っていたのだ。
 こんなに顧問の先生に適任な先生はそうそういないだろう。

「良かったですね! 望子さん!」
「これで紗琉のヤツも、太鼓部を認めざるを得ないだろうな」
「そうだね! そうと決まれば早速生徒会に連絡しないとね!」

 そうだ。こうして顧問の先生が決まったのだ。ならば生徒会にいち早く連絡し、明日から正式に太鼓部として活動を再開できるようにしなくてはならない。
 だからこそ、今からでもいいから生徒会に報告しなければ、と思った。

「それじゃ、みんな! 明日からもまた頑張ろう!」
「「おーっ!」」

 こうして僕ら太鼓部は顧問の先生を手に入れ、無事に活動を再開できるようになったのだった。
 次の「どん・だー」の予選まで残り僅か。その時間もしっかり練習しようと僕は思うのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

桃色DK×4

山本記代 (元:青瀬 理央)
青春
のんびり、時々騒がしい仲良し四人組の男子高校生は、遊びに部活、恋にバイトと大忙し。 大人から見れば正にゆるゆるライフ。 でも、それを送る彼らは必死で真剣。 楽しければそれで良し! 面白ければ尚最高! 足りないものは、笑いとあの子とテストの点数。

燦歌を乗せて

河島アドミ
青春
「燦歌彩月第六作――」その先の言葉は夜に消える。 久慈家の名家である天才画家・久慈色助は大学にも通わず怠惰な毎日をダラダラと過ごす。ある日、久慈家を勘当されホームレス生活がスタートすると、心を奪われる被写体・田中ゆかりに出会う。 第六作を描く。そう心に誓った色助は、己の未熟とホームレス生活を満喫しながら作品へ向き合っていく。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

坊主女子:青春恋愛短編集【短編集】

S.H.L
青春
女性が坊主にする恋愛小説を短篇集としてまとめました。

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

処理中です...