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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その89 究極の決断!?
しおりを挟む部活動終了のチャイムが鳴り響き、こうして蒼川先生の部活動見学は終了の時刻となった。
「どうですか、先生?」
望子先輩は改めて、蒼川先生に尋ねてみる。それは先生が顧問になってくれるのか否か、という問いと同じだった。
蒼川先生は言った。「部活を見学してから顧問になるのかどうかを決める」と。
こうして部活を見学して、その気持ちがどうなったのか僕らは気になって仕方なかった。
「……そうですね。私は――――」
僕らは生唾を呑み込んだ。ここで蒼川先生が顧問になってくれなければ、僕らはまた振り出しに戻ってしまうのだ。
だからこそ、ここで蒼川先生を顧問にしておきたいという願望が僕らにはあった。
そんな想いも知らずに、蒼川先生は自分の意見でこう告げたのだ。
「構いませんよ。私で良ければ、顧問になりましょう」
そう言ってほほ笑んだのだ。
「ですよねー……って」
……あれ? さっき先生はなんと返したんだっけ。構わないと聞こえたような気がしたが……?
「えぇ。私で良ければ是非とも、この太鼓部の顧問になりましょう。これから宜しくお願いしますね」
「はいっ! よろしくお願いしますね、先生!」
と、友好的に望子先輩は律儀に蒼川先生の差し出してきた手を握り返した。
まぁ、色々あったとは言えども、こうして正式に顧問の先生が決まって僕は、ほっと胸を撫で下ろした。
これで僕らはちゃんと部活動を再開でき、「どん・だー」の予選の練習もちゃんとできるようになったのだ。
それに蒼川先生はかなりの実力を持っており、練習や試合に来てもらっても申し分ないほどの力量を持っていたのだ。
こんなに顧問の先生に適任な先生はそうそういないだろう。
「良かったですね! 望子さん!」
「これで紗琉のヤツも、太鼓部を認めざるを得ないだろうな」
「そうだね! そうと決まれば早速生徒会に連絡しないとね!」
そうだ。こうして顧問の先生が決まったのだ。ならば生徒会にいち早く連絡し、明日から正式に太鼓部として活動を再開できるようにしなくてはならない。
だからこそ、今からでもいいから生徒会に報告しなければ、と思った。
「それじゃ、みんな! 明日からもまた頑張ろう!」
「「おーっ!」」
こうして僕ら太鼓部は顧問の先生を手に入れ、無事に活動を再開できるようになったのだった。
次の「どん・だー」の予選まで残り僅か。その時間もしっかり練習しようと僕は思うのだった。
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