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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その83 顧問を探せ!①
しおりを挟む一言で分かる! 前回までのあらすじ。
『顧問を探せ!』
「……それだけじゃ分からないだろ」
「ちょっと路世先輩! 今僕がなるべくカッコつけてあらすじ紹介してるんで邪魔しないでくださいよ!」
「……先輩たちが一体何の話をしてるのか私、分かりません」
まぁ、いろいろとあって……僕たちは部活存続のために、太鼓部の顧問の先生となる人物を探している最中だった。
見つかるまでは部活動停止状態となるため、なるべく早めに探さないと「どん・だー」までの時間がなくなり、これからの練習に支障が出てしまうところだ。
「それで、アテはあるんですか?」
僕とちぃの先頭を歩いていく先輩二人に聞いてみる。もしかすれば、先輩たちなら何かアテがあるのかもしれないと思い聞いてみたが。
「……いや、俺も望子も顧問になってくれるような先生がいるとは思えない」
「そうだね。太鼓部ってこの学校では知名度かなり低いし、『そんな部活があった』ことすら分からないと思うから」
まぁ……そりゃそうだろう。僕だってこの学校に二年も通っているのに太鼓部なんて部活があったことすら知らなかったほどだ。
それほど太鼓部の知名度が低い分、先生たちからも太鼓部の存在はあまり知られてはいないだろう。
そんな部活にいきなり「顧問になってください」と言われても、どんな部活なのかを知らないのでなんとも言えないだろう。
「でもまぁ、一通りの先生には立ち会ってみるつもりだよ。まずは話だけでも聞いてもらわないと」
「そうですね。ダメ元でもとりあえず聞いてみることが大事ですし」
そうだ。例えダメだろうと思っていても、まずは聞いてみらないと分からない。
もしかすれば、今現在手元が開いていて、快くオーケーしてくれるかもしれないからだ。
「まぁ、そんなワケで……ちょっくら職員室にいる先生たちに聞いてきまーす」
びしっ、と敬礼をしながら望子先輩はそう言った。意外にも、望子先輩はノリノリの様子だった。
「あぁ。頼んだぞ、部長」
「まっかせといてー!!」
路世先輩に背中を押され、望子先輩はそのまま職員室へと身を投じていく。
その後。望子先輩はがっくりとうなだれた状態で戻ってくることを、この時の僕らはまだ知らない……。
路世先輩曰く、「望子が張り切る時はきまって大抵空回りすることが多いんだよな」とのことだ。
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