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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その80 購買部の秘密
しおりを挟む「ちわーす」
「おう、ケン後輩か」
昼休み。僕は部室で昼食を摂ろうと、部室へ足を向けると路世先輩が先を越していた。
すでに昼食を済ませているようで、テーブルの上には路世先輩が食べたであろうカップ麺の空になった容器が置かれていた。
「先輩はもう食べ終わったんですか?」
「あぁ。ケン後輩は今からか」
「えぇ。購買部のほうで色々買いこんでいたら遅くなってしまって……」
そう言いながらも僕は、テーブルに買ってきた総菜パンを広げる。
今日はどうしても自分でお昼を準備できなかったので、仕方なく購買部で買って食べることになったのだ。
購買部はいつも通り人で賑わっていたため、ささっとお昼を購入することができず、今から食すことになってしまったのだ。
「まぁ、購買は人が多いからな。仕方ないさ」
「ははは……」と笑いながら、路世先輩はカップ麺の容器をゴミ箱へ捨てる。
路世先輩も、購買部の人の多さは分かるようだ。あそこは朝や夕方は人が少ないものの、昼休みとなると比べものにならないくらい人が多くなるものだ。
まぁ仕方ないのも無理はない。昼ご飯を求めて色んな学年の生徒が一斉に集まってくるのだ。そりゃ必然的に人が多くなるのは無理もないだろう。
「で、今日はどんなのを買ってきたんだ」
「せんべいパンとクリームパンです」
必然と購買部は人が多いので、どんくさい僕は大抵のことながら、ワケの分からない総菜パンを購入することになるのだ。
この前なんかはカレーパンならぬ、シチューパンを購入したほどだ。
この学校の購買部はパンを遊びの道具としか思ってないのだろうかと思うほど、ワケの分からないパンを売るのだ。
そしてどんくさい僕は必然的にそのパンを購入することになる。……なんて運命的なんだろうか。
「せんべいパンねぇ……」
「どうやら、パンの中にせんべいが入ってるみたいですよ」
ここまで相性の悪い組み合わせはないな、と思いながらせんべいパンの包みを開け、食べ始める。
パンの生地がフワッとしたかと思いきや、唐突にバリッと何かが割れるような音がした。……せんべいだ。
ここまで相性の悪いパンを食べたことはあっただろうか。……いや、ない。過去最大に相性が悪すぎてなんといえばいいのやら。
「美味しいか、ケン後輩?」
「……お察しします」
そのまま、ワケの分からないせんべいパンを完食し、これは金のムダだったな、と思う僕なのであった。
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