どん・だー ~私立海老津学園太鼓部活動録~

とらまる

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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~

その74 久々のランチタイム①

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 望子先輩により、部室に扇風機がもう一台追加された日の次の日の昼休み。
 僕は午前中の授業が終わり、のんびりと背伸びをしていた。
 連続しての座学はとても退屈であり、身体も強張ってしまうほどだ。

「くぅ~~~~っ……」
「お疲れ様、ケンくん」

 と、そこへ一夜が現れる。そういえば、彼女と話すのもかなり久々のような気がする。
 ……そうか。一夜だけは最近話に登場してないからか。だから、そんな気がするのか。

「……なんか失礼なこと考えてない?」
「カンガエテナイデス」
「なんでそうカタコトになってるのか……。まぁいっか」

 ため息交じりにそう告げる一夜。

「それで、僕に何か用? 珍しく一夜から僕に話しかけてくるなんて」
「そうそう。これから一緒にお昼なんてどうかなって思って声をかけたの。もちろん、紗琉ちゃんも一緒よ」
「どうしてそこで紗琉が出てくるのかは知らないけど、まぁ特にやることもないし……構わないよ」

 まぁいつものように部室でお昼を摂るつもりではあったが、別に部室じゃなくても構わない。
 それに誘われた誘いを断るのもなんだか申し訳ないし……。

「それじゃ、いつもの生徒会室で待ってるわね」
「あ、うん……」

 それだけを告げると、一夜は僕より先に生徒会室のほうへと向かっていった。僕はそれを見送りながら、ため息をひとつ。
 また生徒会室か。まぁ特別キライってわけじゃないけど、なんだか居心地悪いんだよなぁ……。
 生徒会に入ってるわけでもないのに、そんな特別な教室に入るのもなんだかヘンに罪悪感感じるし……。

「……でも、二人とも待ってるみたいだし」

 僕は覚悟を決め、昼ご飯を片手に生徒会室へと向かうことにした。
 廊下を歩くこと数分。その難関の門が目の前に現れた。……生徒会室の扉を開けれないまま、僕は生徒会室の前で硬直していた。
 ……どうしてか、許可されたのに入れないチキンな僕が心の奥底にいるからだ。

「……入りずらいなぁ」

 どうしても僕は生徒会室に入る勇気がなく、ただただ生徒会室の前でぼーっと突っ立っていることしかできない。
 と、そこへどたどたとこちらへやってくる足音がひとつ。その足音がだんだんこちらに近づいており、唐突に生徒会室の扉が開かれた。

「いやー、ごめんなさい! そういえば、ケンくんって生徒会室ニガテだったわね」
「……わかってたなら先に察してちょうだい」

 その後、場所を切り替え、僕らは中庭でランチタイムとなったのだった。
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