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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その69 お勉強
しおりを挟む「どうして……」
望子先輩が今にも泣きそうな声でそう呟いた。
「先輩、こればっかりは仕方ないですよ」
「でも、こんなのって……こんなのってあんまりだよ!」
「先輩。いい加減認めたらどうですか……」
「でも……でも!」
僕がどれだけ言い聞かせても、先輩はいつものように言い訳をするばかり。
それもそうだ。僕らは「どん・だー」の予選二回戦目が目前と迫っているというのに……まさかこんなことになるなんて、誰も想像していなかったのだから。
「だって……おかしいよ! こんな時にテストだなんて!」
そう。望子先輩がぶつくさ文句を言っていたのは定期テストのことだ。
そのせいで一切の部活動は停止となり、大会前である部活動は大ダメージを受けたのだった。
もちろん、「どん・だー」予選二回戦目を目前とした僕らだって、テスト期間はかなりの痛手だった。
何せ次の相手は強豪校なのだ。そんな敵を相手にしているのに、今は練習のひとつもせずに、ただひたすらにペンを書き殴る音しか聞こえなかった。
「ねー、路世ちゃーん。ここの公式教えてー」
「お前……その公式はこの前の授業で習っただろ……」
「あれ? そうだっけ? いやー、この時の授業覚えてないよー……」
あはは……と苦笑いを浮かべる望子先輩。対して路世先輩は呆れたように肩をすくめていた。
そんなことを他所に、ただ黙々と勉強を進めていくちぃ。どうやらちぃも初めてのテストではあるが、本気のようだ。
「ちぃ、分からないところがあったら遠慮なく聞いていいから」
「はい、ありがとうございます」
と、そう軽く返し、自分の勉強へと戻っていった。
……さてと、僕も自分自身の勉強を始めよう。
そう思い、ノートと教科書を開いて勉強に取り掛かった。
すると突然、望子先輩が僕にちょっかいを出してくる。
「ねー、鍵くーん。テスト勉強なんてしてないで遊ぼうよー」
「先輩。流石にテスト期間くらいはしっかり勉強しましょうよ」
「えぇー……」
「ほら、ケン後輩だってこう言ってんだ。このまま遊んでると、また留年候補になるぞ」
「先輩……」
先輩は小さくバツの悪そうな顔を顔を見せるのだった。
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