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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その60 体育大会③
しおりを挟む※今回は語り手がいないので、セリフのみでお楽しみください。
「さてと、次は先輩の自由種目ですね」
「そうだねー。鍵くんの自由種目ってなんだったっけ?」
「ええと、確か……『ムカデ競争』とか言ってなかったか? ってか、プログラム見れば分かるだろ」
「それもそうだね。でも路世ちゃんの走り、すっごいかっこよかったなぁ……」
「そうですね。最下位から一気に逆転してトップになるなんて……まるでマンガの世界かと思いましたよ」
「いやいや……。俺はただ、精一杯自分のペースで走っただけだ」
「それでも、まるで荒野を駆け抜ける馬車馬みたいでかっこよかったなぁ……」
「望子……。それは褒めてるのか、それともけなしてるのかどっちなんだ……」
「あっ、先輩の競技が始まるみたいですよ!」
「ケン後輩は……中間辺りのようだな」
「練習とはいえ、鍵くんがどれだけ頑張るか楽しみだね!」
「始まりました!」
「……まぁ、ムカデ競争だからな。ぐだぐだするのは当たり前か」
「それでも、赤組のほうが有利みたいだね」
「ほんの少しの差だけどな」
「あっ、バトンが次に渡りましたよ!」
「やっぱり女子より男子のほうが走りが上手いな。呼吸も合ってて、こりゃ見る価値はありそうだ」
「女子は結構ぐだぐだしていたけど、男子は結構スムーズに進んでいくね! がんばれ~!!」
「いよいよ先輩の番ですね……」
「あぁ」
「がんばれ、鍵くぅ~ん!!」
「バトンが先輩に渡りました!」
「行けぇーーー!! ケン後輩ーーーーーー!!」
「がんばれぇ~!!」
「……………」
「……………」
「……………」
「……ありゃりゃ?」
「……初っ端からコケてやがるな」
「先輩……」
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