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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その56 部活帰り
しおりを挟むキーンコーンカーンコーン……と、チャイムが鳴り響く。
僕とちぃはいつも通りに本を読み、路世先輩はパソコン。望子先輩はぼーっとソファの上でごろごろしていた。
「よーし、それじゃ今日の部活動終了~」
望子先輩のその一言で、部室でそれぞれ好きな活動をしていた部員全員が帰り支度を始める。
今日も特にするコトはなく、ただ部室にある本棚からライトノベルを適当に取り出し、読んでいただけだった。
帰り支度をしながら、路世先輩がふと思い出したかのように告げた。
「あ、そうだ、望子。折角みんな集まってるんだし、帰りにあそこ寄って行かないか?」
と、通学バッグのチャックを締めながら路世先輩は言ってきた。
「おー、いいね。久々に行こっか! みんなこれから用事とかある?」
路世先輩の提案にノリノリの望子先輩。これから特に用もない僕たちは、一体どこに行くのか楽しみで仕方なかった。
「いえ、僕とちぃは特に用はありません」
このまま特に用もない僕らだが、一体これからどこへ向かおうというのだろうか不思議でたまらなかった。
「よぅし、んじゃ四人で予約入れといてー」
路世先輩が電話で予約を入れながら、いつもの通学路とは反対方向の道を望子先輩のあとをついていく。
「一体どこへ向かおうというんですか?」
疑問に思いながら、僕は先輩の進む道なりを進んでいく。
「まぁ、着いたら分かるぜ」
と、路世先輩は言うが、僕からしたら一体どこへ連れて行かれるのか分からずじまいだった。
そもそも、こんな裏道を通ったこともなく、こんな場所に道があったことでさえ分からなかったほどだ。
学校から歩いて数分。そこはラーメン屋だった。あまり繁盛していないらしく、店内はさっぱりとしていた。
「こんちはー、さっき電話した赤間でーす! オヤジー、座敷空いてるー?」
路世先輩と望子先輩は、まるで自宅かのように座敷に上がっていく。僕らも座敷に上がっていく。
掘りごたつの座敷に二人二人で座ると、ぼくとちぃはメニュー表を手に取る。
こうして誰かと学校帰りに寄り道することは珍しく、こういう時はどんなものを注文すればいいのか分からなかった。
そんな事を余所に、望子先輩は早速「すみませーん」と店員さんを呼びつける。
「オヤジ、カツスパ四人前。あ、あとジュースお願い」
「あいよー」
カツスパというワードに、常連である僕とちぃは「え?」と疑問の表情を浮かべていた。
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