どん・だー ~私立海老津学園太鼓部活動録~

とらまる

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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~

その53 生徒会のお仕事

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「あれは……?」

いつものようにおつかいのじゃんけんで負け、僕は自販機へと向かっている最中、とある光景を目の当たりにした。
そこには紗琉と一夜が、廊下の掲示板に貼られている張り紙を剥がしていたのだ。
そういえば……と、僕はふと思い出す。最近、生徒会の許可なしに張り紙を貼る生徒が増えているとか、そういう話を聞いたことがある。
紗琉と一夜はその張り紙を剥がしているのだろうか? それにしても、かなりの量だった。
プリントの枚数にして数十枚近く剥がしているようで、きっと1階にも同じような張り紙があったのだろう。

「とりあえずはこれで半分は剥がせたかしら?」
「そうね。……少し休憩しましょうか、紗琉ちゃん。これだけの枚数を剥がすと言っても疲れるわ」
「……そうね。まだ後半分近く残ってるけど、このまま続けて剥がしても疲れるだけだしね」

二人の話を聞いていると、これでまだ半分しか剥がしてないらしく、一体何枚あるのだと言いたくなるほどだった。

「……仕方ないか」

二人の話を聞き、僕は自販機に向かうどころか三階の方へと向かった。
三階にも同じような張り紙があったハズだ。二人に黙って剥がしていこうと僕は思い、おつかいを忘れ、掲示板の張り紙剥がしを無断で手伝うことにした。
そもそも、最近何故こうして無断の張り紙が多いかというと、部活動の勧誘のせいだ。
ウチには部活動紹介がざっくりとしかされず、新入生を部活に入部させるには、まずはその部活の存在を知ってもらわなければどうしようも出来ないのだ。
そのため、こうして張り紙をして新入部員を増やそうという魂胆なのだ。
しかし、紗琉と一夜の生徒会のせいか、各部の部長は紗琉にビビっており、なかなか張り紙の許可を取ろうとはしないのだ。
……そもそも、紗琉が部活動に関しての行動の許可を許さないから、張り紙の許可を取りに行かないのだが。
まぁそういうワケで、各部は生徒会の許可なしに新入部員を増やすためにこうして勝手に掲示板を利用しているのだ。

「さてと……これで最後かな?」

三階の張り紙のラストを剥がし終え、僕は一息ついていると、そこへ紗琉と一夜が向かってくる。

「ちょ……鍵! なにしてるのよ!?」
「何って……生徒会の手伝いだよ。二人じゃこれだけの張り紙を剥がすのに時間かかるだろうしか。だから、僕も手伝って時間短縮にしようと……」
「アンタねぇ……」

やれやれ、と肩をすくめる紗琉。表情からすでに呆れている様子だが、心なしか、僕から見ればなんだか嬉しそうだった。
その後も紗琉と一夜とともに、張り紙剥がしをして、学校の掲示板を緑にしていくのだった。
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