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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その44 後日談①
しおりを挟むさて、その後の話をしよう。
結果から言うと、僕たちb’sは、春日学園との練習試合を済ませ、なんとか太鼓部を存続させることができた。
スコアだが、向こうとのスコアと千二十四の違いで僕らの勝利となった。
あの時の感動と喜びは、しばらくの間は忘れられないであろう。僕らは、数が学園に勝利し、見事部を存続させることが出来たのだ。
みんなすっごくいい笑顔でその喜びを分かち合っていた。
僕とちぃはすごく小さなミスをしてしまったが、それでもそれをカバーするかのように望子先輩と路世先輩が奮闘してくれた。
向こうの生徒も腕はそこそこで、流石は「どん・だー」に出場するほどの腕はあるものだと感心してしまうほど上手かったのだ。
それなのに、僕らはこの勝負に勝ったのだ。これほど感激したのはいつ振りだろうか……。
「……よし」
放課後となった今、僕はプリント類を通学バッグに仕舞い、教室を出る。
向かうのは勿論、みんなの待つ部室にだ。
きっとみんなすでに部室で待っているだろう。これから後の祭りを行うところだった。
それなのに、僕だけ遅刻するなんて有り得ない。
僕は急いで部室棟のほうへと駆けていく。
きっと部室に入るなり、望子先輩に「遅いよー」なぁんて文句を言われるに違いない。
そんなことを考えていると、自然に僕の顔から苦笑いが浮かんでしまった。……絶対、今僕の顔が気持ち悪くなっているだろうな。
男子生徒が僕しかいない、女子生徒だらけのその部室。個性的な先輩と、僕の良き理解者の後輩の待つその場所へ。
その扉の前へ立ち、僕は深呼吸をした。
……このまま普通に入っていいのだろうか? なぁんてヘンなことを考える僕。きっと普通に入っても、昨日の喜びを抑えきれずにはっちゃけながら入っても、みんなの対応は変わらないハズだ。
「……っ」
入るのを少し躊躇ってしまう。……あれ? 何で僕は一瞬躊躇ってしまったのだろうか? ワケが分からない。
ここまで来たというのに、どうして躊躇う必要があるのだろうか? 自分でも分からなかった。
「……大丈夫。みんな、待ってる」
そう自分に言い聞かせ、僕は部室の扉を開けた。
そう、僕の大事で今一番に大切な仲間のいる、その部室の扉を……。
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