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第一章 春 ~事の発端、すべての元凶~
その31 成績
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「先輩、ここ分からないので教えてもらってもよろしいですか?」
「ん。あぁ、僕で良ければいいよ」
部活中。僕はちぃに声をかけられ、ちぃの課題を解いていた。
僕も高校二年生な訳で、高一の問題が解けなければ話にならないだろうと思い、復習がてら課題の手伝いを始めた。
ちぃがつまづいているのは連立方程式の部分で、どうやら二つの式からXとYが求められない様子だった。
「あー……そこは、Xの数値を同じにして、二つの式で引き算をするとXが求められるでしょ? で、そのXをこっちの式に代入してYを求めれば……はい、出来た」
「おぉー……流石ですね、先輩」
「いやいや。高二の僕が、高一の問題でつまづいてちゃ、話にならないでしょ」
ちぃに褒められるが、別に何とも思わなかった。そもそも僕からすれば、この程度の問題は出来て当然だった。
高二の生徒が、高一の問題でつまづいてちゃ、どうして高二に上がれたのか問題だし、一度はこの問題をやっているのだ。そのくらいできて当然だろう。
このくらい普通なのだ、普通。
「すごいよねー、鍵くんって。高一の時なんて、期末テストで成績良くて廊下に名前が張り出されていたんだから」
と、望子先輩は頬杖をつきながら、そう呟いた。
確かに。一年の期末ではよく、成績上位者として廊下に名前を張り出されていたものだ。しかし、それでも順位はそう良くはないし、科目も数学と国語のみ。他のテストは軒並み平均程度だった。
「別にすごくなんかないですよ。一年の最後の期末なんて、二十位でしたし、成績落ちてきてるんです」
「それでも二十位ってすごいと思うよー。そもそも、テストの点数で廊下に名前が張り出されてる時点ですごいんだよ」
と、先輩はたかが廊下に名前を張り出されていただけで、僕を褒め称える。流石にそこまで言われると、僕も僕とで恥ずかしい。
別に名前を張り出されるからといって、好きで成績上位者になっているわけでもないが、それでもここまで褒められるとそれはそれで何だか恥ずかしくて、こそばゆかった。
「……っと、そういえば、路世先輩も去年の最後の期末の時、名前張り出されていませんでしたっけ?」
「あーそういえば、路世ちゃん最後の期末すごい良かったもんね」
「……あれでもノー勉なんだが」
と、路世先輩はパソコンの画面を見ながら、そうぶっきらぼうに返した。
ノー勉で成績上位者になるとは、路世先輩の方が僕よりも数十倍すごかった。一度は僕もそんな風に言ってみたいが、残念ながら僕は努力しないとダメなタイプだ。
「と、そういえば、望子先輩はどうなんですか? 成績の方は?」
と、ふと僕は先輩に話を振る。路世先輩やちぃ、僕に成績の話をさせておいて、望子先輩についてはまったくと言っていいほど話していなかったので、ふと疑問に思ってしまった。
「うぐ……そ、それは……」
先輩は急に自分に振られ、視線を逸らしていた。と、路世先輩がフォローを入れるかのように、バッサリとこう呟いたのだった。
「赤点常連者。いつも順位はビリから数えたほうが早い」
「……なんか、すみません」
「ん。あぁ、僕で良ければいいよ」
部活中。僕はちぃに声をかけられ、ちぃの課題を解いていた。
僕も高校二年生な訳で、高一の問題が解けなければ話にならないだろうと思い、復習がてら課題の手伝いを始めた。
ちぃがつまづいているのは連立方程式の部分で、どうやら二つの式からXとYが求められない様子だった。
「あー……そこは、Xの数値を同じにして、二つの式で引き算をするとXが求められるでしょ? で、そのXをこっちの式に代入してYを求めれば……はい、出来た」
「おぉー……流石ですね、先輩」
「いやいや。高二の僕が、高一の問題でつまづいてちゃ、話にならないでしょ」
ちぃに褒められるが、別に何とも思わなかった。そもそも僕からすれば、この程度の問題は出来て当然だった。
高二の生徒が、高一の問題でつまづいてちゃ、どうして高二に上がれたのか問題だし、一度はこの問題をやっているのだ。そのくらいできて当然だろう。
このくらい普通なのだ、普通。
「すごいよねー、鍵くんって。高一の時なんて、期末テストで成績良くて廊下に名前が張り出されていたんだから」
と、望子先輩は頬杖をつきながら、そう呟いた。
確かに。一年の期末ではよく、成績上位者として廊下に名前を張り出されていたものだ。しかし、それでも順位はそう良くはないし、科目も数学と国語のみ。他のテストは軒並み平均程度だった。
「別にすごくなんかないですよ。一年の最後の期末なんて、二十位でしたし、成績落ちてきてるんです」
「それでも二十位ってすごいと思うよー。そもそも、テストの点数で廊下に名前が張り出されてる時点ですごいんだよ」
と、先輩はたかが廊下に名前を張り出されていただけで、僕を褒め称える。流石にそこまで言われると、僕も僕とで恥ずかしい。
別に名前を張り出されるからといって、好きで成績上位者になっているわけでもないが、それでもここまで褒められるとそれはそれで何だか恥ずかしくて、こそばゆかった。
「……っと、そういえば、路世先輩も去年の最後の期末の時、名前張り出されていませんでしたっけ?」
「あーそういえば、路世ちゃん最後の期末すごい良かったもんね」
「……あれでもノー勉なんだが」
と、路世先輩はパソコンの画面を見ながら、そうぶっきらぼうに返した。
ノー勉で成績上位者になるとは、路世先輩の方が僕よりも数十倍すごかった。一度は僕もそんな風に言ってみたいが、残念ながら僕は努力しないとダメなタイプだ。
「と、そういえば、望子先輩はどうなんですか? 成績の方は?」
と、ふと僕は先輩に話を振る。路世先輩やちぃ、僕に成績の話をさせておいて、望子先輩についてはまったくと言っていいほど話していなかったので、ふと疑問に思ってしまった。
「うぐ……そ、それは……」
先輩は急に自分に振られ、視線を逸らしていた。と、路世先輩がフォローを入れるかのように、バッサリとこう呟いたのだった。
「赤点常連者。いつも順位はビリから数えたほうが早い」
「……なんか、すみません」
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