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灼熱の瑕疵

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 都心の高層マンションの最上階。
 夜景を望む窓際のソファにはシャンパングラスを持ったままぼんやりと、見るとは無しに外を窺うひとりの青年。

 鴉の濡れ羽色、緑の黒髪、色々な表現がある美髪の形容だが、それすべてをもってしても余りあるような見事な黒髪を肩下迄のレイヤードにカットしてある。
 一重瞼に黒目がちの切れ長な目はまるで日本人形のような美しさで、美少女の小片を残していた。
 だが、全体的には細めだがしっかりとした眉頭に表される意思の強さが漢らしさを感じさせてくれる。
 通った鼻梁も、薄めだが桃色の唇も、色白の小顔に黄金比で配置されていた。

 だが彼は女々しくはない。
 身長は175cmあるし、肌は白いが全身にはしなやかな筋肉がしっかりとついている。
 性格も見た目と違ってかなり獰猛だ。
 ……だが普段は温和な、どちらかといえば可愛い系のキャラを “ 演じて ”いる。


「玲兄……。」

 青年の代わりに仕事を終わらせてきた義弟【正義】がネクタイをはずしながら近づいて来る。
 身を浮かしかけた青年を、後ろから羽交い締めにして……シャンパングラスを取り上げた。
 ふたりの唇が重なりすぐにそれはお互いを喰らい合うような激しいキスになった。
 そして、そのままふたりは……





「玲《れい》、久し振りだな。
 元気だったか? 」

 今日は12月13日。
 俺が住む、広域暴力団蒼劉会本郷組本家。
 主屋での事始の会に集まった強面のオジサン達の面々は側近や護衛を除いてゆうに50人を超える。
 黒紋付羽織袴を身につけた下部団体の組長さん達の顔触れは……いつもと違いがなさそうだ……と、別棟の俺達の住居に戻ろうとしたところ……捕まった。

 これで何人目だ?



「近藤のおじちゃん。」


 営業用の笑みを浮かべて振り向いてやると、途端に機嫌を向上させた “ おじちゃん ”が音も無く俺の隣に立っていた。
 ごく自然に腰に手が回る。

「玲、本家に顔を出さないのか?
 皆待っているんだぜ? 」

 だから行かないんじゃないか……と、心の中で溜息をつきながら “ おじちゃん ”を見上げた。
 175cmある俺より10cm以上背が高いこの厳つい御仁は蒼劉会直参近藤組組長、近藤 耀司。
 蒼劉会の若頭も務めていて、俺の養父 本郷 義明の片腕だ。

「玲、おじちゃんと何か美味いものを食いに行こうや。
 車、回させるから待っててくれ。」
「馬鹿なこと言わないで下さいよ。」
 事始の盃事が終わったからと言ってもまだまだ帰れない……席を外す事すら出来ない事を……俺は知っている。

 ……何故なら、一昨年はあちらに “ 居た ”から。



 一昨年、俺の名前は本郷 玲ではなく、中路 玲だった。
 ……………………………………………

 元々、俺の苗字は大林 玲。
 今は亡き母は大林 百合子といった。
 ものごころついた頃にはもう父親はおらず、母は再婚もせず……というか母には男の影を感じた事がなく……母ひとり子ひとりの生活を送っていた。
 母は銀座のクラブで働いており、小さいながらも都心の分譲マンションで何不自由なく暮らしていた……
 あの日迄は。





「何を考えているんだ……? 」

 仰向けに横たわった俺の身体に覆い被さって、入念に乳首を愛撫している男……
 乳輪ごと口に含んで、元々薄い色彩のそこを濃いローズピンクに変えていく。
 そこを……軽く噛まれた。

「あっ……あぁ……義……明さ…… 」
 疼くような痺れが脳天を貫く。
 と、同時に痛いほど立ち上がっていた俺の屹立から一気にカウパーが溢れ出す。
「やっとノってきたか? 」
 義明さんは最後に太腿の付け根の際どいところをきつく吸って……こんな所にキスマークを残す事を許されているのは義明さんだけだ……身を起こした。
 黒ずんで所々に血管の浮き出たグロテスクな形の、義明さんのアレ。
 もう数え切れないほど呑み込んできたそれは、自らの居場所を恋しがり随喜の涙を流している。
「義明さん……相変わらず……わかいね? 」
 一瞬、虚をつかれたような顔をした後、唇を重ねてくる。
「息子《あいつ》らに負けて無いだろう? 」
 耳許で囁かれて、腰が抜けそうになる。
 俺は義明さんの、この官能的な声に弱い。
 勿論、この声を聞かせて貰えるのは……俺だけだ。
「ん……ん……そんなのどうでもいい……早く頂戴…… 」
 低く嗤った義明さんの亀頭が後孔に押し当てられる。
 滴った俺のカウパーと義明さんのカウパーが混じり合い、てらてらと光るそこをめがけて亀頭がもぐり込んできた。
 “ 征服 ”される……この瞬間が堪らなく好きだ。
 珍しく2日の間、男を喰っていないそこは漸く与えられた大好物を取り込んで締めつけた。

「ああぁーーーっ……イっちゃうーっ! 」
 先っぽを咥え込んだだけで俺は白蜜を自分の腹の上にぶちまけていた。
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