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第四章
293『オークションの結末』
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「11000」
この代理人は金額を刻み始めた。
もう余裕がないのだろう。
「15000」
この時点で先ほどの代理人が競りを降りるジェスチャーをして居住まいを正した。
彼の仕事はこれで終わりである。
そして風竜を買い取る権利を巡って一騎打ちが始まった。
「さて! 15000です!
こちらの方、どうなさいますか?」
「20000だ」
「22000!」
アンナリーナには競り人の駆け引きなどさっぱりわからないが、今この場には間違いなく火花が散っていることだろう。
一気に10000近く上げたり、反対に1000刻みで上げたりしているその様は、終わりが近いように感じさせる。
「25000」
「30000」
ステージの袖でカーテンに隠れて、ずっと競りの様子を見ていたアンナリーナは、このオークションが終わった後の事を考えていた。
「50000!」
意識が考えの方に引き摺られていた間に、さらに金額は跳ね上がり、とうとう50000枚となってしまった。
傍にいた支配人が頷いてみせる。
どうやらクライマックスが近いようだ。
「60000」
「80000!」
「おお、一気に80000まで上がりました。
さてお次は? それともこれで決まりでしょうか」
絶妙のタイミングで割り込んだエッケハルトの声が会場に響き渡る。
「80000、80000……
そちら、いかがなさいますか?」
最後まで食らいついていた代理人が小さく合図をして、手を下ろした。
撤退だ。
これで風竜は白金貨80000枚で競り落とした陣営のものとなった。
一瞬ののち、割れんばかりの大拍手が起こり、歴史に残るだろうオークションが終わりを告げる。
この後は応接室で各落札者の支払いと受け渡しが始まる。
アンナリーナの出品した品々は特に評判が良く、再販は無いのかとずいぶん問い合わせがあったようだ。
そしてここで重大な事が明らかになる。
何と、風竜を落札した顧客が、風竜を運搬するすべを持たないと言い出したのだ。
だがこちら側もあちらの魂胆はわかりきっている。
「あれほど大きなドラゴンを運ぶ手段を持たないと、いけしゃあしゃあと言ってのける図太さには、いっそ呆れました」
これは出品者であるアンナリーナを特定し、これからも接触を持とうとする姑息な手段であるとエッケハルトは言う。
「時々あるのですよ。
今回出品者は一切表に出てませんからね」
「うぬぬ……卑劣な。
これは要注意人物、ブラックリスト入りだね。
それと運搬は」
アンナリーナはインベントリから1m四方の箱を取り出した。
「このアイテムボックスなら入るでしょ。
こちらをおまけして差し上げるので、渡してきて下さい」
容量から言って、金貨500枚はくだらないだろうアイテムボックスをおまけと言ってのけるアンナリーナは今、非常に呆れかえっている。
「そういう事ならば、今回のドラゴンが死霊魔法などでアンデッドにされないよう【変質】させておいて本当に良かったと思います」
この代理人は金額を刻み始めた。
もう余裕がないのだろう。
「15000」
この時点で先ほどの代理人が競りを降りるジェスチャーをして居住まいを正した。
彼の仕事はこれで終わりである。
そして風竜を買い取る権利を巡って一騎打ちが始まった。
「さて! 15000です!
こちらの方、どうなさいますか?」
「20000だ」
「22000!」
アンナリーナには競り人の駆け引きなどさっぱりわからないが、今この場には間違いなく火花が散っていることだろう。
一気に10000近く上げたり、反対に1000刻みで上げたりしているその様は、終わりが近いように感じさせる。
「25000」
「30000」
ステージの袖でカーテンに隠れて、ずっと競りの様子を見ていたアンナリーナは、このオークションが終わった後の事を考えていた。
「50000!」
意識が考えの方に引き摺られていた間に、さらに金額は跳ね上がり、とうとう50000枚となってしまった。
傍にいた支配人が頷いてみせる。
どうやらクライマックスが近いようだ。
「60000」
「80000!」
「おお、一気に80000まで上がりました。
さてお次は? それともこれで決まりでしょうか」
絶妙のタイミングで割り込んだエッケハルトの声が会場に響き渡る。
「80000、80000……
そちら、いかがなさいますか?」
最後まで食らいついていた代理人が小さく合図をして、手を下ろした。
撤退だ。
これで風竜は白金貨80000枚で競り落とした陣営のものとなった。
一瞬ののち、割れんばかりの大拍手が起こり、歴史に残るだろうオークションが終わりを告げる。
この後は応接室で各落札者の支払いと受け渡しが始まる。
アンナリーナの出品した品々は特に評判が良く、再販は無いのかとずいぶん問い合わせがあったようだ。
そしてここで重大な事が明らかになる。
何と、風竜を落札した顧客が、風竜を運搬するすべを持たないと言い出したのだ。
だがこちら側もあちらの魂胆はわかりきっている。
「あれほど大きなドラゴンを運ぶ手段を持たないと、いけしゃあしゃあと言ってのける図太さには、いっそ呆れました」
これは出品者であるアンナリーナを特定し、これからも接触を持とうとする姑息な手段であるとエッケハルトは言う。
「時々あるのですよ。
今回出品者は一切表に出てませんからね」
「うぬぬ……卑劣な。
これは要注意人物、ブラックリスト入りだね。
それと運搬は」
アンナリーナはインベントリから1m四方の箱を取り出した。
「このアイテムボックスなら入るでしょ。
こちらをおまけして差し上げるので、渡してきて下さい」
容量から言って、金貨500枚はくだらないだろうアイテムボックスをおまけと言ってのけるアンナリーナは今、非常に呆れかえっている。
「そういう事ならば、今回のドラゴンが死霊魔法などでアンデッドにされないよう【変質】させておいて本当に良かったと思います」
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