魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

259『旅の相棒』

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「このあたりでいいかな」

 駈歩と速歩を交互に駆けてきたジャバハに止まるように合図すると、馬は大人しく従った。
 村から出て小一時間、走り続けていた馬は少々疲れているようだ。

「よしよし、今お水をあげるね。
 それと……ちょっと脚を見せてね」

「【真水】」

 まずは桶を出して生成した水を入れてやると、ジャバハは勢いよく鼻面を突っ込んだ。
 美味そうに水を飲む。
 その間にアンナリーナは後脚に触れてみた。

「うん、ちょっと熱を持ってるね」

 指先から出した水で洗ってやると気持ち良さそうだ。
 蹄の状態も確認し、蹄鉄の間に石が挟まっていないかも確認した。
 アンナリーナは一度【微風】で乾かしてからポーションを取り出して関節や筋肉に浸透するよう、ゆっくりと注いでいるとジャバハの方から頭を押し付けてきた。

「うん、お水はもういい?
 じゃあ、これをあげるね」

 アイテムバッグからりんごを取り出すとジャバハの目の色が変わる。
 甘えるように鼻を鳴らすジャバハに、アンナリーナは惜し気もなくりんごを与えた。

「【回復】が使えたら楽なんだけどね」

 じゃばじゃばと、前後の脚すべてにポーションをかけて、しばらく置いておく。
 そして改めてポーションを飲ませると、再びアンナリーナは騎上のひととなる。


 この閉鎖された国でも、主要な道には野営地があるようだ。
 太陽が天上から傾き始めた頃、アンナリーナは道沿いに拓けた広場があるのに気づいた。

「ちょっと早いけど、今日はここで野営しようか」

 軽く手綱を引くだけで、アンナリーナの意図を理解したジャバハが速度を落として広場に向かう。
 その野営地は長い間使われていなかったようで荒れていた。
 草はぼうぼうで馬を繋ぐための柱は傾いている。
 一応井戸らしきものはあるが、これも枯れているようだ。
 アンナリーナはあたりに視線を巡らせ、そして空を見た。

「いいお天気」

 青い空に白い雲。
 高空は風が強いのか雲がどんどんと流れていく。
 隣接する森の木々がざわざわと風に揺れていた。
 時々聞こえてくる鳥の鳴き声以外何も聞こえてこない自然の中で、アンナリーナは思いっきり息を吸って、伸びをした。
 ジャバハはすでに草を食んでいる。

「お水、用意しなきゃね」

 ひとしきりジャバハの世話をした後テントを張って、ジャバハとともに結界石で囲んだ。
 そしてようやくアンナリーナの夕食だ。

 魔導コンロに鍋をかけ、刻んだ玉ねぎを炒める。
 玉ねぎが白く透き通ってきたら水を入れて煮込んでいく。
 コンソメの素と小ぶりのソーセージを入れて、弱火でコトコト煮込んで出来上がり。
 味付けはコンソメと塩とわずかな胡椒。
 明日の朝の分も見込んで多目に作ったスープと、黒パンで夕食だ。
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