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第四章

256『その頃の仲間たち』

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 一方で、アンナリーナが古代ダンジョンのトラップに飛ばされた直後から、残されたものたち……まず、ネロはその場で取り乱さず、トラップの場所に目印を置いて、すぐに町に戻った。
 アンナリーナたちが借りている家に戻ると、すぐに転移の扉を使ってツリーハウスに駆け込みアラーニェらに応援を乞う。
 やがて帰宅してきたテオドールたちに詳細を説明すると、各自が動き出した。
 その頃になるとアンナリーナと契約している精霊王たちがやってきて、アンナリーナの今置かれている、絶望的な状況を説明してくれる。

「魔素のない、四大魔法以外使えない森?」

 それでも精霊召喚をしていて、彼らの力で四大魔法を使えるだけマシだ。
 もし、この大陸に上陸した折に魔法に瑕疵がなく、突然すべての魔法が奪われてしまった場合、どうなっていたことか。
 そして主に西風の精霊王が身近にいてくれる事で、常に状況を把握することが出来て、アンナリーナ救出の作戦が決行出来た。
 テオドール、セト、イジ、ネロの4人は今、魔素のない地域を避け、大回りをしてアンナリーナと合流するべくスレイプニルを走らせる。



 この時点でアンナリーナに求められたのは、少なくとも魔素のない地域から脱出すること。
 テオドールたちの動きはイェルハルドから伝えられていたが、現在のところどこまで行けば魔素が回復するのかわからない。

『テオドール殿たちも苦心している。
 マスターはまずは町を目指そう』

 その言葉通り、やっと森を抜けたアンナリーナは町を目指していく。
 だがその道のりは遠く、道端で野営を2泊して、ようやく “ 村 ”にたどり着いたのだった。


「こんにちは。
 あの、ここはどこですか?」

 そう言った少女を見て、村の見張りの兵士は仰天した。

「お嬢ちゃん、どこから来なすった?」

「魔人領クラウヘルトです。
 ……私、トラップに引っかかって、飛ばされちゃったみたいなんです」

「!!
 ちょっと、お嬢ちゃん。ちょっとこっちにきて」

 兵士が、木の杭を打ち込んで作られた壁の向こうにアンナリーナを連れていく。
 見た目、ヒトと変わらない兵士を、アンナリーナはどの種族だろうと考える。
【鑑定】が出来ないことがこれほど不便なのかと、アンナリーナは思う。

『絶対に【鑑定】の魔導具を手に入れよう』


「お嬢ちゃん、今この村の代表と兵士長を呼んでいる。
 少し待ってくれな」

 町や村に入る時、毎回のように繰り返される、この遣り取り。
 ただ今回は不可抗力な事故の結果なので、いささかケースが違う。

「あの、ここはどのあたりですか?
 ブエルネギア大陸ですよね?」

 先ほどの兵士と違う、少々年配の兵士が地図を持って席に着く。
 そして机に置いた地図を示した。

「この地図はブエルネギア大陸全体を表している。
 お嬢ちゃんがいた【魔人領】はここ、だな」

 大陸の南方、海岸沿いを指し示す。

「そしてお嬢ちゃんが今いるのはここだ」

 ずいぶんと北の方だった。
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