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第四章
127『井戸を求めてやって来た者たち』
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夢中になって採取していて、今宵の野営地に戻って来たのは、もう陽が傾いた夕刻であった。
「ごめん、遅くなった」
テオドールが腕組みして、仁王立ちして迎える。
その顔つきからどれほど心配していたかが伺える。
「リーナ……」
声がいつもより二段階くらい低い。
彼の怒りがひしひしと伝わってきて、アンナリーナは思わずたじろいだ。
「ごめんなさい、つい夢中になってしまって、つい」
ギリギリと歯が噛み締める音がする。
『こ、これはヤバい……』
アンナリーナはそぉっと後退りする。
だがその姿からテオドールが目を離す事はなかった。
アンナリーナが後ろに下がる距離よりも、倍以上の歩幅で迫ってくるテオドールから離れようと、無駄な足掻きをしていた、その時。
「主人様、馬車が近づいてきます」
まだ、アンナリーナはもちろん、テオドールにも感じられなかった馬の蹄と、車輪が土を削る音をさせて近づきつつあるのを、イジは正確に感じ取って警戒する。
あまりにも異常な走らせ方であったので、イジはあっさりとアンナリーナを抱え上げ、馬車の中に放り込んでしまった。
テオドールも背中の戦斧に手をかけて警戒態勢に入る。
念話で連絡を受けたセトも姿を現し、アンナリーナも顔を覗かせている中、それはやって来た。
まず、馬車を引いている2頭の馬たちの様子が異常だった。
2頭とも全身汗でびっしょり濡れていて、腹からは汗が滴っている。
その御者台から飛び降りた男が慌てて駆け寄ったのは例の枯れ井戸で、その様子を見て呆然と突っ立っていた。
その目の前で馬たちが脚を折り蹲る。
「ああぁっ! 何て事だ!」
御者は頭を抱えて、アンナリーナたちの姿も目に入らないようだ。
テオドールは、セトとイジを後ろに下がらせ、恐る恐る声をかけてみた。
「おい、おっさん。一体どうしたんだ?」
ハッと顔を上げた御者が、抱きつくようにしてテオドールに縋り付いた。
「お願いです!お願いです!
無茶な事を言っている自覚はあります。どうか水を分けて頂けませんか?!」
「水?」
この世界、アンナリーナの前世と違い、蛇口をひねれば水の出る便利な状況ではない。
当たり前だが水源がなければ水は無く、王侯貴族ですら水がなければその場に館を建造する事が出来ないのだ。
もちろんほぼすべての人間が魔力を持ち【ウォーター】で水を生成する事ができるが、それが飲めるかどうかは別の話だ。
「ああ、あなたたちはお水を求めて、この元中継地にいらしたのですね」
ここでようやく馬車の扉が開いて、転がるようにひとりの男が降りてきた。
「まことに申し訳ないですが、いくらか……馬たちの分だけでもお願い出来ないでしょうか」
そう言って頭を下げる、この一行の責任者と見られる男は、見るからに具合が悪そうだ。
「大変!!
この人、脱水症状起こしてる!
お馬さんたちも拙いわね!
他には誰も乗っていないの?」
そう言いながら水差しやカップ、屋外用の簡易ベッドなどを出していく。
テオドールは飼い葉桶を取り出し、皮袋の水を満たし始めた。
「人は2人だけですか?
さあ、お水です。これを最低3杯、ゆっくり飲んで下さい。
御者さん、あなたも!」
その頃にはアラーニェも現れて、人間たちの世話を始めた。
そしてアンナリーナは馬たちの元にいく。
【ウォーター】
なくなりかけていた水を桶に満たし、未だガツガツと飲んでいる馬たちに立ち上がるよう促して、まだ繋がったままだった馬車から外してやると、嬉しそうに首を振る。
「熊さん、この子たち落ち着いたら飼い葉をあげて」
そう言い残したアンナリーナはまた男たちの元に行って聞いてみた。
「一体どうしたんですか?」
「ごめん、遅くなった」
テオドールが腕組みして、仁王立ちして迎える。
その顔つきからどれほど心配していたかが伺える。
「リーナ……」
声がいつもより二段階くらい低い。
彼の怒りがひしひしと伝わってきて、アンナリーナは思わずたじろいだ。
「ごめんなさい、つい夢中になってしまって、つい」
ギリギリと歯が噛み締める音がする。
『こ、これはヤバい……』
アンナリーナはそぉっと後退りする。
だがその姿からテオドールが目を離す事はなかった。
アンナリーナが後ろに下がる距離よりも、倍以上の歩幅で迫ってくるテオドールから離れようと、無駄な足掻きをしていた、その時。
「主人様、馬車が近づいてきます」
まだ、アンナリーナはもちろん、テオドールにも感じられなかった馬の蹄と、車輪が土を削る音をさせて近づきつつあるのを、イジは正確に感じ取って警戒する。
あまりにも異常な走らせ方であったので、イジはあっさりとアンナリーナを抱え上げ、馬車の中に放り込んでしまった。
テオドールも背中の戦斧に手をかけて警戒態勢に入る。
念話で連絡を受けたセトも姿を現し、アンナリーナも顔を覗かせている中、それはやって来た。
まず、馬車を引いている2頭の馬たちの様子が異常だった。
2頭とも全身汗でびっしょり濡れていて、腹からは汗が滴っている。
その御者台から飛び降りた男が慌てて駆け寄ったのは例の枯れ井戸で、その様子を見て呆然と突っ立っていた。
その目の前で馬たちが脚を折り蹲る。
「ああぁっ! 何て事だ!」
御者は頭を抱えて、アンナリーナたちの姿も目に入らないようだ。
テオドールは、セトとイジを後ろに下がらせ、恐る恐る声をかけてみた。
「おい、おっさん。一体どうしたんだ?」
ハッと顔を上げた御者が、抱きつくようにしてテオドールに縋り付いた。
「お願いです!お願いです!
無茶な事を言っている自覚はあります。どうか水を分けて頂けませんか?!」
「水?」
この世界、アンナリーナの前世と違い、蛇口をひねれば水の出る便利な状況ではない。
当たり前だが水源がなければ水は無く、王侯貴族ですら水がなければその場に館を建造する事が出来ないのだ。
もちろんほぼすべての人間が魔力を持ち【ウォーター】で水を生成する事ができるが、それが飲めるかどうかは別の話だ。
「ああ、あなたたちはお水を求めて、この元中継地にいらしたのですね」
ここでようやく馬車の扉が開いて、転がるようにひとりの男が降りてきた。
「まことに申し訳ないですが、いくらか……馬たちの分だけでもお願い出来ないでしょうか」
そう言って頭を下げる、この一行の責任者と見られる男は、見るからに具合が悪そうだ。
「大変!!
この人、脱水症状起こしてる!
お馬さんたちも拙いわね!
他には誰も乗っていないの?」
そう言いながら水差しやカップ、屋外用の簡易ベッドなどを出していく。
テオドールは飼い葉桶を取り出し、皮袋の水を満たし始めた。
「人は2人だけですか?
さあ、お水です。これを最低3杯、ゆっくり飲んで下さい。
御者さん、あなたも!」
その頃にはアラーニェも現れて、人間たちの世話を始めた。
そしてアンナリーナは馬たちの元にいく。
【ウォーター】
なくなりかけていた水を桶に満たし、未だガツガツと飲んでいる馬たちに立ち上がるよう促して、まだ繋がったままだった馬車から外してやると、嬉しそうに首を振る。
「熊さん、この子たち落ち着いたら飼い葉をあげて」
そう言い残したアンナリーナはまた男たちの元に行って聞いてみた。
「一体どうしたんですか?」
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