魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

96『ダンジョンあれこれ』

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 改めて挨拶を交わした3人は席に着き、今この国で起きている事の説明を受けた。
 前回訪れた時は【迷いの森】の案件しか説明されなかったが、水面下ではダンジョン……それも小型のものが何箇所も発生しかかっているのが確認されているそうだ。

「何箇所も?」

 アンナリーナは絶句した。
 それほど多数が、一国の領土に出現するなど異常以外のなにものでもない。

「実は、私は以前メンデルエタにいたのですが、そこも鉱山が急にダンジョン化して……それだけではなくて、ダンジョン近郊では魔獣の行動が異常でした。もちろん、その数も」

「リーナ殿はどう思われますか?」

「何かが起きつつあるか、起きているのだと思います。
 他国でも何か起きていないか、調べてみるべきかもしれませんね」

 デラガルサとその近郊は、アンナリーナが定期的に魔獣を間引いているため大した被害は出ていない。
 そして周辺の町には冒険者たちが多数移住してきているため、村や町の護りは以前にくらべると強化されている筈だ。

「リーナ?」

 黙り込んだアンナリーナを、テオドールが心配そうに見つめている。

「……とりあえず、ポーションを卸しますね。
 こちらは【迷い森】と、その出来たてダンジョンの両方に割く人員は充分なのでしょうか?
 ちなみに王都に近いダンジョン(仮)はあるのですか?」

 この王都があまりにもいつも通りなので、アンナリーナは2つの可能性を考えていたのだが、どうやらその悪い方が当たったようだ。

「ギルドから斥候隊が出て、ようやく先日結果が出たところなんだ。
 もちろん民は何も知らない」

 そして、王都から一番近いダンジョン擬きが【迷い森】で、あと国内には3ヶ所あるそうだ。

「それは最早、災厄規模ですね。
 ……溢れて来ないことを祈ります」


 アンナリーナはここで一定数の取引の約束をし、数日の間逗留すると決める。
 その間に調薬と買物を済ませ、一度どこかのダンジョン(仮)に潜ってみて、その後この国を離れるつもりだ。



「各種状態異常解除薬を多い目に用意した方がいいかもしれない」

 ぼそりと呟いたアンナリーナはテオドールを伴い宿屋に向かっている。
 途中、市場で食材を買い込んだアンナリーナは、多少気分を回復させてはいるが憂鬱そうだ。

「あんまり関わり合いになりたくないけど、この国は美味しいフルーツがあるからなぁ」

 思ったよりも深刻ではなかったのかもしれない。




「これは……」

 アンナリーナは今、テオドールとセト、イジを連れてアグボンラオール南部の町テテイに近い密林の中に出来たダンジョン(仮)を訪れていた。

 そこには大きな穴が空き、中には……

「これはダンジョンと言うより【蛇穴】だよね」

 うじゃうじゃと絡み合う、赤やら青やら縞柄のバイパーと思わしき大蛇たち。
 サファケイトで一気に屠ると、ホクホクしながらインベントリに収納しているアンナリーナ。
 その時、穴の底の方にいてサファケイトの効果が薄かった個体なのだろう、突然鎌首をもたげて襲いかかって来た。

「おや!?」

 頭をバシリと叩くと、ゴキっと嫌な音がして巨体から力が失われ、崩れ落ちる。

「まだ深いのかしら? これがダンジョン(仮)に進化していくって言うの?」

「俺もダンジョンには詳しくないからなぁ」

 ハルメトリアにはダンジョンはない。
 自然とこの国の冒険者はダンジョン攻略のために他国に行く事をせず、そのかわり広大な魔獣の森の探索と討伐で糧を得ていたのだ。

「バイパー系はいい素材になるんだよね。これってまた湧いてくるのかな?」

 この後、野営の準備をしてその穴を観察していると、ある時突然穴が蛇で埋め尽くされる事がわかった。
 それゆえ、この穴は【ダンジョン】なのである。
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