魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

37『護衛依頼は楽しい……?』

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 第一夜目は何事もなく明けて朝、アンナリーナとアラーニェはいつものように朝食の準備をしていた。
 ほとんどはツリーハウスで待機しているアンソニーの手で作られたものを温めるだけの作業だ。
 そしてその間、何事か言いたげな視線を受け、げんなりしている。

「淑女に対して不躾な眼差し……
 シメてきましょうか?」

 アラーニェが物騒な事を言い出すほどには、鬱陶しい。

「まあ、放っときましょ?
 用があるならあちらから言ってくるでしょう」

 そう言いながら出来上がったスクランブルエッグを、個々の皿に盛り付けていく。
 今朝は、携帯用魔導オーブンも出してロールパンを温めたり、ウインナーを焼いたりしていた。

「りんごのジャムを出しておいてくれない?バターたっぷりのロールパンに良く合うの」

「かしこまりました」

 アラーニェがテントに向かうのを見送り、今度は鍋をコンロにかけて、スープを温めはじめた。
 今朝のスープはオーソドックスなコーンのスープ。
 ゆっくりと火にかけ、大ぶりのスープカップに注いでいく。

 テーブルの上には、レタスときゅうりのピクルスとベビーリーフのフレッシュサラダ。
 ウインナーとスクランブルエッグに、数種類のチーズ。
 コーンスープとバターロールが今朝の朝食だ。
 あと、ケバブの厚切りが皿に山盛り盛られて持ってこられた。
 これは基本的に、セトとイジのものである。

「まだたくさんあるので、皆さんもお好きなだけどうぞ。
 セトとイジには、今お肉を焼いてもらってるから」

 食事の間の見張りはアマルとネロが行なっている。
 この後、アマルを残してアラーニェとネロはツリーハウスに戻すつもりだ。

「リーナ様、私もお仕えしとうございます」

「いつも十分仕えてもらってるよ。
 それに昼食時や夕食の時にはまたお願いするからよろしくね」

 そうは言っているが、アンナリーナは今回の依頼には絶対的に人数が足りない事を自覚している。

「アンソニーにも用意させておきますか?」

「そこまではいかないと思うけど……
 彼にはこれからも料理でサポートを頼みたいの」

「わかりました。
 では、準備だけは怠らないようにしますね」

「アラーニェ、ありがとう」


 食後、今日の旅程の打ち合わせで、今夜は村の宿屋で一泊する事がわかった。
 今日通る街道は整備されていて、結構なスピードで走れるらしい。

「じゃあ、熊さんとイジは伴走する?
 エピオルスたちを呼んでもいいけど」

「俺は自分で走った方が早い」

 セトが後ろから覆いかぶさるようにして言う。

「それこそセトがリザードの姿で走ったら、そこらの魔獣は寄ってこないよね」

 あとは馬たちが怖がらないか、それが不安だが今回はドラゴニュートの姿で走るようだ。

「身体が鈍っていたのでちょうどよい」

 今日の旅程では、セトが伴走することに決まったようだ。




「では、今日もお疲れ様でした」

 タイニスの音頭で、小さな村の宿屋で今、夕食が始まったのだが、最早宴会の様を呈している。
 アンナリーナはテオドールに目配せすると、早々に引き上げ、馬車置き場に向かっていた。
 そこでは、宿の人間を怖がらせないように、セトとイジが見張りがてら待機している。

「悪いわね。
 しばらくは私が見張っているから、あっちで休憩してらっしゃいよ」

 その間に夕食の用意をしておくから、と言われて2人は身体を洗ってくる事にする。
 アンナリーナはもう、BBQコンロを取り出していた。

「ふふふ、今夜は焼肉にするからアンソニーも呼んできて」

「もう参上しています」

 そこには、以前のアンソニーを知るものなら首を傾げるような……見た目がまったく変わってしまったアンソニーがいた。

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