魔力値1の私が大賢者(仮)を目指すまで

ひーにゃん

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第四章

19『モロッタイヤ村のその後』

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 アンナリーナが午後から向かったのはのは、先日訪れたばかりのモロッタイヤ村だった。


「嬢ちゃん、こんなにすぐに……どうしたんだい?」

 いつものようにカウンターで座っていたミハイルが、アンナリーナを見て言う。

「先日アンソニーの前では出来なかった話をしに来ました。
 それと、何か売ってもらえるものがあるかと思って」

 村の表だけとはいえ略奪にあったのだ。畑の被害も少ないとは言えない。
 だが、もしも余剰分の農産物があるのなら買い取って、全力で協力したいと思っていた。

「そうか、気を遣わせて悪いな。
  “ アンソニーの前では出来ない話 ”とやらは、ハンスも交えてしようか」

「その前に」

 アンナリーナは、アイテムバッグから木箱を取り出した。
 彼女が両手でようやく持ち上げられる大きさの、それなりの箱だ。
 それを3個、カウンターに置く。

「これは昨年、ミハイルさんに売った種類の薬を持ってきました。
 どうぞ、受け取って下さい」

「受け取ってって、嬢ちゃん」

「今、私がこの村からお金を受け取ったら何にもならないじゃないですか。
 心配しないで。来年、収穫の後の取引の時はしっかりいただきますから」

 実は去年アンナリーナから買っていた回復薬や傷薬が、あの襲撃のあとずいぶん役に立ったのだ。
 特に傷薬は幾人もの命や、その四肢を救ったかわからない。

「嬢ちゃん、すまない。
 この恩は絶対に忘れない」

「ふふ、ここは魔獣の森から出てきた私が、初めて人々と触れ合った村。
 私の故郷みたいなものよ?
 それにこのくらい、何でもないわ」

 アンナリーナにとっては在庫をかき集めてきただけである。

「それよりも、ここで私に売ってもらえるものはあるかしら?」


 ミハイルの新しい雑貨屋は以前の店よりも幾分か広く、整理整頓が行き届いていた。
 奥のスペースには以前と同じように食品用のアイテムボックスがあり、穀物の入った袋が積み上げられていた。

「ミハイルさん、以前の雑貨屋があれほど酷く壊されていたのに、商品に被害は及ばなかったの?」

「ああ、嬢ちゃんは知らないのか」

 そして、アンソニーが話してくれた内容にアンナリーナは感心しきりである。

「回転床? そんなものがあるの?」

 それは有事の時、商品や財産を守るため、いささか荒い手法だが床面をひっくり返し、あらかじめ掘ってある空間にすべてを落として、火事や強奪から金品を守る仕掛けである。

「そうさ、うちには高価なものや貴重な品もあるからな。
 ただ、一気に落とすのでそれなりに傷んだりはする。
 だが一切合切失うよりはマシだ」

 聞けば、あの以前の雑貨屋の荒れようは、その穴倉から商品を取り出すための作業で壊したものもあるようだ。

「去年と同じように、村の人たちの余剰分を買い取りたいの。
 もちろん、本当に余っているものだけだよ?」

「奥の農地の連中なら、まだそれなりに持っているだろう。
 それと、牧場を始めた奴もいるんだ」

「えっ?牧場?!」

「ああ、デラガルサがあんな事になって作付けを増やしただけじゃなく、チーズを作るために牛を飼い始めて……
 今では結構いい収入になってるらしい」

 それを聞いたアンナリーナの目が、爛々と輝いている。

「それに今も開墾は進んでいるんだ。

 聞けば農業労働用の家畜……この場合は家畜用魔獣の牛もどき(正式名称ディコブ)で鉄製の鋤を使い、畑を耕しているという。

「ハンスさん、頑張ったんだね」
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