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第三章
95『護衛任務』
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出発の朝はひときわしんと冷え、馬たちの吐く息が白くまるで水蒸気のように見える。
今日は1月5日。
新年早々、テオドールの返事を受けて、待ちわびたとばかりに出発日が決まり、すぐに打ち合わせから準備と目まぐるしかった。
アンナリーナの言い分はすべて通り、今朝を迎えたはずなのだが。
「おはようございます」
「おはようございます。
今日からひと月の間、よろしく」
挨拶が終わり、アンナリーナが馬車の方をチラリと見る。
今回護衛するのは通常の幌馬車ではなく、それよりも丈夫な箱型の馬車だ。
そしてアンナリーナが目を留めたのは少し離れたところに泊まっている馬車だった。
「あれ、ダージェさんの馬車じゃないですよね?」
打ち合わせのときに聞いていた護衛対象は箱型馬車一台と荷主のダージェ。
それと御者のシリウス。
そのはずだった。
「違う。
今朝立つのは周りにふせていたのに、どこから聞き込んできたのだろう」
偶然ということはあり得ないだろう。
この季節、基本的に荷馬車の遠出は控えられている。
わざわざ出発を合わせたと思われても仕方ない。
「確かめてきましょうか?」
御者が御者台から降りてくる。
実はアンナリーナ、打ち合わせの時に申し合わせていたのは同行者の事。
もしもダージェが他の商人を同行するのなら早い目に申し出て欲しいと言っていた。
これは、結界を張るための魔道具の都合と言っていたが、実はアンナリーナのアイテムバッグなどを見られたくないためだ。
護衛契約をしたものはお互いに守秘義務が発生するし、契約もしているので問題ないが、護衛付きの馬車に勝手についてくるものはそうはいかない。
普段なら目こぼしするが、この場合は冒険者ギルドを通して、正式に契約してもらわねば困る。
「ダージェさん、出発しましょう。
少しようすを見て、追ってくるようなら……撒きます」
御者の隣にテオドールが座り、アンナリーナは雇い主であるダージェとともに箱馬車の前部にある座席に座った。
「では出発します」
御者の合図で4頭立ての馬車が動き出す。
王都の正門をくぐり抜け、アンナリーナの初めての護衛依頼が始まった。
「リーナさんは馬車の旅は初めてかい?」
「いえ、乗り合い馬車なら乗ったことがありますよ」
とりとめない話が続き、一度休憩を取るために街道沿いの中継地に止まった。
「やっぱりついて来てますね」
アンナリーナが回復薬を与えるつもりであったため目一杯走らせてきたこちらと比べ、あとをついて来ていると思しき幌馬車はアンナリーナたちが出発の間際になって到着した。
「この辺りは道の状態も良いようなので、ここからは風の魔法を纏わせて速度を上げます」
おそらく、今夜予定の野営地よりもひとつ先まで到着するだろう事を聞いてダージェはびっくりしたが、アンナリーナが常識はずれな事はテオドールから聞いている。
以前の、ザルバの乗り合い馬車にしたのと同じように馬と馬車の車輪に風を纏わせ、抵抗を少なくして馬を駆けさせるとどんどんと速度が上がっていく。
そのまま箱馬車は疾走して、本来なら泊まるはずだった野営地の次の野営地に着いたのはもう陽も暮れかかる夕刻だった。
テオドールと御者が馬の世話をし、アンナリーナは焚き火を起こした。
そしてテントを張る。
それはダージェたち用の普通のテントと、アンナリーナの転移の扉付きのテントだ。
そのあとは馬車と馬たち、2つのテントと焚き火を囲って結界を張り、アウトドア用のテーブルと椅子を取り出す。
何でも出てくるアイテムバッグに、ダージェと御者はまたまたびっくりしていた。
今日は1月5日。
新年早々、テオドールの返事を受けて、待ちわびたとばかりに出発日が決まり、すぐに打ち合わせから準備と目まぐるしかった。
アンナリーナの言い分はすべて通り、今朝を迎えたはずなのだが。
「おはようございます」
「おはようございます。
今日からひと月の間、よろしく」
挨拶が終わり、アンナリーナが馬車の方をチラリと見る。
今回護衛するのは通常の幌馬車ではなく、それよりも丈夫な箱型の馬車だ。
そしてアンナリーナが目を留めたのは少し離れたところに泊まっている馬車だった。
「あれ、ダージェさんの馬車じゃないですよね?」
打ち合わせのときに聞いていた護衛対象は箱型馬車一台と荷主のダージェ。
それと御者のシリウス。
そのはずだった。
「違う。
今朝立つのは周りにふせていたのに、どこから聞き込んできたのだろう」
偶然ということはあり得ないだろう。
この季節、基本的に荷馬車の遠出は控えられている。
わざわざ出発を合わせたと思われても仕方ない。
「確かめてきましょうか?」
御者が御者台から降りてくる。
実はアンナリーナ、打ち合わせの時に申し合わせていたのは同行者の事。
もしもダージェが他の商人を同行するのなら早い目に申し出て欲しいと言っていた。
これは、結界を張るための魔道具の都合と言っていたが、実はアンナリーナのアイテムバッグなどを見られたくないためだ。
護衛契約をしたものはお互いに守秘義務が発生するし、契約もしているので問題ないが、護衛付きの馬車に勝手についてくるものはそうはいかない。
普段なら目こぼしするが、この場合は冒険者ギルドを通して、正式に契約してもらわねば困る。
「ダージェさん、出発しましょう。
少しようすを見て、追ってくるようなら……撒きます」
御者の隣にテオドールが座り、アンナリーナは雇い主であるダージェとともに箱馬車の前部にある座席に座った。
「では出発します」
御者の合図で4頭立ての馬車が動き出す。
王都の正門をくぐり抜け、アンナリーナの初めての護衛依頼が始まった。
「リーナさんは馬車の旅は初めてかい?」
「いえ、乗り合い馬車なら乗ったことがありますよ」
とりとめない話が続き、一度休憩を取るために街道沿いの中継地に止まった。
「やっぱりついて来てますね」
アンナリーナが回復薬を与えるつもりであったため目一杯走らせてきたこちらと比べ、あとをついて来ていると思しき幌馬車はアンナリーナたちが出発の間際になって到着した。
「この辺りは道の状態も良いようなので、ここからは風の魔法を纏わせて速度を上げます」
おそらく、今夜予定の野営地よりもひとつ先まで到着するだろう事を聞いてダージェはびっくりしたが、アンナリーナが常識はずれな事はテオドールから聞いている。
以前の、ザルバの乗り合い馬車にしたのと同じように馬と馬車の車輪に風を纏わせ、抵抗を少なくして馬を駆けさせるとどんどんと速度が上がっていく。
そのまま箱馬車は疾走して、本来なら泊まるはずだった野営地の次の野営地に着いたのはもう陽も暮れかかる夕刻だった。
テオドールと御者が馬の世話をし、アンナリーナは焚き火を起こした。
そしてテントを張る。
それはダージェたち用の普通のテントと、アンナリーナの転移の扉付きのテントだ。
そのあとは馬車と馬たち、2つのテントと焚き火を囲って結界を張り、アウトドア用のテーブルと椅子を取り出す。
何でも出てくるアイテムバッグに、ダージェと御者はまたまたびっくりしていた。
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