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第三章
85『トレポネーマの顛末とダンジョン10階層』
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今回のお話には個別の病気、症状、状況などに過度な表現、そしてそれに関しての批判などが出てきますが、これはすべて小説上のフィクションです。
気分が悪くなると思われた方はブラウザバックをお勧めします。
この件についての批判はお受けしませんのでよろしくお願いします。
5日間の臨時休校の、3日目のうちに3人の生徒が姿を消した。
その3人ともが、その存在をなかったものにされるのだろうが、今回ある意味巻き込まれた感のある、プロマンティ子爵家の子息は悲惨だった。
その【トレポネーマ】という病気の性質上忌避感が強く、早々に学院を退学して幽閉が決まったという。
彼の家への説明は、寝込んだアンナリーナに変わってユングクヴィストが行なってくれた。
この【トレポネーマ】前世で言うところの性病……いわゆる梅毒である。
これも根本的な治療法がなく対処療法しかなく、性行為での伝染が確認されているため、伴侶やその伴侶から胎児への感染も確認されている恐ろしい病気である。
彼は子爵家の嫡子であったが、このことで廃嫡から幽閉……そして処分されるのだろう。
この騒動ののち、アンナリーナに絡もうとする者はいなくなった。
臨時休校の最終日。
アンナリーナはテオドールとセト、イジを伴って久しぶりにデラガルサ・ダンジョンを訪れていた。
8階層に直接転移し、今日は10階層を重点的に探索する。
「ハンバーグ村と森部で採取したら下に行こう。
初めてなんでちょっと楽しみ」
ワクワクドキドキ、最近は運動不足だったのでご機嫌だ。
「おまえ、明日から学校だろ?
大丈夫なのかよ」
「平気~
熊さんも、セトやイジもいるんだもの、何が心配なわけ?」
「もう、おまえな~」
戯れあいながら階段の最後の段。
そこからアンナリーナは【索敵】し、まずこの階層に人間がいるかどうか、そして魔獣の分布を調べる。
「冒険者は確認出来ず……
やっぱりこの上で手こずってるのかな?」
たとえハンバーグ村を攻略出来たとしても、アンナリーナたちと違って彼らには “ 帰り“があるのだ。
無謀な賭けはおかせない。
「この、第10階層の魔獣は大きめのなのが多いみたい。
そこそこ数はいるね。
生物だったらいつものルーティンで。
もしアンデットや物質系なら臨機応変で。
初手は私に任せてね。
じゃあ、行くよ」
新たな階層に足を踏み入れた冒険者を、屠る為に現れる魔獣……この度はコカトリスだったが、アンナリーナは【血抜き】であっという間に倒してしまう。それも無傷で。
「おお! コカトリスだよ!
初めて見たよ~」
『主人様、このコカトリスの素材でも【石化状態解除薬】が精製できますが、キング・コカトリスからは【石化状態予防薬】が作成できます。
どうやらこの階層にいる模様です。
なるべくコカトリス系は【血抜き】を使わないようにお願いします」
凄い情報である。
もしも石化の予防薬が出回ったら、冒険者の生存率が劇的に上がるだろう。
アンナリーナはワクワクしながら、マップに現れた光点……コカトリスをサファケイトで倒していった。
「相変わらず、出鱈目だな」
テオドールは呆れるしかない。
石化効果のある魔獣相手なら、手を出さない方がいい。
「これって食べられるよね?」
異世界ファンタジー小説では、コカトリスと言えば高級食材である。
今はトサカ鳥で作っている唐揚げをこのコカトリスで作ったら……
アンナリーナは思わず涎を拭った。
『主人様、右の岩の影にバジリスクがいます。その奥にも2頭……
血抜きはしないようにお願いします』
「了解!
【結界】【サファケイト】」
無双である。
この階層を攻略出来ない冒険者からすれば涙するほど無双である。
この階層は他に【ロック・ドラゴン】というやたら硬い大トカゲや、とても珍しい【ゴロ・ゴローン】という丸い岩にしか見えない魔獣がいた。
ちなみにこのゴロ・ゴローン、その岩石状の体に金属を含んでおり、銅→鉄→銀→金→魔鋼→ミスリル→タイタニア→オリハルコン→精霊金の順番で貴重な鉱石が採取できる。
あと亜種で、青銅、すず、ステンレス、チタンなどがある。
「何か……この階はみんな石がらみ?ゴロ・ゴローンにサファケイトが効いてよかったよ。これも核は生物なんだね」
「俺はロック・ドラゴンも貴重だと思うぞ。
早速、イジの防具を新調しよう」
今日のダンジョン探査はまことに有意義であったと、アンナリーナは微笑んだ。
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この件についての批判はお受けしませんのでよろしくお願いします。
5日間の臨時休校の、3日目のうちに3人の生徒が姿を消した。
その3人ともが、その存在をなかったものにされるのだろうが、今回ある意味巻き込まれた感のある、プロマンティ子爵家の子息は悲惨だった。
その【トレポネーマ】という病気の性質上忌避感が強く、早々に学院を退学して幽閉が決まったという。
彼の家への説明は、寝込んだアンナリーナに変わってユングクヴィストが行なってくれた。
この【トレポネーマ】前世で言うところの性病……いわゆる梅毒である。
これも根本的な治療法がなく対処療法しかなく、性行為での伝染が確認されているため、伴侶やその伴侶から胎児への感染も確認されている恐ろしい病気である。
彼は子爵家の嫡子であったが、このことで廃嫡から幽閉……そして処分されるのだろう。
この騒動ののち、アンナリーナに絡もうとする者はいなくなった。
臨時休校の最終日。
アンナリーナはテオドールとセト、イジを伴って久しぶりにデラガルサ・ダンジョンを訪れていた。
8階層に直接転移し、今日は10階層を重点的に探索する。
「ハンバーグ村と森部で採取したら下に行こう。
初めてなんでちょっと楽しみ」
ワクワクドキドキ、最近は運動不足だったのでご機嫌だ。
「おまえ、明日から学校だろ?
大丈夫なのかよ」
「平気~
熊さんも、セトやイジもいるんだもの、何が心配なわけ?」
「もう、おまえな~」
戯れあいながら階段の最後の段。
そこからアンナリーナは【索敵】し、まずこの階層に人間がいるかどうか、そして魔獣の分布を調べる。
「冒険者は確認出来ず……
やっぱりこの上で手こずってるのかな?」
たとえハンバーグ村を攻略出来たとしても、アンナリーナたちと違って彼らには “ 帰り“があるのだ。
無謀な賭けはおかせない。
「この、第10階層の魔獣は大きめのなのが多いみたい。
そこそこ数はいるね。
生物だったらいつものルーティンで。
もしアンデットや物質系なら臨機応変で。
初手は私に任せてね。
じゃあ、行くよ」
新たな階層に足を踏み入れた冒険者を、屠る為に現れる魔獣……この度はコカトリスだったが、アンナリーナは【血抜き】であっという間に倒してしまう。それも無傷で。
「おお! コカトリスだよ!
初めて見たよ~」
『主人様、このコカトリスの素材でも【石化状態解除薬】が精製できますが、キング・コカトリスからは【石化状態予防薬】が作成できます。
どうやらこの階層にいる模様です。
なるべくコカトリス系は【血抜き】を使わないようにお願いします」
凄い情報である。
もしも石化の予防薬が出回ったら、冒険者の生存率が劇的に上がるだろう。
アンナリーナはワクワクしながら、マップに現れた光点……コカトリスをサファケイトで倒していった。
「相変わらず、出鱈目だな」
テオドールは呆れるしかない。
石化効果のある魔獣相手なら、手を出さない方がいい。
「これって食べられるよね?」
異世界ファンタジー小説では、コカトリスと言えば高級食材である。
今はトサカ鳥で作っている唐揚げをこのコカトリスで作ったら……
アンナリーナは思わず涎を拭った。
『主人様、右の岩の影にバジリスクがいます。その奥にも2頭……
血抜きはしないようにお願いします』
「了解!
【結界】【サファケイト】」
無双である。
この階層を攻略出来ない冒険者からすれば涙するほど無双である。
この階層は他に【ロック・ドラゴン】というやたら硬い大トカゲや、とても珍しい【ゴロ・ゴローン】という丸い岩にしか見えない魔獣がいた。
ちなみにこのゴロ・ゴローン、その岩石状の体に金属を含んでおり、銅→鉄→銀→金→魔鋼→ミスリル→タイタニア→オリハルコン→精霊金の順番で貴重な鉱石が採取できる。
あと亜種で、青銅、すず、ステンレス、チタンなどがある。
「何か……この階はみんな石がらみ?ゴロ・ゴローンにサファケイトが効いてよかったよ。これも核は生物なんだね」
「俺はロック・ドラゴンも貴重だと思うぞ。
早速、イジの防具を新調しよう」
今日のダンジョン探査はまことに有意義であったと、アンナリーナは微笑んだ。
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