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第三章

81『アフタヌーンティータイム』

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 今回のお話には個別の病気、症状、状況などに過度な表現、そしてそれに関しての批判などが出てきますが、これはすべて小説上のフィクションです。
 気分が悪くなると思われた方はブラウザバックをお勧めします。
 この件についての批判はお受けしませんのでよろしくお願いします。



 アンナリーナは、はたと気がついた。

「私ったら……申し訳ございません。
 こんなところで立ちっぱなしで」

 彼女らは今、寮の談話スペースにいる。

「これからのお話は腰を落ち着けて致しましょう。
 どうぞ、私の部屋にお出でください。
 引っ越してきたばかりで、まだ調ってはおりませんが。
 それとどなたか、私の後見人名代のテオドールさんを呼んできて下さいませんか」

 学院長の従者の一人が駆け出していった。

「では、参りましょうか」


 アンナリーナの特別室の扉をくぐった公爵たちは、その設えに目を瞬かせた。
 この王国の王侯貴族でも手にしていないような豪華な家具が彼らを迎えた。
 アンナリーナに座るように勧められたソファーセットは優美な曲線を備えた女性が好むもので、例えば彼の奥方が見れば目を輝かせるだろう。

「リーナ様、おかえりなさいませ。
 お出迎えが遅れて、申し訳ございません」

「アラーニェ、ただいま。
 そんなの気にしなくていいのよ。
 早速だけど、お茶をお願いできるかしら」

「はい。
 リーナ様、お昼はお召し上がりになりましたか?まだなら軽食も準備しておりますが」

 アンナリーナはちらりと、ソファーに座る面々を見る。

「喉を通りそうもない方もいらっしゃるけど……そうね、お菓子と軽食、両方出してちょうだい」

「かしこまりました」


 軽くノックの音がして、テオドールが部屋にやってきた。
 その、部屋にいる面子を見て一瞬足を止めたが、アンナリーナの後ろに立つと黙礼した。

「何をやらかした?」

「別に何も」

 疑わしそうな目でアンナリーナを見たが、今ここで問い詰められないと察したのだろう、空いた椅子を引っ張ってきて、トラブルメーカーな恋人の横に腰を下ろした。


 アラーニェがワゴンに乗せて持ってきた品々に全員の視線が集まった。
 用意された軽食は、安定のサンドウィッチだ。
 玉子やハム、チーズの他に、ローストビーフやポテトサラダ、それに生クリームにイチゴやバナナを挟んだフルーツサンドもある。
 サーモンやチーズをのせたカナッペやタルト、そしてクッキーやラングドシャ……学院長以下、見たこともないものばかりだった。

 アラーニェが典雅な手つきでお茶を淹れていく。
 ウエッジウッドの花柄の茶器に、疲れを取るハーブを混ぜたブレンド茶だ。

「何か、ボリュームのあるサンドウィッチが混じってるね」

「これは、テオドール様がいらっしゃるので。
 どうぞ、おかわりも申し付け下さい」

「じゃ、遠慮なく」

 アラーニェに言って、ローストビーフサンドとポテトサラダサンドを取り分けてもらう。
 本来ならば公爵らの手前、先に食べるなどあり得ないのだが、これは身内の特典だ。

「皆様もよろしければ少しでも。
 お茶も冷めてしまいますわ」

 このあと、ロドス伯爵を除く3人は充分に舌鼓を打ったのだった。


 飲食を含む小休止のあと、先ずはロドス伯爵家の、これからの話になった。

「明日、朝一番にお医師様と【解析】の出来る方に行ってもらいますので、使用人も全員、お屋敷でお待ち下さい。
 これで感染者がわかれば良いのですが……そうでなければ少々面倒ですよ」

 ユングクヴィストも頷いた。

「それとお嬢様は……申し訳ないですが【隔離】ですね」

 もちろんかけらも、申し訳ないとは思っていない。
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