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第二章
82『約束』
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しばらくして戻ってきたアンナリーナが抱えていた木箱には大量の角砂糖が入っていた。
この世界にはないビニール袋に入っているものは渡せない。
なので紙箱に入っているものを選んで【異世界買物】で買ってきた。
もちろん外装のフィルムははぎ取っている。
「ザルバさんとゲルトさん、これ持って行って?
角砂糖はね、緊急の時の携帯食になるの。
もしも食事が取れないときでもこれと水があれば一週間くらい持つから。
それと」
アイテムバッグから大人の男の握りこぶしくらいの大きさの皮袋を取り出す。
「これはにんにくと玉子の黄身を使って私が作ったの。
とても滋養があるからこれも緊急食にして。
……フランクには後で渡すから残ってくれる?」
「リーナ、俺は」
「フランク」
何もかも見通したようにフランクを見たアンナリーナがかぶりを振る。
「リーナ、聞いてくれ。
俺はお前と離れたくない。一緒に行きたいんだ」
ザルバもゲルトも驚いた様子はない。
すでに折り込み済みだったという事なのか、それでもアンナリーナは言葉を選んで話し始めた。
「フランクの気持ちは嬉しい……
私もフランクのこと、好きだから。
でもね」
一瞬喜びに輝いた目が、剣呑な光を宿している。
「私はこれから国境を越えて、もう一つ越えた国に行こうと思ってる。
そこのギルドで冒険者登録するつもりなんだけど、私みたいに胡散臭い娘とそれなりの年で腕利きのフランクが一緒だったらどうおもわれるかな?
私は、初めはなるべく目立たないようにやって行きたいの。
それに今フランクは、ここで必要でしょう?」
ザルバやゲルトが静観するなか、フランクは拳を握りしめている。
「私が……私たちが落ち着ける場所が出来るまで待っていてくれないかな?
一年、いえ来年の春、迎えに来るから、お互いにしなければならない事を頑張ろう?」
「リーナ、お前はそれでいいのか?
俺は……」
「もうそのへんにしとけ」
ザルバが若いフランクの頭をポンポンと叩いた。
「お前よりずっと若い嬢ちゃんがこうまで言ってるんだ。
春まで待ったっていいんじゃないか?」
「ちゃんと居場所を作っておくから、フランクも頑張って!」
渋々頷いたフランクは今、アンナリーナとふたりきりでテントの中にいる。
飲み会は、明日の出発の事もあり早々にお開きとなったがキンキとジンガは居残りだ。
アンナリーナが提供したウイスキーでへべれけになった2人は、当然天幕に泊まり込んでいる。
「フランク、そこに座って」
まだ、腹のなかでは納得しきれていないのだろう。
憮然としている。
「リーナ、待てよ」
テントからツリーハウスに移ろうと背を向けた途端、フランクに腕を掴まれ、抱き寄せられた。
そのまま腕のなかに閉じ込められる。
「フランク……」
自然と合わさった唇はすぐに動きを激しくして、フランクの舌がアンナリーナの口内に入ってくる。
舌を絡め取られ、たじろぐアンナリーナを押さえつけ、彼女にとって初めての大人のキスは続く。
「あ……ん」
ふたりの、混じり合った唾液が糸を引き、顔の距離が離れていくに従って消えていく。
「畜生……リーナがこんなに小さくなかったら契るのに。
せめてもっと時間があれば……」
「フランク?」
「俺はリーナが欲しい」
真剣な顔のフランクは迫力があって、アンナリーナは口を挟めない。
「でも、勢いに任せて抱くことはできない…そんなことをしたらおまえを壊しちまう」
わずかに震える手でアンナリーナの背中を、腰を弄りバードキスを繰り返す。
「来春……
再会したらもう、遠慮しない。
その時は必ず抱く。だからおまえも十分に気をつけてくれ」
「うん、約束する。フランクもね」
「ああ、約束だ」
そしてふたりはフランクが寝つくまで話を続け、その眠りを確かめてアンナリーナはテントからツリーハウスに移った。
キッチンで、魔法を駆使して大量に作ったのはお馴染みのポテトサラダ。
そのあと時間が許す限りサンドイッチなどすぐに食べられるものを用意し、テーブルに並べていく。
その他、常備薬一式、紅茶などの入った水筒など。
思いつく限り、手当たり次第。
それを収めるために取り出したのは先日からフランク用に作っていたアイテムバッグだ。
それは剣帯に付けられる本当に小さなもので、良くて薬入れにしか見えない。
先ほどの角砂糖やクッキー、パンの類いも合わせてアイテムバッグに収めていった。
この世界にはないビニール袋に入っているものは渡せない。
なので紙箱に入っているものを選んで【異世界買物】で買ってきた。
もちろん外装のフィルムははぎ取っている。
「ザルバさんとゲルトさん、これ持って行って?
角砂糖はね、緊急の時の携帯食になるの。
もしも食事が取れないときでもこれと水があれば一週間くらい持つから。
それと」
アイテムバッグから大人の男の握りこぶしくらいの大きさの皮袋を取り出す。
「これはにんにくと玉子の黄身を使って私が作ったの。
とても滋養があるからこれも緊急食にして。
……フランクには後で渡すから残ってくれる?」
「リーナ、俺は」
「フランク」
何もかも見通したようにフランクを見たアンナリーナがかぶりを振る。
「リーナ、聞いてくれ。
俺はお前と離れたくない。一緒に行きたいんだ」
ザルバもゲルトも驚いた様子はない。
すでに折り込み済みだったという事なのか、それでもアンナリーナは言葉を選んで話し始めた。
「フランクの気持ちは嬉しい……
私もフランクのこと、好きだから。
でもね」
一瞬喜びに輝いた目が、剣呑な光を宿している。
「私はこれから国境を越えて、もう一つ越えた国に行こうと思ってる。
そこのギルドで冒険者登録するつもりなんだけど、私みたいに胡散臭い娘とそれなりの年で腕利きのフランクが一緒だったらどうおもわれるかな?
私は、初めはなるべく目立たないようにやって行きたいの。
それに今フランクは、ここで必要でしょう?」
ザルバやゲルトが静観するなか、フランクは拳を握りしめている。
「私が……私たちが落ち着ける場所が出来るまで待っていてくれないかな?
一年、いえ来年の春、迎えに来るから、お互いにしなければならない事を頑張ろう?」
「リーナ、お前はそれでいいのか?
俺は……」
「もうそのへんにしとけ」
ザルバが若いフランクの頭をポンポンと叩いた。
「お前よりずっと若い嬢ちゃんがこうまで言ってるんだ。
春まで待ったっていいんじゃないか?」
「ちゃんと居場所を作っておくから、フランクも頑張って!」
渋々頷いたフランクは今、アンナリーナとふたりきりでテントの中にいる。
飲み会は、明日の出発の事もあり早々にお開きとなったがキンキとジンガは居残りだ。
アンナリーナが提供したウイスキーでへべれけになった2人は、当然天幕に泊まり込んでいる。
「フランク、そこに座って」
まだ、腹のなかでは納得しきれていないのだろう。
憮然としている。
「リーナ、待てよ」
テントからツリーハウスに移ろうと背を向けた途端、フランクに腕を掴まれ、抱き寄せられた。
そのまま腕のなかに閉じ込められる。
「フランク……」
自然と合わさった唇はすぐに動きを激しくして、フランクの舌がアンナリーナの口内に入ってくる。
舌を絡め取られ、たじろぐアンナリーナを押さえつけ、彼女にとって初めての大人のキスは続く。
「あ……ん」
ふたりの、混じり合った唾液が糸を引き、顔の距離が離れていくに従って消えていく。
「畜生……リーナがこんなに小さくなかったら契るのに。
せめてもっと時間があれば……」
「フランク?」
「俺はリーナが欲しい」
真剣な顔のフランクは迫力があって、アンナリーナは口を挟めない。
「でも、勢いに任せて抱くことはできない…そんなことをしたらおまえを壊しちまう」
わずかに震える手でアンナリーナの背中を、腰を弄りバードキスを繰り返す。
「来春……
再会したらもう、遠慮しない。
その時は必ず抱く。だからおまえも十分に気をつけてくれ」
「うん、約束する。フランクもね」
「ああ、約束だ」
そしてふたりはフランクが寝つくまで話を続け、その眠りを確かめてアンナリーナはテントからツリーハウスに移った。
キッチンで、魔法を駆使して大量に作ったのはお馴染みのポテトサラダ。
そのあと時間が許す限りサンドイッチなどすぐに食べられるものを用意し、テーブルに並べていく。
その他、常備薬一式、紅茶などの入った水筒など。
思いつく限り、手当たり次第。
それを収めるために取り出したのは先日からフランク用に作っていたアイテムバッグだ。
それは剣帯に付けられる本当に小さなもので、良くて薬入れにしか見えない。
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