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第二章
30『ヤケ買いとギルド出張所』
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買い物は楽しい。
ステータスの画面から【異世界買物】を表示して、リストから片っ端に選んでカートに入れていく。
目につくもの、細々としたものを脈絡なく放り込んでいくのだが、金額を気にせず買い物するのは凄くいい。
特に、この世界で覚醒してずっと諦めていた下着が手に入るのが嬉しい。
ただ、サイズという現実に打ちのめされたのだが。
「65のAAカップ……いっそ、ジュニア向けの方がいいかも。
スポーツブラと、ボーイレッグのショーツと……」
もちろん女の子だからピンクのお花のレースの付いたブラやセットのショーツなど鬱憤を晴らすべく買う。
こちらの世界の着衣に合わせるべく、あまり奇抜なデザイン、色柄に至るまで気を使わなくてはならない服と違って下着は自由だ。
「レギンスやチュニックならあまり目立たないのもあるかな?
そうか!布を買って自分で縫うっていうのもアリだったわね!」
次はまずミシンだ。
オーバーテクノロジーな技術を盛り込んだコンピュータミシンは却下、なるべくシンプルに、だがボタン穴だけは必要だ。
フットコントローラーで動かすもの。
縁かがりはそれ専用の別のミシンを購入した。
「作業台が欲しいな……そうなると。
ナビ、このツリーハウスの増設って出来るの?」
「このツリーハウスは異空間魔法に属します。
元々の持ち主から譲られた形で、今まで主人様はこのスキルをお持ちでなかったですが、この際取得なさった方がよろしいですね。
明日にでもいかがですか?」
それを聞いたアンナリーナはますます自重しない。
まずは作業台。
ミシン用とアイロンや裁断を行うものと2台。
忘れずにアイロンやアイロン台、現代日本の便利な裁縫道具をカートに。
そしてその後、可愛い花柄のチュニックと単色のレギンスを数枚選んで、ここで一旦清算した。
部屋を埋め尽くさんばかりの段ボール箱を、衣料を除いてすべてインベントリに放り込むと、女の子らしくひとつひとつをベッドの上に並べて見入っている。
残念ながら子供服だったのには目を瞑ることにしよう。
ブラウンケーキとミルクで軽い昼食を摂ると、あの変態男グレイストがいない事を確かめて、急いで門にいく。
1度訪問して、モロッタイヤ村発行の身分証明書を持っていたおかげで、大した手間も取られずに通してもらえた。
【位置特定】と、自分には【気配隠蔽】【危機察知】をかけて、話に聞いたギルドの出張所を兼任する宿に急ぐ。
そしてそこはすぐに見つかったのだが、変態男グレイストが言うようになんとも賑やかなところだった。
アンナリーナが扉を開けて中に入ると、一斉に注目が集まる。
その目は皆、好奇心に輝きアンナリーナを見定めようとしていた。
スタスタとカウンターに近づき、中にいる大男に声をかける。
「こんにちは」
恐ろしげな顰めっ面が一瞬、緩んだような気がした。
「嬢ちゃんがグレイストの言ってた子かぁ?
俺はサンドラス。宿屋の主人と、ギルド出張所を任されてるもんだ。
よろしくな」
ここの主人のまともな対応に、好奇心の収まった連中が関心をなくす。
真っ昼間からエールをあおる男たちは与太話に余念がない。
「よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をしたアンナリーナに厳つい男は目を丸くしたが、それに関しては流してくれた。
「で?
乗り合い馬車について聞きたいって?
嬢ちゃん、領都に行きたいんだな?」
「領都以外に目的地があるんですか?」
少しカマをかけてみる。
「この奥に鉱山があるんだよ。
この村はそこへの中継地になってるんだ」
「その鉱山って魔獣が出るんですか?
見たところ、冒険者さんが多いみたいですけど」
「まあ、普通よりは多いかもしれんがさほどでもない。
あいつらはこの村の冒険者だ。
いつもはここから鉱山までの道の魔獣を狩ってるんだが、今日はたまたま命の洗濯だな」
話を聞くと……のんびりしたものだ。
この様子ではまだ、鉱山がダンジョン化していることなど知らないのだろう。
アンナリーナが薬師である事は、グレイストとこの男に知られている。
ダンジョン化の話が大っぴらになると、この村から出してもらえなくなる可能性がある。
『これは一刻も早くトンズラだわ』
どうやってここから出て行こうか、考えていたら、荒々しく扉を開けて飛び込んできたものがいた。
「おい!
お、嬢ちゃんもここにいたか。
ちょうど良かった」
見覚えのある若者だ。
確か門の詰所にいた……。
「たった今、門のところに乗り合い馬車が着いた。
明後日の便とは別便で、今夜はこの村に泊まって明日朝一で出発するそうだ」
別便だなんで悪い予感しかない。
聞いてみようか、口を開くのを躊躇していると、サンドラスが聞く。
「別便だぁ?なんかあったのか?」
「そのへんの事はまだ聞いてない。
別に不審な点はなかったから。
どうせここに泊まるだろうから聞いてみたらどうだ?」
逃げたい、逃げたい。
アンナリーナは目立たないようにジリジリと後退っていった。
そんな中、大きな影が彼女の後ろに現れ、いきなり後ろから抱きすくめられる。
悲鳴をあげる間も無く口許を塞がれ、頬に唇が押し当てられるのを感じた。
ステータスの画面から【異世界買物】を表示して、リストから片っ端に選んでカートに入れていく。
目につくもの、細々としたものを脈絡なく放り込んでいくのだが、金額を気にせず買い物するのは凄くいい。
特に、この世界で覚醒してずっと諦めていた下着が手に入るのが嬉しい。
ただ、サイズという現実に打ちのめされたのだが。
「65のAAカップ……いっそ、ジュニア向けの方がいいかも。
スポーツブラと、ボーイレッグのショーツと……」
もちろん女の子だからピンクのお花のレースの付いたブラやセットのショーツなど鬱憤を晴らすべく買う。
こちらの世界の着衣に合わせるべく、あまり奇抜なデザイン、色柄に至るまで気を使わなくてはならない服と違って下着は自由だ。
「レギンスやチュニックならあまり目立たないのもあるかな?
そうか!布を買って自分で縫うっていうのもアリだったわね!」
次はまずミシンだ。
オーバーテクノロジーな技術を盛り込んだコンピュータミシンは却下、なるべくシンプルに、だがボタン穴だけは必要だ。
フットコントローラーで動かすもの。
縁かがりはそれ専用の別のミシンを購入した。
「作業台が欲しいな……そうなると。
ナビ、このツリーハウスの増設って出来るの?」
「このツリーハウスは異空間魔法に属します。
元々の持ち主から譲られた形で、今まで主人様はこのスキルをお持ちでなかったですが、この際取得なさった方がよろしいですね。
明日にでもいかがですか?」
それを聞いたアンナリーナはますます自重しない。
まずは作業台。
ミシン用とアイロンや裁断を行うものと2台。
忘れずにアイロンやアイロン台、現代日本の便利な裁縫道具をカートに。
そしてその後、可愛い花柄のチュニックと単色のレギンスを数枚選んで、ここで一旦清算した。
部屋を埋め尽くさんばかりの段ボール箱を、衣料を除いてすべてインベントリに放り込むと、女の子らしくひとつひとつをベッドの上に並べて見入っている。
残念ながら子供服だったのには目を瞑ることにしよう。
ブラウンケーキとミルクで軽い昼食を摂ると、あの変態男グレイストがいない事を確かめて、急いで門にいく。
1度訪問して、モロッタイヤ村発行の身分証明書を持っていたおかげで、大した手間も取られずに通してもらえた。
【位置特定】と、自分には【気配隠蔽】【危機察知】をかけて、話に聞いたギルドの出張所を兼任する宿に急ぐ。
そしてそこはすぐに見つかったのだが、変態男グレイストが言うようになんとも賑やかなところだった。
アンナリーナが扉を開けて中に入ると、一斉に注目が集まる。
その目は皆、好奇心に輝きアンナリーナを見定めようとしていた。
スタスタとカウンターに近づき、中にいる大男に声をかける。
「こんにちは」
恐ろしげな顰めっ面が一瞬、緩んだような気がした。
「嬢ちゃんがグレイストの言ってた子かぁ?
俺はサンドラス。宿屋の主人と、ギルド出張所を任されてるもんだ。
よろしくな」
ここの主人のまともな対応に、好奇心の収まった連中が関心をなくす。
真っ昼間からエールをあおる男たちは与太話に余念がない。
「よろしくお願いします」
ペコリとお辞儀をしたアンナリーナに厳つい男は目を丸くしたが、それに関しては流してくれた。
「で?
乗り合い馬車について聞きたいって?
嬢ちゃん、領都に行きたいんだな?」
「領都以外に目的地があるんですか?」
少しカマをかけてみる。
「この奥に鉱山があるんだよ。
この村はそこへの中継地になってるんだ」
「その鉱山って魔獣が出るんですか?
見たところ、冒険者さんが多いみたいですけど」
「まあ、普通よりは多いかもしれんがさほどでもない。
あいつらはこの村の冒険者だ。
いつもはここから鉱山までの道の魔獣を狩ってるんだが、今日はたまたま命の洗濯だな」
話を聞くと……のんびりしたものだ。
この様子ではまだ、鉱山がダンジョン化していることなど知らないのだろう。
アンナリーナが薬師である事は、グレイストとこの男に知られている。
ダンジョン化の話が大っぴらになると、この村から出してもらえなくなる可能性がある。
『これは一刻も早くトンズラだわ』
どうやってここから出て行こうか、考えていたら、荒々しく扉を開けて飛び込んできたものがいた。
「おい!
お、嬢ちゃんもここにいたか。
ちょうど良かった」
見覚えのある若者だ。
確か門の詰所にいた……。
「たった今、門のところに乗り合い馬車が着いた。
明後日の便とは別便で、今夜はこの村に泊まって明日朝一で出発するそうだ」
別便だなんで悪い予感しかない。
聞いてみようか、口を開くのを躊躇していると、サンドラスが聞く。
「別便だぁ?なんかあったのか?」
「そのへんの事はまだ聞いてない。
別に不審な点はなかったから。
どうせここに泊まるだろうから聞いてみたらどうだ?」
逃げたい、逃げたい。
アンナリーナは目立たないようにジリジリと後退っていった。
そんな中、大きな影が彼女の後ろに現れ、いきなり後ろから抱きすくめられる。
悲鳴をあげる間も無く口許を塞がれ、頬に唇が押し当てられるのを感じた。
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