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始めました
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「はっ…。」
「は、はぁっ…。」
ようやく宮君の舌が口から出ていった頃にはボクはもう身体のありとあらゆるところから力が抜けちゃって。ブリッジの潰れちゃった状態でベッドにそのまま、沈んだ。後頭部押さえてた宮君の手を下敷きにして。
口からは、ただ荒い息が。
呼吸するだけで精一杯、唾液でべちゃべちゃの口元を拭う気力も唇を舐める余力もない。
息苦しさと湧き上がってくる如何ともし難いあの気持ちよさとで涙は出るわ、鼻は出るわ。
それもそのまま出しっぱなし。
あー…ほんとに、ねぇ。
ぼんやりとした頭ん中に浮かぶのは、
(宮君とのちゅーって、なんでこんなんばっかりなんだろうなぁ。)
なんて、そんな、アホみたいな事。
なんかもっとこう爽やかなちゅっとか甘やかなちゅっとかさ、いろいろいろいろあるでしょうに。
ちゅーだけで、どろっどろ。物理的に。
…主にボクの顔が。
「はぁ…はぁっ…葉海。」
ボクの顔の側に片手ついて。上からはぁはぁ荒い息を繰り返す宮君。無意識なのか、さっきからボクを名前呼びしてる。
『はる。』
たった一言。
周りもボクのことは名前呼びだから慣れてるし、特に何か思ったこともない。名字か名前かあだ名か、気にしたことなんてない。
でも宮君から名前呼び。
ただそれだけなのに胸がキュンとかする。誤動作じゃなくてだよ。
思わず顔に熱とかさ。赤くなってるの分かる。
ついでにさ。荒い息の合間にボクの名前呼ぶその声音がまた、腰にきてるとか。ホント。
(大概です、ねぇ。)
はっはって。
息を整えるだけで精一杯。宮君の呼びかけにお答えはできません。胸はとくとく。顔に熱がじわじわ。腰はじーんと重い。
涙の滲む目を軽く閉じ、ひたすらはーはーって、肺を使って息を整えてーー。
「葉海。」
宮君がまたボクを呼ぶ。
ボクはうっすらとだけ開けていた目を、顎を上げ宮君へと向けた。
「…葉海。」
また、呼ぶ。その唇の横からぼたり。
片手はボクの頭の下。もう片手をボクの横についてるから拭えてない、宮君の紅い唇の横から唾液がぼたりと、落ちてくる。
「宮君。」
赤い舌が、さっきまでボクの口の中で暴れ回った舌がべろりとその、次に溢れでそうな唾液を大きく舐めとって。
かちり、と歯を鳴らす。
「葉海。」
うっそりと、宮君ったら目元を細めたりして。
もちろんその目はボクだけを見てて。
(食べたそうだなぁ。)
本能でボク。そんなことを思う。
宮君の舌。ボクのか宮君のかわかんない唾液をべろりと舐めとった舌、その唇が動いて。
言葉を紡ぐ前にボクに近づいてきてそれで。
ボクの耳に、宮君が直接言葉を流し込む。
「処理が追いつかず混乱の極みなんですけど。」
「同じくぅー。」
ボク即同意。
いやむしろボクこそが、宮君意味わかんな過ぎて頭回ってないんですけども。
仮定してみたり付き合ってるの疑ったり怒ってんのかと思ったら喜んでたり。追いつかないのはボクの頭。
濃厚ちゅーがしかも追い打ち。
もー処理速度は底辺。わけわかんなすぎだよねーもーほんとに、もー。
…宮君。極みとか言っといて、本当は整理ついてんじゃないのかな?
いつも通りの顔だもの。
ただ綺麗な顔が前面に出ているだけの、他は通常通り。
いつもの宮君。
顔はね。綺麗なだけ。いつもの顔。
「葉海、先輩。」
低くて。
流し込まれるその声がまた、低くてそら恐ろしい程の暗さで。
じっとりと。どっろどろの粘度で流れ込んでくる、ボクの中に。
「性交渉含む性的接触は自分とだけと、そう今、確約して下さい。」
そんなバカみたいな懇願が。
でももう宮君への好きがただの後輩親友へのそれとは別物の好きだと。気づいちゃったボクにとってはもうさ。
宮君のそんな、自分だけが食ってやるって副音声聞こえてきそうな声音にだってさ。もうさ。ただただ。
ぞくりとしてしまうんだよ。
宮君のわけのわからなさも、困ったことに好きだわぁなんてさ。
ほっぺ齧るくらいなら断りなく良いよ?
いつでもほら。
なんて。
口にしそうなくらい。
本当に全くなんなの、宮君。
ただのバカでアホなの?
なんなの、ボクも。
ほんとにもうもうもう!チョロ甘アホおバカちゃん。
だからこそ。
なんて可愛いんだろうなぁなんて。
思ってしまうわけで。
ふぅぅぅとボクはとにかく息を。
あれやこれやの言いたいことはとりあえず吐き出す中に溶かし込んでね。口にするのは、ひとまず置いといて。
ボク、深く深く息を吐いて。
「当たり前でしょ。」
ってさ。
万感の思いを込めた一言を。
肺の中の息を吐き切った途端、そう呟いて無理やり横向いて。
宮君の口に。
ちゅーしてやったよね。
無理やり首を動かしただけだからね。
唇掠めて端っこにちゅー。
あぁほんとにもう。
甘くて優しいちゅーには程遠い。
それでもボクから宮君への初ちゅー。
「先輩っ!」
宮君への効果は抜群だったみたいなので、よし。
「先輩はほんとに摩訶不思議です。」
「宮君には言われたくないかなぁ。」
ボクらはなんとなく笑い合って(多分。)
それからもう一度、始めました。
「は、はぁっ…。」
ようやく宮君の舌が口から出ていった頃にはボクはもう身体のありとあらゆるところから力が抜けちゃって。ブリッジの潰れちゃった状態でベッドにそのまま、沈んだ。後頭部押さえてた宮君の手を下敷きにして。
口からは、ただ荒い息が。
呼吸するだけで精一杯、唾液でべちゃべちゃの口元を拭う気力も唇を舐める余力もない。
息苦しさと湧き上がってくる如何ともし難いあの気持ちよさとで涙は出るわ、鼻は出るわ。
それもそのまま出しっぱなし。
あー…ほんとに、ねぇ。
ぼんやりとした頭ん中に浮かぶのは、
(宮君とのちゅーって、なんでこんなんばっかりなんだろうなぁ。)
なんて、そんな、アホみたいな事。
なんかもっとこう爽やかなちゅっとか甘やかなちゅっとかさ、いろいろいろいろあるでしょうに。
ちゅーだけで、どろっどろ。物理的に。
…主にボクの顔が。
「はぁ…はぁっ…葉海。」
ボクの顔の側に片手ついて。上からはぁはぁ荒い息を繰り返す宮君。無意識なのか、さっきからボクを名前呼びしてる。
『はる。』
たった一言。
周りもボクのことは名前呼びだから慣れてるし、特に何か思ったこともない。名字か名前かあだ名か、気にしたことなんてない。
でも宮君から名前呼び。
ただそれだけなのに胸がキュンとかする。誤動作じゃなくてだよ。
思わず顔に熱とかさ。赤くなってるの分かる。
ついでにさ。荒い息の合間にボクの名前呼ぶその声音がまた、腰にきてるとか。ホント。
(大概です、ねぇ。)
はっはって。
息を整えるだけで精一杯。宮君の呼びかけにお答えはできません。胸はとくとく。顔に熱がじわじわ。腰はじーんと重い。
涙の滲む目を軽く閉じ、ひたすらはーはーって、肺を使って息を整えてーー。
「葉海。」
宮君がまたボクを呼ぶ。
ボクはうっすらとだけ開けていた目を、顎を上げ宮君へと向けた。
「…葉海。」
また、呼ぶ。その唇の横からぼたり。
片手はボクの頭の下。もう片手をボクの横についてるから拭えてない、宮君の紅い唇の横から唾液がぼたりと、落ちてくる。
「宮君。」
赤い舌が、さっきまでボクの口の中で暴れ回った舌がべろりとその、次に溢れでそうな唾液を大きく舐めとって。
かちり、と歯を鳴らす。
「葉海。」
うっそりと、宮君ったら目元を細めたりして。
もちろんその目はボクだけを見てて。
(食べたそうだなぁ。)
本能でボク。そんなことを思う。
宮君の舌。ボクのか宮君のかわかんない唾液をべろりと舐めとった舌、その唇が動いて。
言葉を紡ぐ前にボクに近づいてきてそれで。
ボクの耳に、宮君が直接言葉を流し込む。
「処理が追いつかず混乱の極みなんですけど。」
「同じくぅー。」
ボク即同意。
いやむしろボクこそが、宮君意味わかんな過ぎて頭回ってないんですけども。
仮定してみたり付き合ってるの疑ったり怒ってんのかと思ったら喜んでたり。追いつかないのはボクの頭。
濃厚ちゅーがしかも追い打ち。
もー処理速度は底辺。わけわかんなすぎだよねーもーほんとに、もー。
…宮君。極みとか言っといて、本当は整理ついてんじゃないのかな?
いつも通りの顔だもの。
ただ綺麗な顔が前面に出ているだけの、他は通常通り。
いつもの宮君。
顔はね。綺麗なだけ。いつもの顔。
「葉海、先輩。」
低くて。
流し込まれるその声がまた、低くてそら恐ろしい程の暗さで。
じっとりと。どっろどろの粘度で流れ込んでくる、ボクの中に。
「性交渉含む性的接触は自分とだけと、そう今、確約して下さい。」
そんなバカみたいな懇願が。
でももう宮君への好きがただの後輩親友へのそれとは別物の好きだと。気づいちゃったボクにとってはもうさ。
宮君のそんな、自分だけが食ってやるって副音声聞こえてきそうな声音にだってさ。もうさ。ただただ。
ぞくりとしてしまうんだよ。
宮君のわけのわからなさも、困ったことに好きだわぁなんてさ。
ほっぺ齧るくらいなら断りなく良いよ?
いつでもほら。
なんて。
口にしそうなくらい。
本当に全くなんなの、宮君。
ただのバカでアホなの?
なんなの、ボクも。
ほんとにもうもうもう!チョロ甘アホおバカちゃん。
だからこそ。
なんて可愛いんだろうなぁなんて。
思ってしまうわけで。
ふぅぅぅとボクはとにかく息を。
あれやこれやの言いたいことはとりあえず吐き出す中に溶かし込んでね。口にするのは、ひとまず置いといて。
ボク、深く深く息を吐いて。
「当たり前でしょ。」
ってさ。
万感の思いを込めた一言を。
肺の中の息を吐き切った途端、そう呟いて無理やり横向いて。
宮君の口に。
ちゅーしてやったよね。
無理やり首を動かしただけだからね。
唇掠めて端っこにちゅー。
あぁほんとにもう。
甘くて優しいちゅーには程遠い。
それでもボクから宮君への初ちゅー。
「先輩っ!」
宮君への効果は抜群だったみたいなので、よし。
「先輩はほんとに摩訶不思議です。」
「宮君には言われたくないかなぁ。」
ボクらはなんとなく笑い合って(多分。)
それからもう一度、始めました。
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