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浮気してそうな顔だと後輩宮君に太鼓判押されたボクのカレ氏。
まぁねぇ。確かに浮気の1つや2つ。どころか。なんなら10くらいしてそうだよね、いっそ同時進行の勢いで。
完全同意。そんな顔。
ボクの、浮気確定カレ氏な雪クンは、宮君に負けず劣らずの高身長。大きなくっきりお目目は、ヘーゼルがかってて酷く印象的だ。光の反射で緑味が強まるやつ。鼻筋はシュッ。モテ顔必須項目Eライン持ちのスッキリ小顔。そのお顔で、ちょっぴり気だるそうな雰囲気を醸し出したり。かと思えば、お仲間と話す時は明るくスキンシップ過多。すこぶる話しやすかったりする。
男女問わず人間全般、騙くらかしそうな美形だ。
斯くいうボクも結局騙されたわけですが。
「で、どうするんですか?」
「なにが?」
「あの不用ブツです。」
宮君の平坦な声が、ボクに聞いてくる。
「不用物?」
「はい。不用ブツです。」
ボクは宮君の言葉に首を傾げた。
不用物。
洗って少々水に浸し、砂を落とした手元のブロッコリー。これは違う。
「んん??」
流し台に落ちたままのブロッコリーの、チョロリとした葉っぱ。豚肉の入っていたトレーのラップ。これはうん不用物、ゴミだね。
それらを順番に見てから、今度はそのまま隣に立ってる宮君へと視線を動かす。
「これ?」
ブロッコリーでそれらを指してみたけど。
「違います。」
あれ、即答。
「それも不用ブツですけど。それじゃなくて、先輩の家にある特大で最悪で最高にいらない不用ブツのことです。」
宮君は、トマト片手に不用物連発。
真っ黒な髪で表情はかくれんぼ、だけど。
なんだか少し、不機嫌そうだ。
雪は髪型にもそりゃもうもう!うるさくなって。綺麗だった黒髪をアッシュブラウン?だったかグレーだったかに染め上げ、毎朝鏡の前で時間かけてモテるらしいヘアに仕立てあげるのに余念がない。軽やかに流された前髪で、いつだっておっきな目が晒されてる。
宮君は正反対。
染めてない自然派真っ黒少し長めの髪で、これまた自然な無造作ヘア。その上黒縁眼鏡で目元はすっかり隠れてしまってる。
いつも通りの無表情なのは平坦すぎる声でわかる。わかるんだけど。でもなんでかな。いつもより気持ち低めで不機嫌そうで。
なんだか宮君から黒い何かが出ているような…?
ボクはパチパチ大きな瞬きをしながら、頭一個分大きな宮君を見上げる。
「不用物?」
「はい。」
見上げながら、ボクは心で復唱する。
特大で。
最悪で。
最高にいらない。
不用な。
物…
者?
あ!とボクは声を上げた。
「もしかして雪のこと?」
「はい。」
また即答だ。
頭一個分小さいボクをじーっと。前髪と眼鏡で隠れててこっちからは見えてないから定かじゃないので多分だけど。
多分ボクをじーと見下ろしながら、宮君はボクのカレ氏を不用物と宣った。
それはもうきっぱりと、一声で。
「すごい。清々しいほどの即答。さすがだ宮君。」
「ありがとうございます。」
宮君は相変わらずの平坦トーンでお礼の言葉を口にした。
たいしてありがとうなんて思ってない感満載なとこ。
うんうん。
ボクは宮君のこういうところが大好きだ。
頭いいところも好きだし、突発的なボクのお宅訪問にも嫌な顔を多分せずにお迎えしてくれ、更にはいつも多分快く泊まらせてもくれる。見た目とおんなじ。懐おっきなとこも好き。いい子。
サークルでみんながわちゃわちゃ楽しげに弓引いてる時に、1人黙々と次々星に中てるとこも好き。
宮君が入部してから、とにかくボクは懐きまくってるわけで。
交際歴2年目のカレ氏をいらないもの呼ばわりされようと、ボクに怒りなんて湧きやしない。
まぁ、浮気されましたしね!
「で?」
「で?」
宮君の発した声に同じ声で返す。
ボクを見下ろす宮君の、眉毛が片っぽ上がったのを見て。
「そりゃもちろん、廃棄一択。さよならです。」
ボクは殊更にっこり、微笑んだ。
まぁねぇ。確かに浮気の1つや2つ。どころか。なんなら10くらいしてそうだよね、いっそ同時進行の勢いで。
完全同意。そんな顔。
ボクの、浮気確定カレ氏な雪クンは、宮君に負けず劣らずの高身長。大きなくっきりお目目は、ヘーゼルがかってて酷く印象的だ。光の反射で緑味が強まるやつ。鼻筋はシュッ。モテ顔必須項目Eライン持ちのスッキリ小顔。そのお顔で、ちょっぴり気だるそうな雰囲気を醸し出したり。かと思えば、お仲間と話す時は明るくスキンシップ過多。すこぶる話しやすかったりする。
男女問わず人間全般、騙くらかしそうな美形だ。
斯くいうボクも結局騙されたわけですが。
「で、どうするんですか?」
「なにが?」
「あの不用ブツです。」
宮君の平坦な声が、ボクに聞いてくる。
「不用物?」
「はい。不用ブツです。」
ボクは宮君の言葉に首を傾げた。
不用物。
洗って少々水に浸し、砂を落とした手元のブロッコリー。これは違う。
「んん??」
流し台に落ちたままのブロッコリーの、チョロリとした葉っぱ。豚肉の入っていたトレーのラップ。これはうん不用物、ゴミだね。
それらを順番に見てから、今度はそのまま隣に立ってる宮君へと視線を動かす。
「これ?」
ブロッコリーでそれらを指してみたけど。
「違います。」
あれ、即答。
「それも不用ブツですけど。それじゃなくて、先輩の家にある特大で最悪で最高にいらない不用ブツのことです。」
宮君は、トマト片手に不用物連発。
真っ黒な髪で表情はかくれんぼ、だけど。
なんだか少し、不機嫌そうだ。
雪は髪型にもそりゃもうもう!うるさくなって。綺麗だった黒髪をアッシュブラウン?だったかグレーだったかに染め上げ、毎朝鏡の前で時間かけてモテるらしいヘアに仕立てあげるのに余念がない。軽やかに流された前髪で、いつだっておっきな目が晒されてる。
宮君は正反対。
染めてない自然派真っ黒少し長めの髪で、これまた自然な無造作ヘア。その上黒縁眼鏡で目元はすっかり隠れてしまってる。
いつも通りの無表情なのは平坦すぎる声でわかる。わかるんだけど。でもなんでかな。いつもより気持ち低めで不機嫌そうで。
なんだか宮君から黒い何かが出ているような…?
ボクはパチパチ大きな瞬きをしながら、頭一個分大きな宮君を見上げる。
「不用物?」
「はい。」
見上げながら、ボクは心で復唱する。
特大で。
最悪で。
最高にいらない。
不用な。
物…
者?
あ!とボクは声を上げた。
「もしかして雪のこと?」
「はい。」
また即答だ。
頭一個分小さいボクをじーっと。前髪と眼鏡で隠れててこっちからは見えてないから定かじゃないので多分だけど。
多分ボクをじーと見下ろしながら、宮君はボクのカレ氏を不用物と宣った。
それはもうきっぱりと、一声で。
「すごい。清々しいほどの即答。さすがだ宮君。」
「ありがとうございます。」
宮君は相変わらずの平坦トーンでお礼の言葉を口にした。
たいしてありがとうなんて思ってない感満載なとこ。
うんうん。
ボクは宮君のこういうところが大好きだ。
頭いいところも好きだし、突発的なボクのお宅訪問にも嫌な顔を多分せずにお迎えしてくれ、更にはいつも多分快く泊まらせてもくれる。見た目とおんなじ。懐おっきなとこも好き。いい子。
サークルでみんながわちゃわちゃ楽しげに弓引いてる時に、1人黙々と次々星に中てるとこも好き。
宮君が入部してから、とにかくボクは懐きまくってるわけで。
交際歴2年目のカレ氏をいらないもの呼ばわりされようと、ボクに怒りなんて湧きやしない。
まぁ、浮気されましたしね!
「で?」
「で?」
宮君の発した声に同じ声で返す。
ボクを見下ろす宮君の、眉毛が片っぽ上がったのを見て。
「そりゃもちろん、廃棄一択。さよならです。」
ボクは殊更にっこり、微笑んだ。
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