従業員の健康管理「人事担当者が書く健康トピックス」（衛生委員会や保険便りのネタにお役立てください）

肝臓を労わりましょう

1．肝臓の働き
　肝臓は「アルコールを分解する臓器」というイメージがありますが、他にも様々な役割を担っています。アミノ酸や糖の代謝や造血等、判明しているだけでも500を超える役割があり、我々が生きていくうえでとても重要な臓器です。この肝臓に異常をきたすと様々な病気の原因になるので、肝臓を正常に保つことが健康の維持に直結すると言えます。

2．肝臓の検査項目（ALT、AST、γ‐GTP）
　健康診断で測定する肝機能に関する数値はALT(GPT)、AST（GOT）、γ‐GTPの3種類があります。

① ALT(GPT)およびAST（GOT）：基準値…30U/L以下
　ALTとASTは体内で作られる代謝に関する酵素です。これらが血液中に多く漏れていると、肝臓の細胞が破壊されている可能性があります。ALTは肝臓でのみ作られる酵素であり、この数値が高い時は肝機能障害が疑われます。それに対しASTは肝臓以外の腎臓や心臓にも存在する酵素であり、ASTだけが高い時は肝臓以外の病気が疑われます。このように、ALTとASTはセットで見る事により、どの臓器に異常があるかを判断する項目です。

② γ‐GTP：基準値…50U/L以下
　γ‐GTPは肝臓や腎臓で作られるタンパク質の分解酵素です。胆汁に多く含まれており、胆石等により胆汁の流れが悪くなると血液中に漏れ出し、数値が上昇します。

3．飲酒と肝機能
　アルコールの過剰摂取は、上記3項目すべてを上昇させます。また、飲酒以外にも肥満や生活習慣によって肝機能は悪化します。健康維持の為、飲酒量を減らし脂肪の多い食べ物は控えるようにしましょう。ただし、ASTとALTのどちらかが50U/L以上またはγ‐GTPが100U/L以上の場合は、肝機能障害がかなり進行していると考えられます。これらに当てはまる場合は節酒ではなく、ただちに禁酒が必要です。肝臓の病気は自覚症状が無いまま進行していくケースが多いので、健康診断結果や人間ドックの結果を必ず確認しましょう。