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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』River④
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「……お祖父さん……!?貴方が──────ですか!?」
水森唯は驚いた表情で男性を見る。
まあそうだよな。
水森唯の父方の祖母はそこそこ高齢だったし、同じような年齢の男性をイメージしてたんだろう。
男性は咳払いすると周囲を見回した。
人の目を気にしているのかもしれない。
「……ここではなんだから────────向こうで少し話をしないか?」
重く白い金属製の扉を受付女性が開ける。
バックヤードや事務所へ続く通路だろう。
俺達は無言のまま廊下を歩いた。
俺はチラリと横目で五十代男性────────水森唯の祖父の様子を見た。
目は赤く、やたらと瞬きをしている。
手にはハンカチが握られ、時折横の水森唯の姿を確認するかのように見ている。
間違いない。
この人は本当に水森唯のじいさんなんだろう。
どうぞ、という声と共に突き当たりのドアが開けられる。
革張りのソファのある部屋は応接室のようでもあり、社長室のようでもあった。
促されるまま俺達はソファに座り、その正面に座ったじいさんは目に涙を浮かべた。
「……今日はよく来てくれたね。君が唯を連れてきてくれたのかい?」
じいさんは俺に向かってそう言った。
どうして水森唯に話しかけるより先に俺にそう言ったのかはわからない。
けど、俺は深く考えずそのまま頷いた。
「私一人じゃ勇気が出なかったの。だからクラスメイトに同行をお願いして───────────」
水森唯が口を開いてそう答えた。
水森唯は驚いた表情で男性を見る。
まあそうだよな。
水森唯の父方の祖母はそこそこ高齢だったし、同じような年齢の男性をイメージしてたんだろう。
男性は咳払いすると周囲を見回した。
人の目を気にしているのかもしれない。
「……ここではなんだから────────向こうで少し話をしないか?」
重く白い金属製の扉を受付女性が開ける。
バックヤードや事務所へ続く通路だろう。
俺達は無言のまま廊下を歩いた。
俺はチラリと横目で五十代男性────────水森唯の祖父の様子を見た。
目は赤く、やたらと瞬きをしている。
手にはハンカチが握られ、時折横の水森唯の姿を確認するかのように見ている。
間違いない。
この人は本当に水森唯のじいさんなんだろう。
どうぞ、という声と共に突き当たりのドアが開けられる。
革張りのソファのある部屋は応接室のようでもあり、社長室のようでもあった。
促されるまま俺達はソファに座り、その正面に座ったじいさんは目に涙を浮かべた。
「……今日はよく来てくれたね。君が唯を連れてきてくれたのかい?」
じいさんは俺に向かってそう言った。
どうして水森唯に話しかけるより先に俺にそう言ったのかはわからない。
けど、俺は深く考えずそのまま頷いた。
「私一人じゃ勇気が出なかったの。だからクラスメイトに同行をお願いして───────────」
水森唯が口を開いてそう答えた。
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