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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 敗者復活
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「……はい、これ」
店員の姿が見えなくなった場所で水森唯が居た堪れないような表情でチケットをこちらに手渡してくる。
ああ、と生返事で俺はそれを受け取った。
『ガチャガチャ無料券』とカラフルでポップな書体で書かれたその紙片は2枚あった。
5000円使った挙句これか。
俺はその紙切れを心底恨めしく思いながら眺めた。
水森唯の前でイキった挙句に何の成果も得られなかったんだ。
黄色か青、どちらかのキャラのぬいぐるみでも手に入っていれば何か違ったかもしれない。
だが。
俺がやったことと言えばただ、金を払って陳列されたぬいぐるみの山を崩しただけだ。
水森唯が泣きそうな声でこう搾り出す。
「……ごめんなさいね。私がもっと早くに気づいていれば─────────」
何でお前が謝るんだよ?と俺は反射的に素で尋ねてしまう。
「……だって、今回佐藤くんは“アイぷり”の[大豪院ハルト]のグッズを手に入れるためにここまで来たでしょう?」
私が同行したのも佐藤くんが詳しくないジャンルだからで、と水森唯は続けた。
「……これじゃ何の為に私が付いて来たんだかわからないじゃない──────────」
水森唯が心の底から罪悪感を感じ、申し訳なく思っているというのが痛いほど伝わってくる。
けど、水森唯にそんな思いをさせてるのは他でもない俺なんだ。
俺がよく確認もせずに大金を突っ込んだのがそもそも間違ってた訳で────────────────
「いや!そんなことねぇし!!」
俺は全力で首を振った。
どうしよう。
水森唯の心を開いて話を聞くどころかますます迷惑掛けて厄介な事態に追い込んじまってるじゃねぇか。
そう思った俺はふと、握りしめた紙片のことを思い出した。
「なあ、水森。よかったらさ────────」
このガチャガチャ、一回づつやってみねぇか、と苦し紛れに提案すると水森唯は顔を上げてこちらを見た。
「ほら、2枚あるだろ?俺、なんかこういうの気恥ずかしくて苦手でさ─────────」
水森が一緒にやってくれたら助かるんだけど、と俺が言うと水森唯は頷いた。
「……そっか。これって店員さんにもう一度声を掛けないといけないものね」
店員の姿が見えなくなった場所で水森唯が居た堪れないような表情でチケットをこちらに手渡してくる。
ああ、と生返事で俺はそれを受け取った。
『ガチャガチャ無料券』とカラフルでポップな書体で書かれたその紙片は2枚あった。
5000円使った挙句これか。
俺はその紙切れを心底恨めしく思いながら眺めた。
水森唯の前でイキった挙句に何の成果も得られなかったんだ。
黄色か青、どちらかのキャラのぬいぐるみでも手に入っていれば何か違ったかもしれない。
だが。
俺がやったことと言えばただ、金を払って陳列されたぬいぐるみの山を崩しただけだ。
水森唯が泣きそうな声でこう搾り出す。
「……ごめんなさいね。私がもっと早くに気づいていれば─────────」
何でお前が謝るんだよ?と俺は反射的に素で尋ねてしまう。
「……だって、今回佐藤くんは“アイぷり”の[大豪院ハルト]のグッズを手に入れるためにここまで来たでしょう?」
私が同行したのも佐藤くんが詳しくないジャンルだからで、と水森唯は続けた。
「……これじゃ何の為に私が付いて来たんだかわからないじゃない──────────」
水森唯が心の底から罪悪感を感じ、申し訳なく思っているというのが痛いほど伝わってくる。
けど、水森唯にそんな思いをさせてるのは他でもない俺なんだ。
俺がよく確認もせずに大金を突っ込んだのがそもそも間違ってた訳で────────────────
「いや!そんなことねぇし!!」
俺は全力で首を振った。
どうしよう。
水森唯の心を開いて話を聞くどころかますます迷惑掛けて厄介な事態に追い込んじまってるじゃねぇか。
そう思った俺はふと、握りしめた紙片のことを思い出した。
「なあ、水森。よかったらさ────────」
このガチャガチャ、一回づつやってみねぇか、と苦し紛れに提案すると水森唯は顔を上げてこちらを見た。
「ほら、2枚あるだろ?俺、なんかこういうの気恥ずかしくて苦手でさ─────────」
水森が一緒にやってくれたら助かるんだけど、と俺が言うと水森唯は頷いた。
「……そっか。これって店員さんにもう一度声を掛けないといけないものね」
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