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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 Stand by Me
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バス停に着くと既に水森唯は到着していた。
「……。」
ベンチで文庫本を読んでいた水森唯は少し表情を硬くしたまま俺を見る。
まあそうだよな。
俺がマジでここに来るか半信半疑だったにかもしれない。
都会に住んでる奴らからしたらこういう行動ってさ、なんとも思わないかもしれねぇ。
けど、衰退した地方都市の外側のエリアに住む俺らからしたらこれは一大事なんだ。
“同じクラスの男子と女子がバスに乗って市内エリアまで行く”。
これは俺らにとってはちょっとした冒険、いわば小旅行に等しいんだ。
もちろん学区外だ。
大人に車で乗せて行って貰えば30分位だろう。
だけど。
バスに乗って行けば1時間近く掛かっちまう。
そんな場所に中学生だけで行くっていうのは───────────俺らにとっては一大事なんだよ。理解ってもらえないだろうけどさ。
……本当に行くのね、と水森唯は小さく呟いた。
「いや、俺から言い出したんだから行くに決まってるだろ」
そう答えると水森唯は少し俯く。
「……もしかしたら嘘なんじゃないかってちょっと思ってたの」
疑ってごめんなさいね、とすまなさそうに詫びる水森唯の姿に俺の心は少し痛んだ。
そうだよな。
水森唯は────────────クラスでのスクールカースト最下位なんだよな。
俺が嘘をついて水森唯を騙して陰で仲間と笑ってるって勘繰られても仕方ないのかもしれない。
恐らく、これまでの間──────────いろんな奴らに心無い暴言を吐かれたり、変な嘲笑の対象にされていたのだろう。
水森唯はこんなにも感性が豊かで、誰よりも心の優しい女子なのに。
「いや。いいんだよ。アニメグッズを買うのに付き合って欲しいなんて奇妙な話過ぎるからな」
そう思われても仕方ねぇから、と俺が言うと水森唯は少しホッとしたような表情を浮かべた。
俺と水森唯はベンチに座る。
何を話そう、と頭をフル稼働させているうちにバスが停留所に停まる。
俺と水森唯はぎこちない空気のままバスに乗り込んだ。
「……。」
ベンチで文庫本を読んでいた水森唯は少し表情を硬くしたまま俺を見る。
まあそうだよな。
俺がマジでここに来るか半信半疑だったにかもしれない。
都会に住んでる奴らからしたらこういう行動ってさ、なんとも思わないかもしれねぇ。
けど、衰退した地方都市の外側のエリアに住む俺らからしたらこれは一大事なんだ。
“同じクラスの男子と女子がバスに乗って市内エリアまで行く”。
これは俺らにとってはちょっとした冒険、いわば小旅行に等しいんだ。
もちろん学区外だ。
大人に車で乗せて行って貰えば30分位だろう。
だけど。
バスに乗って行けば1時間近く掛かっちまう。
そんな場所に中学生だけで行くっていうのは───────────俺らにとっては一大事なんだよ。理解ってもらえないだろうけどさ。
……本当に行くのね、と水森唯は小さく呟いた。
「いや、俺から言い出したんだから行くに決まってるだろ」
そう答えると水森唯は少し俯く。
「……もしかしたら嘘なんじゃないかってちょっと思ってたの」
疑ってごめんなさいね、とすまなさそうに詫びる水森唯の姿に俺の心は少し痛んだ。
そうだよな。
水森唯は────────────クラスでのスクールカースト最下位なんだよな。
俺が嘘をついて水森唯を騙して陰で仲間と笑ってるって勘繰られても仕方ないのかもしれない。
恐らく、これまでの間──────────いろんな奴らに心無い暴言を吐かれたり、変な嘲笑の対象にされていたのだろう。
水森唯はこんなにも感性が豊かで、誰よりも心の優しい女子なのに。
「いや。いいんだよ。アニメグッズを買うのに付き合って欲しいなんて奇妙な話過ぎるからな」
そう思われても仕方ねぇから、と俺が言うと水森唯は少しホッとしたような表情を浮かべた。
俺と水森唯はベンチに座る。
何を話そう、と頭をフル稼働させているうちにバスが停留所に停まる。
俺と水森唯はぎこちない空気のままバスに乗り込んだ。
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