[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる！？

ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』 放課後と罰ゲームの提案

「なあ、水森ってさ。何が好きなんだ？」

「……え？」

しまった、と思った時にはもう遅かった。

俺は何を言ってるんだろう。

話題を投げる意図だとしても雑すぎる。

水森唯が怪訝な表情でこちらを見る。

「……あ！いやその！」

俺は慌てて首を振った。

「えっとさ、水森の好きな食べ物とか……」

さっきからマジで俺は何を言ってるんだ。

好きな食べ物？なんだよそれは。幼稚園児の質問か？

水森は更に輪をかけて怪訝な表情で俺を見る。

まあそうだよな。

いきなり図書室の本を又貸ししてくれだのお前ん家に行っていいかだの言い出したかと思えば『唐突に好きな食べ物を聞いてくる』って向こうからすれば意味不明だよな。

「……どうして急にそんなこと聞くの？」

水森唯は至って冷静なトーンで俺にそう聞き返す。

まあな。そういう反応になるよな。当然だ。

「その……なんか水森には無茶ぶりとかしちまったからさ。礼って言っちゃアレだけど……なんか奢るからチャラにして欲しい的なヤツで──────」

苦し紛れに俺はそう捻り出した。

「……奢る？」

水森唯はまた少し身構えたような様子でそう口にした。

「……あ、その。今度バイト代入るからさ。なんか食いたい物とかあったらご馳走するけど──────」

しまった。俺になんか奢られても嬉しくもなんともねぇよな。

寧ろ罰ゲームまであるかもしれない。