954 / 1,060
ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 溶けていく甘く白いもの
しおりを挟む
ジャン・コクトー。サン=テグジュペリ。それから太宰治。
ヘンリー・ダガーなんて聞いたことのない作者の名前も挙げられた。
水森唯は読書家なんだろう。
俺はふむふむと頷く。
「スゲェな、水森!めっちゃ読んでんじゃん!?」
作家にも詳しいさ、と俺がオーバーに感心したように言うと────────水森唯ははにかんだような表情を浮かべた。
「……そう。そう言って貰えると悪い気はしないわね」
いいぞ。
なんか水森唯の心、めっちゃ開かれてないか?
俺は更に踏み込むべく質問を重ねた。
「それじゃあさ、水森の人生のベスト3とか選ぶんだったらどの本になるんだ?」
きっとスゲェ本だろ?と俺が揶揄うように告げると水森は首をすくめた。
「……そうでもないかもね。だってほら、こういうのは食べ物と同じかも」
食べ物?と俺は聞き返す。
「そう、食べ物」
水森唯が俺に分かりやすい言葉を選んで話してくれているのは伝わる。
「……ランキングの上位ってなんでも定番のものが独占してるでしょ?あれと同じなんじゃないかしら?」
ふむ?
「……人気のアイスランキングだとバニラが上位に入っていたりとか。そういうことって見たことない?」
水森唯にそう言われて俺はなんとなくイメージが掴めた。
「ああ!なるほど!そういうことか!!」
なんとなく腑に落ちた気がする。
「……そう。奇をてらったものじゃなくて万人に好かれる普遍のものってことなんでしょうね」
すっげぇよくわかる。
まあバニラってのは無難でもあり、そんなに嫌じゃないって選択肢だもんな。
ヘンリー・ダガーなんて聞いたことのない作者の名前も挙げられた。
水森唯は読書家なんだろう。
俺はふむふむと頷く。
「スゲェな、水森!めっちゃ読んでんじゃん!?」
作家にも詳しいさ、と俺がオーバーに感心したように言うと────────水森唯ははにかんだような表情を浮かべた。
「……そう。そう言って貰えると悪い気はしないわね」
いいぞ。
なんか水森唯の心、めっちゃ開かれてないか?
俺は更に踏み込むべく質問を重ねた。
「それじゃあさ、水森の人生のベスト3とか選ぶんだったらどの本になるんだ?」
きっとスゲェ本だろ?と俺が揶揄うように告げると水森は首をすくめた。
「……そうでもないかもね。だってほら、こういうのは食べ物と同じかも」
食べ物?と俺は聞き返す。
「そう、食べ物」
水森唯が俺に分かりやすい言葉を選んで話してくれているのは伝わる。
「……ランキングの上位ってなんでも定番のものが独占してるでしょ?あれと同じなんじゃないかしら?」
ふむ?
「……人気のアイスランキングだとバニラが上位に入っていたりとか。そういうことって見たことない?」
水森唯にそう言われて俺はなんとなくイメージが掴めた。
「ああ!なるほど!そういうことか!!」
なんとなく腑に落ちた気がする。
「……そう。奇をてらったものじゃなくて万人に好かれる普遍のものってことなんでしょうね」
すっげぇよくわかる。
まあバニラってのは無難でもあり、そんなに嫌じゃないって選択肢だもんな。
0
お気に入りに追加
59
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
もし学園のアイドルが俺のメイドになったら
みずがめ
恋愛
もしも、憧れの女子が絶対服従のメイドになったら……。そんなの普通の男子ならやることは決まっているよな?
これは不幸な陰キャが、学園一の美少女をメイドという名の性奴隷として扱い、欲望の限りを尽くしまくるお話である。
※【挿絵あり】にはいただいたイラストを載せています。
「小説家になろう」ノクターンノベルズにも掲載しています。表紙はあっきコタロウさんに描いていただきました。
校長先生の話が長い、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。
学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。
とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。
寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ?
なぜ女子だけが前列に集められるのか?
そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。
新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。
あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる