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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 最大の手札
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読書自体は嫌いじゃ無さそうね、と小さく呟いた水森唯の言葉を俺は聞き逃さなかった。
「……そうだな。意外と今までの教科書の内容も覚えてたりするんだよな」
ごんぎつねとか胸糞のバッドエンドじゃね?と俺が口にすると水森唯はまたしても意外そうな表情を浮かべた。
「……あら。佐藤君からそんな感想が聞けるなんて」
水森唯は心底不思議そうに俺を見つめる。
「…自業自得、なんて感想の男子も結構いたと思うんだけど」
なるほど、と俺は頷く。
「まあ小学生男子だとそんなノリだよな。冷笑的、露悪的なのがカッコいいみたいな風潮あるし」
俺がそう言うと水森唯は一瞬言葉を詰まらせる。
「……!」
ん?どうかしたか、と俺が尋ねると────────水森唯は慌てて首を振った。
「……いえ。ごめんなさい。佐藤君てこう見えて意外と語彙力あるわよね?地頭もいい気がするし」
へぇ?
俺のこと褒めてくれてんのか?
「……あ、いや違うの。今まで見下してたとかそういう訳じゃなくて」
気を悪くしたなら御免なさい、と再度水森唯は首を振った。
「はは。まあな。俺ってこんなナリだからさ。そう思われてても仕方がないっつぅか」
まあ褒められるのは悪い気はしねぇな、と俺が言うと水森唯は少し笑った。
「……意外ね。佐藤君てこんなに気さくな人だったの。知らなかったわ」
いいぞ。
水森唯が心を開いたと踏んだ俺は更に攻勢をかける。
「いや、俺んちって母ちゃんがいねぇからさ……“ごんぎつね”とか“手袋を買いに”みたいな話って弱いんだよ」
どっちもキツネの子どもが出てきて母ちゃんも絡んでるもんな。
「……そうだな。意外と今までの教科書の内容も覚えてたりするんだよな」
ごんぎつねとか胸糞のバッドエンドじゃね?と俺が口にすると水森唯はまたしても意外そうな表情を浮かべた。
「……あら。佐藤君からそんな感想が聞けるなんて」
水森唯は心底不思議そうに俺を見つめる。
「…自業自得、なんて感想の男子も結構いたと思うんだけど」
なるほど、と俺は頷く。
「まあ小学生男子だとそんなノリだよな。冷笑的、露悪的なのがカッコいいみたいな風潮あるし」
俺がそう言うと水森唯は一瞬言葉を詰まらせる。
「……!」
ん?どうかしたか、と俺が尋ねると────────水森唯は慌てて首を振った。
「……いえ。ごめんなさい。佐藤君てこう見えて意外と語彙力あるわよね?地頭もいい気がするし」
へぇ?
俺のこと褒めてくれてんのか?
「……あ、いや違うの。今まで見下してたとかそういう訳じゃなくて」
気を悪くしたなら御免なさい、と再度水森唯は首を振った。
「はは。まあな。俺ってこんなナリだからさ。そう思われてても仕方がないっつぅか」
まあ褒められるのは悪い気はしねぇな、と俺が言うと水森唯は少し笑った。
「……意外ね。佐藤君てこんなに気さくな人だったの。知らなかったわ」
いいぞ。
水森唯が心を開いたと踏んだ俺は更に攻勢をかける。
「いや、俺んちって母ちゃんがいねぇからさ……“ごんぎつね”とか“手袋を買いに”みたいな話って弱いんだよ」
どっちもキツネの子どもが出てきて母ちゃんも絡んでるもんな。
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