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ep10.

ep10.『聖母と道化、その支配人』 命を繋ぐ行為

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俺は風呂から上がった水森の腕を引っ張る。

「なあ、ちょっとここ座れよ」

やや強引に居間の座布団に水森を座らせた。

ちゃぶ台の上に丼と緑茶を置くと、水森はゆっくりと首を傾げる。

「……?」

水森の部屋にあった衣類を適当に掴んでボストンバッグに入れて来たが、それは適当過ぎたのかもしれない。

ダボっとした大きめの長袖Tシャツに短めのショートパンツ。

Tシャツの丈の長さにショートパンツが隠れて何だか何も穿いてないようにも見えてしまう。

なんとなく少しドキリとしてしまった。いや、そんな意図なんて無かったんだけどさ。

「まあ、ともかくさ……!」

俺は努めて明るく振る舞った。少し白々しいかもしれない。

腹減ってないか?と俺が問いかけると水森はコクンと頷いた。

「俺が作ったんだけどさ、良かったら食ってくれよ」

味は保証出来ねぇけどな、と付け加えると水森は俺の方を見た。

「作った……?」

佐藤くんが、と水森は小さく呟く。

なんだ、ちゃんと反応出来るじゃねぇか。

「そう。俺、一人暮らしだからさ。自炊してんだよな。下手くそだけど───────」

俺がそう答えると水森はぼんやりと丼を眺める。

「……わざわざ……わたしの為に?」

そういうんじゃねぇよ、と俺は適当にはぐらかす。

「一人分作るのも二人分作るのもあんま変わんねぇしさ。ついでだよ、ついで」

まあ食べようぜ、と言いつつ俺は手を合わせた。

「……いただきます」

俺が言うのと同時に水森も同時に手を合わせている。多分条件反射なんだろうな。

水森はまだ半分ぼんやりとした様子で箸を口に運ぶ。

「……どうだ?」

俺は恐る恐る反応を伺った。

水森は黙ったまま一口、もう一口と箸を進める。

おいおいおい、黙ったままじゃ不安になるだろうが。

水森は無言のままあっという間に丼を平げてしまう。

どうしたんだろう。なんで無言?

俺が不安に思いながらも顔を見ると────────────水森はただ一言、こう言った。















「これ……人生で一番美味しい丼だった」
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