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ep10.
ep10.『聖母と道化、その支配人』 デッドマンズ・フローズンバスルーム
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彷徨う死者である俺達は再び町を徘徊する。
お互いに何も喋らない有様は─────────文字通り死んでんだろうな。
多分、身体の方じゃなくて情緒の方だ。
水森の手から伝わる体温は俺を現実に引き戻させた。
いや、情緒って言うより──────────精神の方だろう。
水森唯の心はポッキリと折れているかのように思えた。
まあ、母親が死んでまともで居られるヤツなんていねぇよな。
俺だってそうだ。
あの日、水面に浮かぶ母親を見てから─────────俺の心は死んでるんだから。
一度砕けた散った心はもう二度と元には戻らない。
それでも。
それでも俺達は生きて行かなきゃなんねぇんだ。そうだろ?
俺達はまるで無気力にグルグルと道を徘徊し目的地に到着する。
何処かって?
そんなん決まってるじゃねぇか。俺の家だよ。知ってただろ?
水森は焦点の定まらない目で俺の家を見つめる。
「……?」
いいから入れよ、と俺が言うと水森はコクンと頷く。
「……お邪魔します」
フラフラと玄関に入った水森は靴を丁寧に脱ぎ、キチンと端に揃えて置いた。
ゾンビになっても尚、行儀がいいんだな。
育ちがいいってのはこういうヤツの事を言うんだろうな。
金があるとか無いとかそういう問題じゃねぇんだ。
金はあっても下品で教養のない奴もいる。金が無くても礼儀正しく、真っ直ぐに生きてる奴も居るんだ。
水森唯は間違いなく後者だろうな。
俺は玄関の扉を静かに閉め、水森にこう告げた。
「とりあえずさ、今からシャワー浴びてこいよ」
お互いに何も喋らない有様は─────────文字通り死んでんだろうな。
多分、身体の方じゃなくて情緒の方だ。
水森の手から伝わる体温は俺を現実に引き戻させた。
いや、情緒って言うより──────────精神の方だろう。
水森唯の心はポッキリと折れているかのように思えた。
まあ、母親が死んでまともで居られるヤツなんていねぇよな。
俺だってそうだ。
あの日、水面に浮かぶ母親を見てから─────────俺の心は死んでるんだから。
一度砕けた散った心はもう二度と元には戻らない。
それでも。
それでも俺達は生きて行かなきゃなんねぇんだ。そうだろ?
俺達はまるで無気力にグルグルと道を徘徊し目的地に到着する。
何処かって?
そんなん決まってるじゃねぇか。俺の家だよ。知ってただろ?
水森は焦点の定まらない目で俺の家を見つめる。
「……?」
いいから入れよ、と俺が言うと水森はコクンと頷く。
「……お邪魔します」
フラフラと玄関に入った水森は靴を丁寧に脱ぎ、キチンと端に揃えて置いた。
ゾンビになっても尚、行儀がいいんだな。
育ちがいいってのはこういうヤツの事を言うんだろうな。
金があるとか無いとかそういう問題じゃねぇんだ。
金はあっても下品で教養のない奴もいる。金が無くても礼儀正しく、真っ直ぐに生きてる奴も居るんだ。
水森唯は間違いなく後者だろうな。
俺は玄関の扉を静かに閉め、水森にこう告げた。
「とりあえずさ、今からシャワー浴びてこいよ」
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